そのころのギンガさん2



「あっ」
「ん?」

 現れた髪は片側にまとめられた、我らがスターズ分隊長の栗色の髪。
 ではなく。
 手入れの届いた、切り揃った茶色の髪であった。
 大きな目でギンガを見ているのは、はやてだった。

「ご無沙汰してます、八神部隊長!」
「久しぶりやな、ギンガ。元気みたいで何よりや」

 妹のスバルが世話になっている部隊である。出向の話が出てくる以前も、ギンガは六課を何度か
訪問したことがあった。
 その時から顔を合わせ知り合いとなっていた二人であるが、共に仕事方面が忙しくて、なかなか
顔を合わせる機会がなかったのである。
 ギンガの訪問目的、施設案内の時に顔を合わせるということはわかっていたものの、実際に顔を
見ると話したいことが次々とわき出てきた。

「ゲンヤさんは元気にしとる?」
「はい。昨日なんか、私が止めるのも聞かずに遅くまで仕事しちゃって」
「元気は余っとるみたいやな……」
「ははっ……なのはさんは?」
「今は教導後の休憩中や。そういえば、料理長不在で食堂が開かんって残念がっとったなぁ」

 つい先程まで頭の中がなのなのなのなのでいっぱいになっていたギンガも、久しぶりの再会に、
それら全てが隅っこの方に追いやられているらしかった。二人とも嬉しそうに話し、近況や現状を
語り合った。

「今日はこの後の教練もあらへんし、スバルにも会えると思うで?」
「それが、さっき聞いたんですけど、自主訓練してるみたいで。邪魔になるので、今度にします」
「そっか。ほな、案内はじめよか。ついてきーや」

 と言って、手をひらひらさせて出立の合図をするはやて。
 その背中を見て、ギンガははっとした。
 シャリオのセリフを思い出したのだ。
 ついでにいろいろと頭の中によみがえっていた。
 なのなの的な意味で。

「あ……あのっ!」

 あわてて呼び止めると、はやてはきょとんとして振り向いた。
 その顔を、ややおどおどしながら見つめて、ギンガは次のように言った。

「その……『アレ』の禁止令って、解除する予定……ないんですか?」
「アレ……って、何や?」
「あ、いえ、ですから……なのなの、って……」
「ああ、なのなのかぁ。なのなの禁止令は、そうやな……」





「……は?」





 続く。



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