ドクターからメタルガジェット試運転の依頼があったのが一昨日で、現場に到着したのがついさっき。
「標的予測位置より2メートルの地点に、10秒後着弾。狙い通りです!」
「ドラゴンボール投げるベジータみたいなコントロールだな……で、警告文はどうしたんだ?」
「紙に書いて2、3枚貼っときました。『次は当てますよー(^^)』って」
「じゃあ素直に帰ってくれたらこいつら耐えきって勝ちだな。戦いながら出方を窺うか」
そして今、上空から迫る巨大な物体に、ルーテシアは気付いていなかった――。
踊りに踊り続けた結果、ステップを間違えた。その隙を見てウインディ様はボードに乗りこみ、
最後にこっちを睨んでからクアットロさんを連れてった。すんごい速さで連れてった。あまりにも
見事な逃げっぷりだったのでこっそり背中に携帯型のレコーダーを引っ付けて、ディレイでルパン
三世のテーマが大音量で流れるようにセットしてあげた。これが流れると絶対逃げられると評判の
BGMだ。次会うときは大切なものを盗んで行こうとやって来るに違いない。私の心とか。
とりあえずこれでもう暇になる。草の上に腰を下ろし、さてどうしようと考え始めた。個人的に
はこのまま六課オフィスに忍び込んで職員の中に紛れ込み、「オーリーを探せ!」大会を開催した
いところだがそうは行かない。
ヴィータは俺の帰りとポケモンを待ち続けるあまり、どうやらゲームハードになってしまったら
しい。そしてこのままだと、なんだかシャマル先生も危ないらしい。あんまり待たせすぎるとマイ
クロソフトの野望により改造され、箱◯の後継機・シャ◯にアップデートされてしまうに違いなか
った。これ以上犠牲者を増やす訳にはいかないし、そんな巨大ハードが完成したところで八神家の
棚には入れるスペースがなかった。
「ぬことじいちゃんが力を合わせてはやての幸せを〜……」
かといってあまり動くのは良くないので、何とはなしに歌をうたってみる。
「……にゃふらっく!」
「招いて」
いつの間にかリインがやって来ていたらしく、くわっと括目して宣言したところを横の方から突
っ込まれた。
大事なフレーズを少し忘れただけでとんでもないブラックジョークになるから困る。やれやれと
立ちあがり草葉をぱんぱんと払うと、久しぶりに会うリインの顔があった。心なし嬉しそうだ。
「おっす」
「ん。……少し、心配した」
「実はこっちもそうなんだ。ヴィータがポケモンを待ち続けた結果、ゲーム機に自分の名前つけたとか」
「うん」
「やっぱりか。もう買った?」
「ううん」
「どうして?」
「クリスマスプレゼントにする」
「なるほど。でもこれ絶対全員かぶるよね」
「……それならそれで」
リインは譲る気がないようだった。このままだと八神家の机がゲームハードになったヴィータに
占拠されてしまいそうだが、まぁ確かにそれはそれで面白そうだ。今のうちにアルバイトでもして
資金を溜めておこうと思う。
「ん?」
「来る。みんな待ってる」
くいくいと手を引かれるので、連れられるままに歩きだす。
どうやら何だか戦闘中なようなので、とりあえず建物の裏側で待機することになっているのだとか。
「管理局の人が探してるんだって? 何だっけ確か。俺が原因で聖人に空から熱い塊が降り注ぐんだっけ?」
「確か、そんな感じだった」
「それ俺じゃないよ絶対……いくらなんでも見ず知らずの人に米かけちゃうのは事故だろ。略して事故米」
「意味が違う」
「そういやなのはは元気なんだってね。元気すぎてアヘ顔ナノハビームとかしてたらどうしようか」
「してない」
「その時は嫌だけど後ろで『なのは状態!』って背景つけてやろうと心に決めてるんだ」
「聞いてない」
「はい」
突っ込まれながら手を引かれて森を歩く俺だった。
「おお、退いてく退いてく。アタリだったな……やりすぎたか?」
「いきなり潰すより、だいぶ温情あると思います」
「だよな……じゃあ、キャロ」
「はい?」
「味方の援護はもういいだろ。逃げるまでなら獲り放題だぜ」
「……はい!」
そして狩りが始まったという。
(続く)
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ヴィータがゲームハードになった。略してヴィータハード。
だいぶブランクあったけどどうかな。
まったりぐだぐだしてる場面が書きたいです。