リイン妹は氷を作って飛ばしたり、周囲の温度を下げたりするのが得意だ。そのため暑い場所の
冒険に連れていくと、何かと快適で過ごしやすくしてくれる。

「しかし最近のリインの仕事は、冷製パスタを冷やす作業ばかりです!」
「なのは世界はスパゲッティ=エリクサーという噂を聞いたので、はやてで実験してたんだ」
「何と! ……んー、炭水化物がいいんでしたっけ」
「今度なのはにご飯にお好み焼きつけて食わせてみようと思う。泣いて喜ぶぞ」
「なのはちゃん、太っちゃいますよ?」
「大丈夫だ。馬車馬のように走らせるから」
「いつぞやのオリーシュブートキャンプですね! 日焼けしたけーとさんが、おもむろに剃髪を」
「しません」

 砂漠のど真ん中で、リイン妹は実に悲しそうな顔をした。

「ブートキャンプ面白いのに……」
「それより、リイン妹よ。宝箱が埋まってたぞ。なんかの罠がかかってるけど開けるねいいよね」
「い、意見を求める振りして問答無用です! リインがくらった場合、どう責任を取るつもりなのでしょうか……!」
「責任持って復活させるよ。囁くよ詠唱するよ祈り念じるよ」
「ハイになりました! ……あれ? この場合は成功と言えるのでしょうか?」
「通常状態に戻ったという意味では、成功と言えるのではないでしょうか」
「なるほどなのでしょうか!」
「さて開けましょうか」
「た、たたた、退避なのでしょうかー!」

 しょうかしょうか言うリインが逃げてったのを確認してから開ける。やっぱ罠かかってました。
 でもどうしてか作動しなかった。俺が開けると罠が機能しないのは何故だろう。この前ひとくい
ばこ開けた時も寝てたし。無理矢理起こして焼き肉ご馳走してやったけど。

「わ……罠は解除したのでしょうか?」

 リイン妹がサボテンの影からひょっこり現れ、恐る恐る口を開く。

「実はもう作動してるんだ。ここにいる俺は質量を持った残像で、本体は別地点にワープしたんだ」

 正直に話すつもりが、ついつい出鱈目言ってしまうのはよくあることです。

「まさかのテレポーターですか! 避難しておいて正解でした! ……あれ? 残像長くありませんか?」
「残像と蜃気楼が因果応報で、マスターヨーダのマグネティックフォースがリインの目をオプティックブラストしてるんだ」
「フォースを極めたのなら仕方ありません! ところで、本体は今どちらでしょうか?」
「*いしのなかあったかいナリぃ*」
「いろいろ混ざった結果たいへんなことになってます! えと、えと、あったかい石……マグマですか?」
「その呼び方で間違いはない」
「マグマですか! ついにマントル貫通しちゃいましたか! いつかやると思ってました!」
「嘘です」
「知ってました!」
「どのへんから?」
「マントル貫通ドリルレーザーのあたりです!」
「遅えよ」

 ぐぐっとガッツポーズするリインのおでこをぺちんとはたく。

「あうう……世の中の目まぐるしい変化は、こうまでもリインを置き去りにするのでしょうか」
「でしょうか」
「しょうか!」

 しょうかしょうか言うリインが見守る中、お宝の鑑定を済ませる。
 危ないものを見つけたらクロノ経由で管理局にプレゼントすることになっているが、今回は普通
にちょろっと銀貨が入っていた程度だった。せっかくだからもらっておこう。

「旅行の資金やらで、何かと要り用だしねぇ」
「一時期は小金持ちでしたのに……いつの間に減っていたのでしょうか?」
「二倍に増えないかなと思ってポケットに金貨を入れて叩いたら、なんと金の粒になってたんだ。すごいね?」
「大豆ですねばねばです枯草菌が大繁殖です!」
「抗生物質を投与したから大丈夫だ。……その名も、ペ」
「えっちです!」
「ヨンジュンさんです」
「や、やられました。ヨン様にそんな効果があったとは……!」
「ありませんよ?」
「知ってました!」
「ハハハこやつめ。ハハハ」
「ハハハ!」

 一緒に歩いていて飽きないリイン妹だった。



(続く)

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ペニシリンって名前卑猥じゃね?
あと遅くなりましてどうも。



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