学校が始まって暫く経って、ようやく涼しくなってきた。
「生活が快適になってきた」
「あとは秋雨さえなければな。今日は晴れやからええけど」
昨日一昨日と雨が続き、今日はちょっと懐かしい晴天が帰ってきた感じ。
シャマル先生が嬉しそうににこにこして、シグナムと洗濯物を干しに行くのがさっき見えた。
料理がちょっと上達してきた(もちろんサポートという名の見張りは必要だが)ことで、何だか
家事全般が好きになってきた模様。
この調子だとはやても楽だ。シャマル先生様々である。
「……その割にシャマルで遊んでいるように見えるのは気のせいか」
ザッフィーが横から言うも、きっと気のせいではないと思う。
だって楽しいし。面白いし。
「今日は晴れなので、帰りにおつかいができる。何か買う?」
実は学校帰りの買い物、結構自分の役目だったりする。
今行ってる小学校は金銭持ち込み禁止だったりするけれどそれはそれ。
「夕飯メンチカツやから、ひき肉お願いな!」
「はやてが俺をミンチにしようとする。何という猟奇趣味、日本の小学生怖すぎる」
「お宅のお肉は美味しくなさそうなので却下や」
「確かにまずそーだ」
「煮ても焼いても食えないのは確実だな」
はやてと一緒に好き放題言ってる守護騎士たちだけど、最近すごく失礼なんじゃないかと思うこ
とがあるんです。
「オリ主が蹂躙するのでなく、逆に蹂躙される。こんなことがあっていいのか」
「前者もあかんと思うけど」
「ということで、ささやかな復讐。ヴィータに布かぶせて吊るして、明日の晴天を祈ろう」
「てめー」
朝っぱらからヴィータが怖くなり、追いかけっこが始まった。
捕まったらきっと命が危険になるので、とっとと退席して行ってきます。お約束というか何とい
うか、まだトーストくわえたままだ。
「ハッ! ここでもし交差点とかに差し掛かったら……」
「転校生とのフラグではなく、車に轢かれるのに一票」
さすがに二回も世界を移住したくはないので、通学路の交差点は慎重に歩きました。
でも八神家ってミッドに移住すんじゃなかったっけ? どうなるんだろ。移動するのかなぁ。
でもって帰り。
はやてに頼まれたお使いに行こうとしたところ、途中まで来ていたホワイトザッフィー(街中で
青い犬はさすがに拙い、ということで)が、なんと背中にのせてくれた。
「速い、速いぞ! いいなあ、魔法っていいなあ」
ちょっと揺れるのが難点だけど、すんごい速い。これはすごい。
「暇だったのでな。体を動かしたかったついでだ」
「あ、しかしなのはさんに見つかるとまずい。大丈夫かな」
「翠屋から距離はあるし、そのような愚は冒さん」
頼もしい盾の守護獣である。
「戦うことになったら気を付けてね。最近どうしてか、ゲームでも小技でコンボ使い始めたから」
ザフィーラは戦々恐々といった顔をした。犬だけど。
「凄まじい火力にコンビネーション……以前の話よりも、余計に質が悪くなっているのは気のせいか?」
「たぶん、まずい。技術的なことは諦めて、今後は精神的に魔王脱却を目指す」
「足掻きにしか思えんが。一朝一夕では無理だろう」
「来年からも計画は続くと思う。どうにかして『仲間って強いにゃー』って思わせたいんだけど」
しかしこのままいくと、ひょっとしたら将来の称号、「魔王」から「大魔王」にするべきかもし
れない。
「いつか先の話、ティアナがシューター当たりすぎで死んじゃうかもしれない。何とかしないと」
「……時々思うんだが、部下ではなかったのか。扱いが酷過ぎるぞ」
「部下だろうがスカだろうが容赦ないのがなのはさん」
「冷酷無比にもほどがある」
とか、そんな風に話して進んだ。人通りがあるので途中から念話に切り替えたが、これだと俺が一
人でぶつぶつ独り言を言っているようにしか見えないと思う。
「いつか悪い噂が立たないだろうか心配です」
『勘違いするな。もう立っている』
「あんだとう」
こんな感じで話しつつ、スーパーまで走った。
「……おお、できた。完成してた」
『どうした』
「や、気にせず。こっちの話」
『?』
夕飯は今日もおいしかったです。