ビンゴの一位はなのはさんでした。さすが原作主人公と言うべきか。

「なんという事態。魔人ブウか餃子がいればこんなことには!」
「そういや最近ギョーザ食ってねーな」

 チャオズっつってんだろばかやろう。
 とかヴィータとやってるうちに、さっそくはやてからの賞品贈呈に移る。ビンゴ一番乗りの幸運な
人には、それ相応の豪華賞品があるらしい。なのは超うれしそう。

「ねぇ、ねぇ見て! ほらビンゴ、ビンゴだよっ!」
「じゃあ俺もビンゴ! 3列くらいの超絶ビンゴが!」
「さっきもゆーたけど、いらんとこ開けたらそのビンゴカード無効やからなー」

 はしゃいでるなのはに張り合おうとしたのだが、はやてがそんなことを言ってきた。
 仕方がないので諦めて、大人しくなのはの賞品ゲットをながめることにした。やたら大きな包みを
乗せて、えっちらおっちらはぐりんたちが這ってくる。

「わぷっ……わ。わ、わわ」

 はやてが紐をほどいた中身は、超でっかい熊のぬいぐるみでした。なのはの身長の四分の三ほど。
 あんまりにもでっかかったため持ちきれず、こてんと床にしりもちをついた。皆微笑ましそうにし
ている中、一人なのはだけ恥ずかしそう。

「あーあ。あたしも狙ってたのに」

 と、ヴィータが残念そうに言う。そういえばパーティーの買い出しに着いていってたのを思い出し
た。景品の内容知ってたのか。

「……お前確か、手先すっげー器用だよな」
「こっち見んな。さすがにあのサイズは無理だって」

 ちぇっ、とこぼす。便利屋じゃねーです。

「頑張れば、そうできなくも無いと思いますけど……」
「と言いつつ、自分もちょっと作って欲しいシャマル先生でした」
「……そっ、そんなことないですよ? ただその、ちょっと思っただけで……」

 あはは、と笑って、シャマル先生は誤魔化した。

「そういうスキルが高かったら、ヴォルケンズのプレゼントにも手作り感を出せたのだが」
「つーか偉いなお前。全員分のプレゼント、きっちり用意したんだって?」
「ほら。例の、失踪中に稼いだお金があったので。あれ換金したら大した額になったから」

 実はパーティーの費用、そこから出てきてたりする。金貨や銀貨がたくさんあったので、グレ
アムのおっちゃんにこっそり渡してみたのだ。結構な額になって返ってきた。

「ヴィータだけチロルチョコ」
「一日五個で一年分だったら許してやるぞ」

 塵も積もればすんごい額になるので、ごめんなさい嘘ですと訂正する。

「実はここだけの話、シグナムのだけ迷って。結局カービィのぬいぐるみにしたんだけどどうだろ」
「……どーなんだ? それって」
「イメージ的にはあんまりだけど。でも前絵を描いたとき、何か気に入った感じだったから」

 まぁ渡してみねーとわかんないよな、という結論に落ち着く。それもそうなので、もうあんまり気
にしないことにした。

「最初はレバ剣用の砥石にする予定でした」
「クリスマスプレゼントにそれは少し……」
「まずお前が試し斬りされそーな気がするぞ」
「戻し斬り! 戻し斬り!」

 いつの間にか横にいたはやてが恐ろしいことを連呼するので、シグナムの耳に入らないように必死で
止める俺だった。


 


 その後ビンゴは無事終了。なのはの次がフェイト、ヴィータ、でもってシャマル先生の順番。ちっ
こい人形セットやら文房具やら、いろいろと良さげな賞品が出てきた。

「……はやて、そういえば変なの用意したって言ってなかったっけか」
「ヘンなキャラクターのグッズだったぞ。実害はねーだろ」
「……それをもらってきてしまったのだが」

 クロノがだるーな感じの猫のストラップをゲットしてたのはちょっと面白かったです。
 でもってその後は、すこしイベントには時間が空く。トランプしたりお菓子食べたり雑談したりで
、賑やかなパーティータイムを楽しむことになる。

「大人気ですねザッフィー。さっきから色んな人乗せて」

 ザフィーラが人間型になったり犬型になったりで忙しそう。何故かというとはやてが乗りたがるか
らであり、それを見たなのはやフェイトもやってみたそうな顔をしてくるからである。あんまり断り
きれないらしく、それぞれ背中に乗せてあげたりしていたみたい。

「あまり乗せたことはないのだが……」
「考えてみたんだが、ザッフィーの色を白くしたらもののけ姫が……あれ。誰がサン役だろ?」

 そう考えると、実はハマり役がいない気がする。野生っぽい登場人物っていなかったか。

「というより、お前は事あるごとに私の体色を変えようとしていないか」
「でも外出する時は魔法で白に変えてるよね」
「目立つからな。あれは仕方なくだ」

 ホワイトザッフィー、いいと思うんだけどなぁ。ソフトバンクっぽいし大神っぽいし。

「そう言えば思ったんだけど、闘ってるとき人乗せたりしないの? こう、騎馬武者みたく」
「……あまりやらないな。だが、少し面白いかもしれん」
「わくわくわくわく」
「いや、お前は戦えないだろう」
「闇の書のバグ破壊のあれが、本当に最初で最後だろうな」

 横合いからクロノにも指摘される。そういえばそうでした。

「いいや。ヴィータが悪戯魔法作ってみるって言ってくれたし」
「『扇風機の前で声を出したくて仕方がなくなる呪い』だったか?」
「いや。『かた結びが解けない呪い』か『きのこの山の柄が全部折れてる呪い』にしようと」
「君はどうしてそういうことばかり考えつくんだ」

 クロノが呆れたような表情でこちらを見ている。

「暇さえあればこんなことばかり考えているからな」
「あとは、なのはいじりとか。最近はパターンが少ないので、はやてやヴィータと相談中」
「この間ので、ホラーすぎるのはダメってことになったからな」
「桃子さんの前でいろいろやってみると、面白いことになるかもなー」

 いつの間にか俺の座るソファの背中のところに、ヴィータとはやてが腰かけていた。

「てや」
「とう」
「今日二度目やがなぐええ」

 そのままなだれ込んできてつぶされた。



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