そういやそろそろ新人組に会うと言うのに、挨拶で何を言うか考えていない。
 キャロはもう何度も会ってるからいいが、スバルはあちら側が覚えているかどうか分からない。さらに言うと他の2人
とは記憶する限りたぶん対面するのは初めてだ。
 名字がナカジマらしいスバルに「磯野ー、野球しようぜ!」と言わせたり、風のランスターであるところのティアナに
天のメイオウ攻撃(リインによるイオナズン)を浴びせたり、エリオに電波男の称号をプレゼントしたりいろいろやりた
いことはあるのだが、果たして上手くいくかどうか。
 こういうのは第一印象が肝心なので、最初の挨拶でみんなのハートをゲットでちゅう! したい! ぴっぴかちゅう!

「いつまで待たせんだ馬鹿。伝説のポケモンつかまえてないだろーな馬鹿。髪伸びすぎだ馬鹿。馬鹿。馬鹿。ばーか」

 とか思ってると突然背中に何かがぶつかり、頭の後ろでなにやら言ってきた。
 ヴィータの声だった。久しぶりだ。いろいろ文句があったみたいだけど、総じて馬鹿だと言いたいのだけわかった。

「ひどい言われようですね」
「うるさい馬鹿。まあ、帰って来たならどーでもいいんだ馬鹿。……ばーかばーか」
「ごめんね。ああ、お土産あるよ。ミックスオレとサイコソーダ手に入れてきた」
「ほ、本当か!? 本当に本物……あれ。金欠だったって聞いてたけど、どうしたんだ?」
「ヤマブキのゲートの警備員に物欲しそうな視線を向け続けたら、昔を思い出したとかで分けてくれた」
「確信犯め」

 と言いながらも目をキラキラさせて受け取るあたり、本当に楽しみにしていたみたいだ。粘ってよかったと思う。

「キズぐすりより体力回復するんだよなこれ。……へへ、楽しみだ」
「いいから背中から下りて……そういやこんな妖怪いたなあ。ええと、ええと、こなきじじい」
「誰がこなきじじいだ。ばかやろう」
「子泣き合法ロリの方がよかったか?」
「……幻想郷あたりに出そうだなその妖怪」
「家帰ったら『架空の妖怪作って東方プレイヤー釣ろうぜwww』ってスレ立てるんだ」
「釣れないだろ」
「釣れるって。アンカー指定を全部自分で取ってヴィータの特徴丸写ししてやれば」
「やめろ」

 両耳引っ張られた。いたい。

「こっち」
「はいはい」

 子泣き合法ロリを背中に引っ付けたまま、はぐりんたちに合図をして、リインに従っててくてく歩く。
 背中から一向に降りようとしないが、ヴィータ一人なら軽い軽い。はぐれメタルトリオに比べれば。

「へやー」
「ごほっ」

 と思ったら今度は腹に何か飛んできた。
 倒れそうになるのを踏ん張り、下を見ると桃色髪ブロンドが。ちっこいのが。

「聞いてください。聞いてください」
「聞いてます。聞いています」
「メタルガジェットを1匹捕まえたと思ったら、1匹しかないなら資料にするからボッシュートって言われたんです。嵌められたんです。このやるせない感情をどうすれば」
「諦めたら? 試合終了だよ?」
「……むむ。白髪のあの人に言われたら、もう諦めるしかありません」
「そうだね」
「……へやー」
「何故突進してくるのですか」
「この掛け声で突っ込んだら駄目なことでも何とかなると思ったんです」
「最近あまり何とかならないから」

 仕方なしに腕で受け止め、そのままずるずるずると引きずって歩く。

「えええ……何してるの……」

 そして待っていたなのはに呆れられる。

「ひとつ要りませんか」
「うう、ちょっと心配しててあげたのに……帰ってくるなり完全に平常運転だよ……」
「そうでもない。挨拶をいろいろ考えてたのに、こんなんじゃあもう何言っても台無しにしかならない」
「けーとくんは、いつも何かを台無しにしてると思う」
「ウルトラマン ダイナシ」
「たった一文字つけるだけで文字通り台無しにした……!」
「新人の名前聞いてるとタイトルに出来そうだよね。『ウルトラマンランスター』とか」

 また変なことばかり考えついて、となのははぶちぶち独り言をこぼした。くだらない事ばかり考えている自覚はあるが、
そろそろつい声に出してしまう癖を何とかした方がいいかもしれない。
 とか思っていると、なのはは俺の顔を乗り出すようにじっと見つめてきた。そうして視線を上から下へ、右手から左へ。

「……怪我とかしてないんだよね?」
「あいよ、大丈夫」
「そう? ……な、ならいいんだよ。うん」
「悪いね」

 心配しすぎではないようだが、それでも気にはさせていたようだ。
 今度お詫びに何か奢ってやろうかと思ったが、それより先に金を稼がないといけないことに気付く。翠屋の枠はまだ残っていた
ような気がするけれど、その場合なのはに奢る金の出所がご自宅のお財布になるってのはどうなんだろう。

「まぁいいや。じいちゃんにも呼ばれるだろうし、しばらくなのはの新米教師ぶりでも観察してニヤニヤさせてもらうとしますか」
「あっ、そういうこと言う? これでも、結構慣れてきたんだから。本当だよっ」
「けっこう?」
「……け、けっこうは言いすぎかな。そこそこ。そこそこだね」
「そこそこね」
「……や、やっぱり、ちょっと。うん。ちょっと」
「……」
「だ、だって……うう、ば、ばかっ」

 今日は馬鹿扱いされてばかりだ。

「ロッテリア姉妹の通信聞いてる限りはよく出来てるらしいし。大丈夫じゃね」
「け、けーとくんに励まされるなんて、この上ない屈辱だよ……!」
「ならばよし。あとただいま」
「あ、うん。おかえり」
「はやては今寝てるか授業中かだったっけ。ならオフィスで待つか。寝ながら」
「マイペースだなぁ」

 ヴィータとキャロをべりべり引っぺがし、新人たちのいる場所へ向かっててくてく歩く俺たちだった。



(続く)

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ぐだぐだ。

6枚英知舞デッキが楽しくて大戦に浮気してました。すみません。
舞は楽しいよ。「来るなよ!舞った直後に攻めてくるなよ!いいか!絶対だぞ!絶対うわあああ来たああああ!」っていうドキドキ感が。



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