いい加減そろそろ遊び疲れた感が出はじめたので、ハーフタイムを提案する。
つまり簡単に言うと、後半戦の前にお風呂やシャワーはいかがでしょうかという。時計を見るとか
なり早めだが、人数を考えると実はそうでもないということになり、提案は了承された。ゲーム大会
も中断することに決定。
「なのははどうすんだ。さっきシャワーだけだったなら、もっかい入るのか?」
「あ、うん。ヴィータちゃん、一緒に入る?」
「おじさんは? おじさんはどうするん?」
はやてが尋ねるのに対し、帰ってホテルのを使うよ、とおっちゃんは言う。ぬこ姉妹にも聞いてみ
たがこちらも同じだそうだ。
「非力ななのはは果たして、桶で水をすくえるのだろうか。疑問である」
ふとした疑問を口にしてみたのを聞きつけて、そこまでよわよわじゃないよう、とぷんぷんご立腹
のなのはである。
「しっかし、えらい人数やなぁ。お風呂も時間かかりそーな」
「今さらだが女性だらけすぎるけど。はやて、今の気分は?」
「オラわくわくしてきたぞ」
賑やかなのが好きなはやてである。当然お風呂も例外ではなく、初めてのメンバーがいる今回は非
常に楽しみだったみたい。
でもってお風呂の方なんだけど、はやてとシグナムはフェイト+ちびわんこ状態のアルフと、シャ
マル先生とヴィータはなのはと一緒に入ることに。子供だけで入るとはやての風呂がちょっと大変、
ということでこうなった。はやく完治せぇ完治せぇ、と残念そうに言うはやてだった。
「しかしこう女の子だらけやと、いくら賢者モードのオリーシュでも耐えられるか疑問やなぁ」
と思ったら、ニヤニヤしながら失礼なことを言いやがる。
「子供とつるぺたに興味はないと何度言えばわかるか」
「盗んだパンツを?」
「被りだす」
振られたネタに答えただけなのに、脱衣場付近2m以内立ち入り禁止を宣告してくるのは理不尽だ
と思います。まぁ入らないからいいですけれども。
「けーとくん、変態さんだったんだ……!」
しかしながらここでなのはが、日頃の反撃とばかりに追い討ちをかけてきた。一瞬素で言ってるの
かと思ったけど、明らかに目が笑っていやがった。
「なのは様には今後、ずっと敬語でお話しすることにいたしましょう」
ふにゃっと情けない表情になって、いやだいやだやめてよやめてよぉ、といやいやをしながら懇願
された。仕方なく取り下げてやる。
「高町なのはの分際で、口で俺に勝とうなどとは十年早いわ」
「これはたしかに嫌すぎるわぁ……」
「君を知る者にとっては、割と強力な嫌がらせかもしれない」
はやてとクロノがとてもうるさかったです。
女子どもの風呂が長い。
「水死体ごっこでもしてるんじゃないのか……」
「ずいぶん退屈そうな遊びだなそれ」
やっと上がってきた、寝間着姿のヴィータが言う。今ははやて組の番である。しかしこれがなかなか
出てこないのだ。もちろん、はやてがかける時間を考慮に入れても、である。
「まだ治らねーな。いつ完治すんだ?」
どうして俺に訊くのかと思ったけど、よく考えるといちおー原作知識持ちのオリーシュでした。現
在のなのはやリインの存在を考えると、もうだいぶあさっての方向に外れはじめているような気はす
るけれども。
「中学では元気に走り回ってるはず。でも詳しい時期はわからん」
「イマイチ当てになんねーな……」
「三学期に間に合うといいけどなぁ。一月にはもう始まっちまうし、やっぱ無理か」
そういやお前、死ぬ前の成績ってどんなもんだったんだ。小学校のときは上の下くらい。さすがに
今みたいなチートはなかった。
という話から例のごとく、なのは可哀想という流れになりました。いやでも最近は勉強の方も頑張
りはじめたらしいんだがと、弁護するだけはしたけど焼け石に水。だって確か中学出たらすぐ管理局
だろ、と言われると、どうにも言葉が返せませんでした。
「……あれ。そういえばはやては……あれ。あれ……?」
「ん? はやてがどーかしたのか?」
ふと恐ろしいことに気がついたように思えなくもなかったけど、しかしまぁここのはやてさんだっ
たら大丈夫だよなと思って誤魔化しといた。とりあえずオリーシュのレベルまでは行ってみたいなぁ
と話していたので、そこらへんは信頼することにしよう。
「…………」
「…………」
「んー? なに、けーとくん? ヴィータちゃんも」
パジャマ姿のなのはがちょうど近くにいたので、隣のヴィータと一緒に思わず視線を向けてしまっ
た。何も知らずにニコニコしてるなのはだけど、この子の将来は本当に大丈夫だろうかと心配になる。
もし何かの拍子に魔法が使えなくなるなんてことになったら、もしかしたら路頭に迷うんじゃなかろ
うか。
「ああでも、翠屋あるから大丈夫じゃねーのか?」
「それはそうだが。なのはなのは、ケーキの生地は自力で練れるようになった?」
「……れっ、練習中だよっ。うん!」
不安が増してきた。
「……今度うちで勉強会するから。その時はおいでね」
「え……あ、あれ? けーとくん、変に優しくない?」
「あ、あたしも、何か手伝うからさ。何かあったら言ってくれよ」
ヴィータちゃんまでどうしたの。とあわてて尋ねるなのはだった。この子を高校までは絶対連れて
行こう、と固く決心する俺達だった。