とりあえず割と苦労もなく、俺がトリッパーってことは納得してもらえた。
 理解してもらったのだが、「じゃあ何か能力ついてんじゃね?」という疑問はどうやら晴れなか
った。特にザフィーラあたりが食い下がってくる。
 ので、疑念を晴らすことにする。

「よし分かった。俺が万能オリ主じゃねーってこと証明してやる。オリ主とは違うんですよ!」
「ほう。具体的には?」
「具体的には……」





オリ主とオリーシュの違い

ナデポして落とすのがオリ主、ナデボして燃やすのがオリーシュ
ナイフを投げるのがオリ主、さじを投げられるのがオリーシュ
小太刀が好きなのがオリ主、こたつが好きなのがオリーシュ
オリ主は格好いいデバイスを持つが、オリーシュは学校行きたくないでござる
オリ主はオリーシュになりたくないが、オリーシュはオリ主すらネタにすることがある
オリ主はみんなでドラゴンと戦い、オリーシュはみんゴルでドラコンを競う
勇敢に敵と戦うのがオリ主、夕刊はてきとーに読むのがオリーシュ
オリ主は大抵魔法を使えるが、オリーシュの相手は大抵アホ疲れる
オリ主は模擬戦が好きだが、オリーシュはえびせんが好き
秘密兵器なのがオリ主、秘密(にしないと恥ずかしい)兵器なのがオリーシュ
世界になかなかいない金髪オッドアイのオリ主、異世界に移動して金銀持ってないオリーシュ
オリ主は野生の動物に好かれるが、オリーシュは野生の植物で飢えをしのぐ
ほっぺたを赤くさせるのがオリ主、ほっぺたに赤い痕をもらうのがオリーシュ
オリ主は空を飛び、オリーシュはホラを吹く
女の子にもてるのがオリ主、フライパン持ってるのがオリーシュ
チャージして砲撃するのがオリ主、チャーハン作って砲撃するのがオリーシュ
オリ主はブリザードを多用し、オリーシュはふぶきを多用する
デバイス使って破壊光線撃つのがオリ主、ケーブル繋いではかいこうせん撃つのがオリーシュ





「こいつの特徴眺めてるとひどすぎるんだが」
「というかあれやな。もう『違い』ってレベルとちゃうな」
「こうして見ると、完全に別の生き物ですね」

 如何にオリーシュが普通のオリ主とは違うかを説明したかったのだが、これだと自分を貶めてる
だけなのでなんか泣けてきた。

「何が悲しくて自分で自分の悪評を広めねばならんのか」
「ま。とりあえず、お前に特殊能力とかないのはわかったからいっか」
「そうだな。良く考えればお前の場合、そう言うものを持っていたら悪戯に利用するしな」

 失礼なそんなことするわけないではないか。嘘吐け普段からして悪事だらけじゃねーか。
 てな感じにやり取りしている間に、ぶっちゃけなんだかもうどうでもよくなってきた。そろそろ
皆お腹がすいてきた雰囲気なので、昼ご飯を食べることに意見が一致。胃袋は正直である。
 でもって、お昼のテーブル。
 シャマル先生が自分の料理を食べた時、事件は起こった。
 以前の反応からすると、今日もどうせ「うンまァ〜〜イ!」って感じかなと思ったら。
 どういう訳か、渋柿食ったみたいなすんごい顔になったのだ。

「っ……に、にがいれふ……」

 でもって、俺たちは鳩が豆鉄砲くらったみたいなすんごい騒ぎになる。

「ばっ、馬鹿な! 苦しんでいる! シャマル先生が自分の料理に苦しんでいる!」
「おっ、おい、おかしいって。今まで食ってたじゃねーか、酸っぱい麻婆豆腐とか苦い蕎麦とか!」
「待て。今日は台風だ。遅めだが嵐が来るんだ。きっとそうに違いない」
「あああ……雷落ちたりするんかなぁ。私、すっごい苦手なんよぅ」

 八神家の面々にものすごい勢いでリアクションされて、軽く死ねそうなレベルで凹むシャマル先
生だった。再起不能になられては困るので、皆でよしよしして慰めた。

「わっ、わたしだって……わたしだってっ……」
「ひとりでできるもん!」
「そう、ひとりで……ちっ、違いますっ! それ小学生の料理じゃないですか!」
「でもスタートはあそこからだよな」
「小学生の私に料理の腕で負けとった大人が何を言うか」

 はやて、やめてあげて。そろそろ本気で泣き出すから。ね。

「黒歴史の抹消は諦めろ。最近の料理の上達は目覚ましいが、それ以上に今までの行いが悪すぎた」
「でも、不味いと思いはじめたんだね。最近まで普通に食ってたのに」
「うぅぅ……はい、少し前から……みんな、こういう味に感じてたんですか」
「料理レベルが上がったのは、味覚が改善されてきた証だったのか」

 とまあこんな感じに、再び話し合い開始。

「感覚にこうも変化が出るとは。味覚のプログラムが変更されたのか?」
「だったら他の部分にも影響出ないか? バグだけ除去されるってことはねーって」
「そういうもん? 自己修復じゃね。不良セクタだけ検出して修復したとか」
「転生はするが……そこまで細かい再生はしない。現に、シャマルの味覚はずっとこうだったしな」
「闇の書、何か変なものでも食べたんちゃうかなー?」

 そう言ってはやてが、ヴィータの持ってきた闇の書を持ち上げた。当然ながら、蒐集してないの
でページはまっさらなままである。

「まあ、いい傾向には違いない。お前の予感もきっと気のせいだろう」
「そんなはずはない。そんなはずは……なくていいや」
「とりあえず、今日の夕食決めよか。久し振りに、お寿司でも取る?」

 はやてからの魅力的な提案に、一も二もなく頷く八神家の連中だった。



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文章に何か仕込みたかったけど、コピペ改変する方が楽しくて忘れてましたw

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