まだまだ季節は秋だけど涼しくなってきたということで、八神家にこたつシーズンが訪れた。
「てか、あったんだ。足に悪いかもと思って、てっきり無いものかと」
「逆や。冷やしすぎるとアレやからって。石田先生がゆーとったん」
話を聞けば、今までは時期が来ると石田先生がやってきて移動と組み立てをやってくれてたとか。
しかし今は人手があるので、皆してせっせと組み立て中。ちなみに自分の担当は組み立てでした。
足を付けたりコンセント繋いだり。
「そしてハイパーぬくぬくタイム」
ぱぱっと終わらせて、完成させて早々に潜り込む。
「家主より先に入り込んどるとは何事や」
「八神家は合衆国ニッポンが制圧した。それに伴い、守護騎士を黒の騎士団と改名する」
「守護騎士総員でお断りします」
「改名お断りします」
とりあえずすることが無いので、皆で足を突っ込んで雑談。
シグナムが持って来てくれた醤油のお煎餅うめぇ。シャマル、コーヒー淹れんのえらい上手にな
ったなぁ、とか言いつつ思い思いのことを始めた。雑誌読んだりゲームボーイ弄ったりテレビとか
観たり。いいともやってら。
「てか、こたつ割と大きいね。ギリギリだけどこの人数で使えるとか」
「今年がこんなんなるとは思っとらんかったけどなー」
それはそうだ。変な子供一人拾った挙句、本から人が出てくるような珍事態が一年に連続すると
は誰も思うまい。楽天と広島が同時に優勝するくらいに予想だにつくまい。
「みんなは、こたつ初体験やの?」
「はい。いいものですね、これは」
「気をつけよう。使い過ぎると出たくなくなって、新生物こたつむりに進化する。主に真冬」
「妙に実感がこもった言葉のようだが」
「根っこの部分は基本的に骨惜しみ野郎なものでして」
「そりゃーお前」
言わなくても分かる、とはヴィータの回答。全員が同意したように首を縦に振るので、ものぐさ
人間認定されたようでちょっと傷ついた気がする。まあ事実だし、別にいいけど。
「でも足だけ突っ込んでるから、みんな逆向いちゃうのがアレやな」
「テレビつけるかゲームすればいいんじゃね?」
「そういえば、最近テレビでゲームやってない気がする。ゲームボーイばっかで」
「というかポケモンばっか。の割に、まだまだやりこみが足りないヴィータとシャマル先生でした」
「うっせ」
ということになったもので、ゲームは具体的にはロクヨンマリオカートとか。バトルレース楽し
いです。
「ああああああっ! てっ、てめえ! スタートダッシュでぶつかってくんな!」
キノピオを選んだヴィータが悪いんだけど、そんなこと気にせずドンキーでぼっこんぼっこんに
してやりました。
で調子に乗って、遊び疲れた。
「そろそろ新聞の夕刊を取りに行きたいのに、しかしこたつから出たくない。どうしよう」
「あたしも……」
「というか、もう眠くなってきました……」
守護騎士の皆も、何だかうつらうつらといった感じだ。
まったりしすぎた、というかこたつの力に汚染されてしまったらしい。シグナムとか小さく寝息
立てて寝てるし、ザッフィーはザッフィーで丸くなってるし。
「はやて。はやて」
「んん……んぅ」
ふと見るとはやてまで隣で寝てたので、取りあえず起こしておくことにする。夕飯の支度もある
し、一応足とか大丈夫かなと思ったので。
「むー」
「むーじゃねぇ、はよ起きれ。足平気?」
「……あー」
目がようやく開いた。
「おはようございます」
「んー、おはよー」
「おはようございました。ずいぶん入ってるけど、足大丈夫?」
「ん。よく訓練された足やから大丈夫」
マヒしてるのに訓練とはこれいかに。大丈夫ならいいけど。
「ずいぶん寝てた気がしますが」
「ん? ……わ。もう四時やん! そろそろ支度せんと」
「なら、シャマル先生とヴィータが起きて……」
る。と思ったら、仲良く寝てる件。二人ともよだれ垂れてるよ。
「シャマル先生寝ないで。寝たら進化するよ。こたつむりになるよ」
「ふぁい……」
昼間の台詞とか忘れてるんだろうなぁ。まぁいいけど。
「で、今日の夕飯なに?」
「こんがりオリーシュの丸焼き」
「はやてが俺を焼き殺そうとする件」
「んー。でも、煮ても焼いても不味いような気がするわぁ」
夕飯は二人で相談して、今日はオムライスにすることが決定。やっと覚醒したシャマル先生が付
け合わせのサラダを作るらしいので、それはそれで楽しみである。
味付けする要素が無いので、万に一つの事故も無いから安心。
「希望者にはオムレツも作るけど、二人ともどないしよか?」
「オムライスの中身、はやてのチキンチャーハンの味が気になるのでステイで」
「すっごい手間だと思うんですけど……はやてちゃん、大丈夫?」
「そんな手間変わらんの。昨日のハンバーグ崩して使えるから」
さすがはやて、とシビれてあこがれながら、料理組は今日もキッチンで格闘してきました。