「何? 魔法を使いたい?」
シグナムに相談してみたのだが、うむむと唸って黙りこんでしまった。
「無理かな。魔法世界に来たからには手を出してみたいけど」
「無理だろうな……リンカーコアが無くては」
「『缶のコーンスープの粒が一生出て来なくなる呪い』とか開発してみたいんです」
「地味だが強烈な嫌がらせだな」
シグナムが嫌そうな顔をするあたり、相当効果があるのかもしれない。
「他にも、『食べたクッキーが歯の表面から取れなくなる魔法』とか」
「……お前の頭の何処からそういう発想が出てくるのか、時折不思議になる」
「でもそっか、やっぱりコア無いのか」
「お前に魔法を使わせると、我々の平穏が脅かされるからそれでいい」
失礼な。
「でも退屈じゃないと思うんですよ」
「まあ、な。確かに、退屈ではないが」
「あ、コーヒー淹れるけど飲む? 皆飲むし、カステラもあるよ」
「すまんな。いただこう」
「よし、じゃあ全員揃ったし、塩コーヒーでロシアンルーレットごめんなさいやめときます」
シグナムが行ってしまいそうだったので、謝って引き留める。でもってふつーにコーヒーを淹れ
てテーブルへ。
「妙な真似してねーだろうな」
「大丈夫だ。私が監視した」
「おのれ。魔法があったら、気付かれないように塩コーヒー作れたというのに」
なら安心か、とヴィータが口に含んだ。続けて皆口をつけ、カステラに手を伸ばす。
「お料理お疲れさまでした」
「夕食お粗末様でした」
「今日は風呂担当シャマル先生か。先にスト2やってていい?」
「えーよ。ヴィータ、やる?」
「じゃ、やってる。今日こそはボッコボコにしてやる」
「ガイル使いますか? ザンギで滅殺してあげましょうか?」
「うるせ! 昨日みたいにはいかねーからな!」
てな感じで、何だかんだで毎日楽しいです。
で。
はやてと本日の風呂世話担当のシャマルが風呂から上がり、シグナムが次に浴室に入っていった
時のこと。
「シグナム☆セッケンスタイル!」
「オリシュ☆エロスタイム!」
「アァン」
訳すと「シグナムが風呂に入った→悪戯しようぜ→ぬふぅ」という、はやてと俺の会話である。
「でとりあえず、シャマル先生はどうでしたか」
「実はな、それが……」
「なななな何話してるんですかっ!」
シャマル先生と一緒に風呂に入ったはやてに耳打ちで話してもらってると、真っ赤っ赤のシャマ
ル先生に妨害された。
「ちがうぞよ。まろはしゃまるぅのムネのさいずなんて聞いてないでおじゃる」
「き、聞いてるじゃないですかッ! ていうかどうしてはやてちゃんが!!」
「胸タッチでサイズが分かる。まさにゴッドハンドはやて」
「わー、照れるなぁ。そんな偉い称号もらってしもーて」
「偉くないですッ!!」
二人して怒られる。怒られているのだが、怒ってるのか泣いてるのか恥ずかしがってるのか分か
らないシャマルが面白すぎた。
「身体が子供なせいか、性欲あんま無いんだよね。興味があるのは単に好奇心かな」
「やなー。それに私、女の子やし。百合属性あらへんし」
「おっぱい! おっぱい!」
「おっぱい! おっぱい!」
二人で腕を振っていると、「誰か止めて」と言いつつ泣きそうだ。やめよう。
「だがサイズは聞く。はやて、いくつだったの?」
「わあああぁぁっ!」
シグナムおっぱいは惜しいけど、シャマル先生からかってて楽しいからいいや。
「……あ。そういえばはやても、10年くらいで結構ナイスばでぃだった気が」
「なん……やと……?」
「ショックを受けている。どうして?」
「貧乳はステータスと聞いたので」
世の悩める女性たちに謝れ。