お仕事の翌日目覚めてみると、口内炎ができていた。食べ物を食べると非常に痛い。
「あー、もう穴になっとる。痛そうやな」
「食ったものが当たって痛いです」
「野菜食べへんとなりやすいって聞いたけどなー。とりあえず、軟膏塗って経過待ちやな」
唇をめくって見せてみた。ほっぺの内側にできているらしい。
「噛み切りたい」
「いやいやいやいや」
あんまりにも痛いので患部を直接取ってしまいたいのだが、はやてに止められてしまう。
「夕食は食べやすいものがええかもなぁ。何にする?」
「ポッキー」
「野菜を食べなさい」
「じゃあプリッツサラダ味で」
「それサラダちゃう」
しかも塩味は痛いところにしみると気が付いて、おとなしく撤回した。
「今思ったんやけど、野菜サラダにプリッツ砕いて入れたら美味しい気がする」
「アリな気がする。それでよくね?」
「ならそれと、辛くないものでえーか。焼き魚に、茶碗蒸しとか」
「プリンと申したか」
「茶碗蒸し」
空耳にもほどがあったようだ。
「8人3匹分かぁ。お魚は大きめのにして、皆でつまむのがええかも」
「8人って……あ、あれ? もしかして、わたしが食べてくのも前提になってない?」
こたつの対面で、なのはが何やら困惑したような声を上げた。
「えー。なのはちゃん、食べてかんの?」
「え、あ、じゃあ、お母さんにメールしないと……」
「もう了解取っといたけど」
「私より早いってどうなんだろう」
遊びに来ていたなのはである。口にはしないけど、玄関のチャイムが鳴った時には既に許可をも
らった後だった。
ちなみに桃子さんアドレスは、シャマル先生経由で入手済み。お店の新メニューとかの情報もも
らえたりするので、メールの受信回数もそこそこあったりする。今度は高町家に泊まりに来てねと
も言われてるし。
「8人って大変だよね……はやてちゃん、わたしもお手伝いするっ!」
「お。ありがとなー、ホンマ助かるわぁ」
「うんっ……えへへ」
はやてに頭をぽんぽんされて、まるでただの子供のようにニコニコ上機嫌ななのは。
「なにこの茶番」
正直に言っただけなのに、二人から口の中にみかん突っ込まれて沈黙を強要された。とりあえず
なのはにこのあと、プリッツをひたすらポキポキ折る作業を押し付けようと決意した。一本ずつ。
「それで、それで? フェイトちゃん、何て言ってた?」
「言葉少なに喜びを表現していたと思われる。感動しているように見えた」
そもそもどうしてなのはが来ているかと言うと、つまり手紙とお守りを受け取ったフェイトの様
子が知りたいとのことだった。ご飯を食べ終わってから、今さらだけどつらつら話す。
「わたしたちも、お守りとか持っていけばよかったかもしれへんなぁ」
「じゃあ俺が次回、アルフを超かっこよく描いた絵馬を持っていってやろう」
「けーとくん、もうそれでご飯食べていけるよ……」
しかし絵師の世界は厳しいので、飯を食うには売れるものを描かなければならないという現実。
「……アニメ内で同人誌製作って新しくね?」
「この作品における登場人物および団体、施設名は実話を元にした実話です」
売れるもの思いついた。しかしはやては理解したようだが、なのはが首を傾げたのでアニメ世界
うんたらの話は止めておこう。まぁ別になのはなら話しちゃってもいいんだけど。
「それはさておき。ありがとう、また遊びに行くから、ってゆーとったよ」
「そっか……早く会いたいなぁ」
「行けばいいじゃん。喜ぶでしょうに」
「けーとくん、私たち、もうすぐ学校あるんだよ?」
「………………………あっ」
今気がついた。
すっかり忘れてた。
「し、仕方ない。月3月4の授業を切って金4と金5に」
「こら」
衝撃のあまり、自分を見失うことしばし。
「もう明後日とは。宿題終わらせてあって良かったでござる」
「もう冬休みも終わりなんか。この分やと、学校参加は春以降になってまうなぁ」
「あ、そっか……はやてちゃん、足の具合って、治るにはまだかかるの?」
「順調にいけば、今月中にリハビリに入れるって言われとるよ」
学校生活に向けて、ただいま着々と準備中。
「あ。じゃあ、私はこのくらいで……」
「えー。なのはちゃん、帰ってまうの?」
「さっき桃子さんに許可は得ましたが」
「は、早すぎるよっ!」
結局泊まっていくことになりました。
(続く)
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なのはの泊まらせ方。
この三人とヴィータは書きやすい筆頭です。