「エイミィさんから宇宙人扱いされたと聞いて」

 お仕事終了後、それぞれやったことの報告会(@管理局)で、はやてがそんな風に聞いてきた。

「この世界出身ってこと、伝わっとらんかったんか」
「や、前の世界も地球って言うことは知ってたみたい。それに対してだって」
「なるほど。それにしても、隕石が体の中に入っとったかも知れんとは」
「俺が思うに、この体って、死んだときのを寄せ集めた結果なんじゃないかと思う。仮説だけど」
「そっか。使えなくなったの以外を寄せ集めて、隕石もそのとき……想像したくないわぁ」
「同じく」

 気分が悪くなりそうなので、この話は一時中断にする。後から来るフェイトによろしくない。

「なーなー。私、みかん食べたいんやけど」
「管理局にみかんは……あ、食堂に果物売ってるわ。メニューこれじゃん」

 でもってはやてが食べ物を要求するので、いろいろ買ってきて仕切り直し。

「そちらはシグナム前衛のリインがウイングで、犯罪者成敗とか聞きましたが。ウイングって何」
「トップのフォローと、横方向の機動戦ですね。リインには適任だったみたいです」
「まぁ単独でもアレだしな」
「この寝顔見てると想像つかんけど」

 現在リインは疲れたのか、シャマル先生の隣に座ったままこてんと首を預けて眠っている。運動
したいと言っていたから、はりきって働いていたにちがいない。

「こいつらが後衛に控えてる時点で勝ち確だよね」
「言えてる」

 とか言ってはぐりんたちと遊んであげたりしているうちに、時刻は午後3時半。そろそろ来るか
なといった空気になったところで、ちょうどドアに付けられた鐘が鳴る。

「誰がために」
「我がためだ。今日はお疲れ様」
「エイミィさんとリンディさんは」
「活動報告まとめてるところだ。後から来る」

 クロノとフェイトとアルフだった。軽く手をあげて応じる。

「お前と会うのは久しぶりだね。ここ、失礼するよ」
「お、おじゃましますっ」

 俺の正面を見張るように座るアルフに続き、フェイトも入ってくる。ここは八神家じゃないんだけど、ちょっぴり緊張しているら
しい言動はご愛嬌。

「いらっしゃい、フェイトちゃん!」

 にっこり笑ってはやてが答えると、フェイトははやてのところにとてとて歩いて、そのまま隣に
座った。ちょっぴり嬉しそうだった。

「仲良くなっていたみたいだな」

 微笑ましそうに見るクロノだった。

「はぐりんたちと?」
「ひゃっ……く、くすぐったい……!」
「こっ、こら! 言ってないで早く押さえろ!」
「フェイト。そういう時は『めっ!』って言わんと」

 はぐりんたちも久しぶりに会えて嬉しいらしく、遊んでもらおうとフェイトの方に集まっていっ
た。しかし背伸び(?)したところテーブルから落ちてしまい、フェイトのいろんなところが銀色
になっていた。これも久しぶりな光景だった。





「おしるこ?」

 報告会が終わると、次第にそんな話題になる。お仕事が予想以上に早く終わったので、クロノた
ちが次の仕事に行くまで時間があるのだ。聞きなれない単語を聞いたフェイトがこちらに質問して
きた。日本のお菓子的なものだよと説明してやる。

「いっぱい作ってきたので、よかったら。感想聞かせて下され」
「……うん。ありがとう」

 と答える素直なフェイトだが、それとは別にそわそわしている影がひとつ。

「おっぱい作ってきたと聞いて、と言いたいけどつまらないので止めるはやてであった」
「くっ、クロノくん。コーヒー用のお砂糖どこなん?」

 図星だったらしく、あたふたとテーブルを探すはやて。

「これでござるか」
「そ、そう、それ! ほな、こっちのカップに……」
「残念だが中身はすべて塩に入れ換えたでござるよ」
「それ最初っから塩ってことやろ」

 最近のはやてはなかなか騙されないので面白くない。

「フェイトちゃん、気ーつけてな。この人フェイトちゃんのこともだまくらかして弄ぶつもりや」
「人の妹にちょっかいをかけるのは止めてもらえるかな」
「ちょっかいだなんてそんな」
「返事はイエスや」

 そしてクロノとはやてが手を組むと、なかなかどうして厄介なようである。

「まぁそれはともかく。勉強は順調?」
「あ、うん。もらった参考書、最後まで終わらせたんだ」
「早っ」
「地球にハラオウン家の拠点が早々に出来そうですなぁ」
「あ、そうそう。そっちの『こたつ』が欲しいんだけど、あれ何処に売ってるの?」
「ん? 家具店に普通に売っとるよー」

 こたつの魅力に気付いたらしいアルフである。

「ザフィーラと並んで寝てると赤青できっと綺麗だよね」
「否定はしないけど……」
「お前が言うと何か裏があるように聞こえるな」

 裏も何もなかった発言なのに、ザフィーラがなにやら失礼でならない。

「何も裏はない。というか、ザフィーラが白くなったら紅白そろう件。ブリーチしようぜ」
「漂白……だと……?」
「じゃあアルフ。アルフとアルビノって語感も似てるし……すごい! 大神様と性別合うじゃん!」
「何の話だよっ!」

 ネタが分からないが、とりあえず抗議することにしたらしいアルフだった。

「あっ、アルフを染めちゃだめだよっ」
「染める違う。漂白して洗うだけ。服だってほら、洗濯するでしょ」
「え……? そ、そうなんだ。じゃあ……」
「フェイトっ!? お、お前っ、フェイトをたぶらかすなっ!」

 フェイトははやてと違って遊びやすいなぁ。

「海鳴で会うのが楽しみだ。またこっちに来るかもしれないけど」
「あ……ありがとう。私、頑張るからっ」
「ところで、あのなのはからの封筒。ぽこってしてたけど、手紙のほかに何か」
「お守りが入ってたんだ。三人で買ってきてくれて」
「交通安全?」
「が、学業成就だよ!」

 ゆっくり話してました。



(続く)

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遊びやすいフェイト。
この子はオリーシュと二人にしちゃ駄目だな。



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