= 拍手お礼不定期連載 =
なのはのテスト勉強奮闘記 1:発端編
200X年、なのはは赤の炎に包まれた!
古典は枯れ地理は割れ、あらゆる教科が絶滅したかにみえた――。
「しかし数学は滅びてはいなかった!」
遊びに行ったなのは部屋で、なのはの期末試験の答案をぱらぱらとめくり
ながら言う。当のなのはは机の対面で、もうなんだか死にたそうな感じ。
中学最初の期末試験だし、とか何とか言って張り切っていたのがこの結果
である。簡単に言うと惨憺たる有様で、そりゃあ落ち込みもしますわな。
「いやぁ……しっかし、これは」
「……わ、笑っていいよ? せせら笑ってよ。いつもみたいに」
「……………………」
「わっ、わ、わ、笑ってよお! こっちが悲しくなるでしょう!?」
俺が黙りこくってしまうと、なのはは半泣きですがりついてきた。
でもだってその。数字の十の位に2とか3とか見えるとちょっと。
「気の毒すぎてとてもツッコめねぇよ」
「だっ、だってぇ! いきなり! むずかしくなるからぁ!」
「入学ってそういうもんだし仕方ない。次は頑張ろうね」
「はやてちゃんもフェイトちゃんも、成績良かったって言ってたのに」
なのははベッドに腰かけて、やるせなさそうな溜息を吐いた。
話を聞いていると、勉強がすっごく難しく感じるようになったのだとか。テスト
範囲が予想以上に広くなっていて、対応することができなかったのだとか。
歴史キライ大っ嫌いとか、地理なんてなくなればいいのに、とか。とかとか。
「もう、学校キライになりそうだよう……」
心底落ち込んだ声でつぶやかれた。
「で、追試は?」
なのはは聞きたくないと言わんばかりに、布団を頭からばさりとかぶった。
「めくれてるよ」
「ひああぁぁっ!?」
真っ赤になって隠そうとするのだけれども、今日のなのはは
デニムのパンツルック。少しするとからかわれたと気付き、
リンゴみたく赤面しながら枕でばしんばしんたたいてきた。
「しかしよわっちいなぁ。保健体育とか1なんじゃなかろうか」
「ばっ……ば、馬鹿にしないで。ちゃんと3とったもん」
「体育だけだとどうだった?」
「……う、うううぅぅぅ……」
はやてによるとたしか、一学期の女子はサッカーと水泳だったらし
いんだけど。しかしその実技も、どうもよろしくなかったみたい。
「も、もういいもん。中学出たらすぐ働くもん」
「脳筋パティシエなのはの誕生であった。いや、魔導師か?」
「うううるさいなぁ! けーとくんには関係ないでしょう!?」
「ああ間違えたわ。筋肉もないから、脳筋にすらなれないね」
「う、うう、うううえええぇぇぇんん」
久しぶりになのはに泣きつかれた。
(続く)