「この家にいたら間違いなく太る気がする」
「本当……」

 ゲームしようかということになり、例によってスマブラなどをやっていると、抜け番になって休憩
している俺の横で猫姉妹が何やら言っていた。
 聞いてみると、食べ物が基本的に美味しすぎるのだとか。管理局で食べる分にはそうでもないのだ
が、時々滞在したりするイギリスではものすっごく大変なのだとか。そういえばイギリスではあんま
り食べ物がおいしいという話は聞かないなぁと思いながら、適当に話し相手になってやる。

「……!」

 聞きつけたリインがはっとして、何やらおろおろと困惑するのが向こうに見えたのは気のせいでは
ないと思う。

「や、でもなぁ。はやての奴がハンバーグに豆腐使ってたりしてるし。だいいち俺が太ってない」
「お前の場合はあっちこっち動き回ったりしてるからでしょ」
「あー……たしかにいつも徒歩だ。でもそれで十分なレベルってことでしょう」

 あっちの方でリインがシャマル先生に、ザフィーラに次のお散歩はいつなのかいつなのかとしきり
に問いかけているのが見えた。やっぱりたくさん食べる自覚はあったらしい。

「……どうしてこいつら、こんな平和に生きてんのよ……」

 そんな姿を見ながら、やるせなさそうな顔をするロッテかアリアかわからん猫人間だった。仕方な
い日本はこういう国、とか返しながら、やっぱりこいつら覚えにくいなぁと思う。これだけ時間があ
ってもダメなんだし、どうしたらいいんだろうと悩む俺である。
 しかし。次の瞬間、とてつもないアイデアがわいてきた!

「ちょ、すっげぇこと思い付いた! クロノ、ポタラみたいなロストロギアってどこかにない!?」
「いや、意味が分からないのだが……」
「たぶんないぞ。それもうロストロギアどころのレベルじゃねーって」
「えええぇぇ。フュージョンで代用は……まぁいいや。ちょっとやってくんない?」

 ヴィータに否定されてしまったため、急きょ代替案を実行しようと試みる。とりあえず説明のため
に、本棚からドラゴンボール四十巻を持ってくることにする。
 でも見せる前にひっぱたかれた。でもって中身を閲覧したあと、ものすごく叩かれた。「フュージ
ョン」の単語からやらせようとしたことの目星をつけていたのと、あとは踊りのカッコ悪さが気に入
らなかったらしい。

「ロッテ、痛いよ」
「アリアだよ!」

 更なる追加攻撃をくらってしまい、顔が爆弾岩みたいにぼこんぼこんになった。メガンテは効かな
いはずなのに、はぐりんたちにさえ怖がられた。

「メ……メ………………メガマック!」

 同類意識からか、リインの足下にぴったり引っ付いて怯えるはぐりんたちだった。

「わ、わ。何のモンスターやろ! 新種や新種!」
「核ばくだん岩です」
「出会った時点で近くの都市が全部終了フラグな件」
「いや普通に生息しとったらむしろ世界が終わる件」

 次の抜け番で抜けてきたヴィータとはやてにやんややんや言われながら、メガンテメガンテと連呼
してみた。でもやっぱりMPがスッカラカンのため、じゅもんはむなしくこだました。





「魔法の話題解禁になっても、別にそれ一辺倒になるわけじゃないんですなぁ」

 ゲームしてないクロノやユーノとまったりコーヒーを飲みながら話す。今までの雑談やら何やらを
総合するとそんな感じだ。別に普通のおしゃべりと大して変わらないということに気づいた。

「その他の話題が豊富だからな……」
「僕はこっちの方が好きかもしれない」

 すっかりくつろいでいる感が満載のお二人さんであった。泊まることが確定しているはずなので、
そっちの方がまぁいいんですが。

「もうパーティーというか、ただ遊んでいるようにも見えるが」
「いつの間にかゲーム大会にはなってますけど」
「あれ? そういえば、戻らないの?」
「強すぎるからってつまみだされた。ボンバーマンとか、キックの使い方は完全に極めたからなぁ」

 勝負にならんということで、しばらくはじき出されることになったのである。たまに席に戻って自
信満々なヴィータをべっこんぼっこんにしたりとかはするけれども、基本的にはお休みタイム。

「ところで、あのフィールド外から爆弾投げてるやつ。みそボンって言うんだけど、由来は何だろう」
「妙な名前だな……こっちの料理の味噌汁と、何か関係はあるのか?」
「あ、それはありそう。あとは……『みかた』に『そと』かなぁ」

 いやいやあれは敵なんじゃ。あ、そう言えばそうだったね。とか話しているうちに、いつしかみそ
ボン談義で盛り上がる。
 「みそ」のたった二文字なんだけど、実際何だろうと考えるとこれがなかなかわからない。ミとソ
で音楽関係じゃないかとか、味噌の原料は大豆だからえーと、などとあれこれ話し合った。何でユー
ノが味噌と大豆の関係知ってるんだという流れになって、高町家で話しているのが聞こえたという風
なことも話す。

「みそっかすボンバー」

 ゲームをしているはやてが背中を向けたまま奇妙な単語を口走ったので、三人の視線が集中する。
しかしいやいやそれはないということになって、再び元の会話に戻っていく。
 でもやっぱり気になったので、こっそりグーグル先生に相談してみることにした。

「ちょ、ちょっ! 本当にみそっかすで合ってる!」
「な……本当か?」
「ああっ、本当だ! みそっかすなんだ……」

 いきなり正答にたどりついた男子連中だった。

「またつまらぬことで盛り上がってしまった」
「一体何を話していたんだ僕は……」
「え、えっと……あはは……」

 一気にクールダウンして、下らないことしていた自覚が出てきた俺達だった。ひとしきり落ち込む。

「……最近徐々に君の影響を受けているような気がする」
「そんなまさか。シャマル菌じゃないんだかrモガモガ」

 半泣きのシャマル先生に背後から口をふさがれた。

「シャマル菌……?」
「ほら例の。昔のシャマル先生の味覚が……あれ。あれってなんで治ったの?」

 シャマル先生が去ってから、リインがこっそり聞いてきた。でもってそういえばどうしてだろう、
と思いだしたので、そちらについて尋ねてみる。

「……確かお前のコアが、バグと一緒に直していたはず」

 驚いてこちらを見るクロノとユーノだった。でもって俺はもっとシャマル先生に感謝されてもいい
んじゃないか、と思うのでした。まぁいいけど。



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