= 拍手お礼不定期連載 =
キャロと愉快な仲間たち 9
宿でゆっくり休息していると、キャロが色々と話を聞いてくる。
俺としてはあんまり気にしていなかったのだが、フリードに言う
こと聞かせたのが衝撃だったらしい。いろんな生き物と仲良いな
とは自分でも思っていたが、普通なことではなかったのかも。
「ホンヤクコンニャク食った覚えはないし……」
「調伏や支配系のレアスキルがある訳でもないからな」
興味津々な様子のキャロの前で、ザフィーラと一緒にいろいろ思
い出してみる。しかし何か能力もらった覚えは個人的にはないの
である。生き返る時は平穏無事としか言わなかったし。
「自分の身体について分からないってのはちょっと怖いね」
「安心しろ。魔導士の我々にもよくわからん」
キャロがこくこくと頷いた。天使さんと悪魔さんは本当に一体何
をやったんだろうか。
「ていう訳なので、方法はわかりません。ごめんね」
「いえ……やっぱり、自分でお勉強しますっ」
むんっ、とキャロはやる気を見せた。頑張り屋さんなようだ。
「そろそろ夕食にしようか。外食する?」
「そうしよう。私も同行するか」
わんこお断りのお店があったらまずいので、ザッフィーが犬型か
ら人間フォームへと変身する。
「……えっ? え、えぇぇえっ!?」
キャロとフリードが何やら騒がしくなった。どうしたんだろうと
思っていたが、実は人間になるのはまだ見てなかった気がする。
今まではずっとわんこフォームだったし。
「実は正体は、ご欄の通りの狼男」
「誰が狼男か。だいいち今日は満月ではないぞ」
キャロたちはびっくりしたような感心したような目をしている。
「そして人や竜は大好物なのだー」
「……旨そうな子供と竜だ。夕食に食ってやろう!」
「きゃー!」
いつの間にか追いかけっこになった。ぱたぱた逃げ回るキャロと
フリード、追いかけるノリノリのザフィーラ。みんな楽しそうです。
「軽く運動もしたし、そろそろ行きますか」
ベッド飛び越したり走り回ったりして、キャロたちもちょっとお
腹が減った模様である。
「そうだな。キャロ、行こうか」
「あっ、はい! 行こう、フリードっ」
一日二日しか経ってないけど、仲良くなってくれてよかった。
「こうしてまたひとつ、世界にただ友の輪が生まれたのだ!」
「誰がきれいにまとめろと言ったか」
ニコニコしたキャロの眼前で、後頭部をぽこんと叩かれた。
(続く)