?概略・チャーハンの作り方?
1 具材を用意する
2 フライパンを温める
3 強火で炒める
4 炒飯をブチ撒けろッ!

「特に4番、これ重要な。慣れるまでは省略不可」
「嘘を教えるな嘘を」

 折角シャマル先生にチャーハンの極意を教えていたのに、はやてが叩いてきて痛い痛い。

「嘘じゃねー。俺やってたし。昔はずっとやってたし」
「皆の昼ご飯台無しにせんといてくれる? 夕食をパセリだけにされたくなかったら」

 キアゲハの幼虫ではないので、素直に謝る。

「でも、よう教える気になってくれたなぁ。学校の準備もあるのに」
「最近ヴィータが俺の首を狙うので。少し遊びすぎたかと反省しますた」
「本心は」
「ご褒美としてオリシュの多くが一度は通る道、ナデポの機会を虎視眈々と。安西先生……ナ」
「あきらめたら?」

 台詞を言い終わらない内に切り捨てられて泣きそう。

「あの……『なでぽ』って?」
「レアスキル。おにゃのこの頭を撫でるとフラグが立つ、恐るべきスキル。それを今回は独自にアレンジ」
「アレンジ?」
「髪が摩擦で燃えるまで撫でまくる。頭がかっと熱くなり、受けた相手は骨抜きのメロメロに!」

 名付けて、ナデボ。骨抜きになるまで撫で続け、女の子の頭がボッと火を吹くのだ。物理的に。
 だが気が付けば、シャマル先生が怯えた目でこちらを見ていた。
 て言うか泣きそうだ。

「は、はやてちゃん助けてっ」
「節子、それメロメロちゃう。メラメラや」
「メラメラですか? 髪の毛禿げますか?」
「禿げます」

 残念ながら禿げ属性は持ってないので、名残惜しいけど諦めよう。





 とか何とか、いつまでもバカやってる場合ではないので本題。
 シャマル先生に料理を教える会。講師はやて、アンド俺。試食係八神家のみんな。
 言い出したのはシャマル自身である。なんでも、いつも料理をしているはやて(朝、昼、夕食担
当)と、一応俺(主にチャーハン担当)の負担を軽くしたいのだとか。
 でもって一回作ってもらって食べてみたら、正直味がかなり微妙というか何というか。食べられ
なくはないのだが。

「味付けさえ間違えへんかったら、基本的に食えるもんができるしな」
「ということで教材にチャーハンですか。チャーハン舐めてませんか」
「まぁまぁ、ええやんか。他の人のチャーハンも、食べてみたくあらへんの?」
「他の人はこぼすからやだ」
「どの口でそれを言う」
「自分でさっき推奨してたやろ」

 シグナムとはやてが、左右からぐにぐにと頬っぺたを引っ張ってくる。

「気付いたけど、味付け見てないで大丈夫なの? 塩胡椒の場所教えた?」
「ザフィーラが見てるから大丈夫や。材料とタイミング教えたし、間違ったら言うし」

 なら安心か。とばかりに、茶をすすりプチ饅頭を一口。横のシグナムも、一つ摘まんで食べてる。

「うまい」
「ああ、美味いな」

 落ち着きます。

「二人そろってじじくせぇ」
「ゲートボーラーがそれを言うか」
「っ! な、何で知ってんだよッ!」

 そりゃまぁ。
 ゲボ子だし。

「八神家も高齢化の波が押し寄せてきたみたいやなぁ」
「というか、守護騎士そのものが超高齢者な気がする。何年くらい生きてるの?」
「数えたことは無いが……気が遠くなるほど、だな」
「大変や! 八神家の半分以上が超高齢者!」

 頭を抱えたはやて。これは……フラグタイム!

「くらくらしますか? 頭なでなでしましょうか?」
「髪に火を点ける趣味はないのでお断りや」
「みんな、出来た! 出来たよーっ!」

 平和なお昼時でした。





「お焦げが無くてチャーハンと呼べるか! おのれ許さん、撫で焦がしてやるッ!!」
「きゃああぁぁっ!?」

 逃げ回るシャマルだった。



(続く)

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調子に乗りすぎた

※ 「ナデボ」は危険なレアスキルです。決して真似をしないで下さい。
  恋愛フラグ破壊、復讐フラグ発生に対し、作者は責任を負いかねます。

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