なのはに頼むと、訓練の途中で背中に乗せてくれたりすることがある。

「仕方ないなぁ。ちょっとだけだよ、ちょっとだけっ」

 とか言いながら。これはこれで、浮力を調整する練習になるらしい。
 そして背中に乗せてもらっていると、アンパンマンに拾い上げられたような気分になる。
 頭にかじりついてみようかと思ったけど、前にやったら空中でわたわた暴れられたうえ固かった
のを思い出した。やめておく。

「そう考えるとなのはの頭から生えたツインテールが、バイキンマンのアレに見えてきた」
「バイキンマンは自分で空飛ばないよ?」
「あの飛行マシン作れるバイキンマンって実は天才なんじゃなかろうか。どうよ」
「す、すごい仮説が……あれ? けーとくん、それで、どうして髪をいじってるの?」
「ポニーテールが2つもあるので、ニンジンくくりつけて目の前にぶらさげようと思い」

 降ろされる。

「なのははニンジンが食えないようです」
「違うよもう、もう! 背中に乗ってるあいだ、人の髪の毛で遊ぶの禁止!」
「ならフェイトで」
「えっ……」
「も、もっと駄目!」

 フェイトは戸惑い、なのはは却下した。人の髪を釣糸にしてはいけない、という新事実を記憶に
刻みつける。

「やれやれ。世界はやっちゃいけないことばかりだ」
『マホトーンで黙らせてくれ』
「あいにくながら未習得や」

 通信機越しのクロノと、俺の隣でギラ練習中のはやての息がすごい合ってる気がなんとなく。

「はやては飛ばないの」
「まだ飛べへんよー」
「それ下に撃ったら爆風で飛べるんじゃね」
「そんな両津勘吉みたいな飛び方イヤやわ」

 ということで、魔法講習の見物に来ています。訓練施設が予約できたのでそこで。
 ぬこ姉妹も張り切って教えてるらしく、飛行組の切り替え速度が上がったような気がしなくもな
い。
 はやてははやてで魔法に慣れるべく下級魔法を使い続けているが、かなり上達してきているよう
だ。もうハンドボール大のメラを作れるようになったし、飲み物にヒャドで作った氷を入れたりし
ているし。

「なぁなぁ、あとどのくらいで飛ぶ練習するん?」
「焦らないの。まだ基礎の基礎なんだから」
「あんまり遅いと久々にはぐりんのパルプンテな」
「あ、あの怖いのもう呼ばないでって言ってるでしょう!?」

 尋常じゃない怖がり方をするぬこ姉妹の片割れ。有明だったかアリアスだったか。
 昔一度だけはぐりんにパルプンテを使ってもらったとき、変なやつが出てきたことがあるのだ。
そのときは俺以外の全員が、恐怖のあまり気絶しちゃって。

「流星降ってこなくてよかったな」

 ヴィータの指摘で、その可能性があったことにはじめて気付いた。
 多用しないようにしようと心に誓った。と思っていたのだが10年後、また役に立つことになる
のは別の話。

「あー疲れた。指輪指輪、と」

 そのうち魔法を使い続けて魔力が減ってきたらしく、はやてが火炎を維持しつついのりの指輪を
はめる。

「いのりの指輪は役に立っているようで何より。何回目?」
「58回目。なのはちゃん、フェイトちゃん! そろそろ魔力足らんのとちゃうー?」
「大丈夫ー! わたしたちも持ってきてるからー!」

 大事に使ってもらえてるのは嬉しいが、魔法を使いながら魔力補充できるとか初耳でした。
 なのはに持たせたのは正解だったかもわからん。「ドルオーラ!」→「連発だぁーっ!」フラグ
が立ちまくり。

「そういえば第三期で、なのはに砲撃勝負を挑んだ憐れな数の子がいたような」
「可哀想すぎるって」
「焼き数の子にされそうや」

 聞いたことない料理だがどうなんだろう。

「……うまそーなんだけど。すごい食べてみたい」
「そういえば、夕食はまだ決まってないんだったよね?」

 ヴィータとロッテが想像を膨らませていた。こんな時だけ仲が良くなるのはご愛嬌。
 夕食にせがまれたけど未知の料理なので、代わりにニシンでも焼いて勘弁してもらった。「まぁ
いいか」ってなってた。



(続く)

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エイプリルフールだ!

「オリーシュがデスノートを拾ったようです」でいいよね

まったりしてたらいつのまにか午後になってたよ!

嘘吐けるの午前までじゃねーかイタチェ…

パルプンテで呼ばれたのはあれです。強制的に戦闘終了になるあれ。
焼き数の子は実際にあるらしいですね。美味しいのかわからんけど。

次はちょっと時間が飛んで、春→夏になる。かも。



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