なのは(と俺)の誕生日パーティーが終わって、ユーノや管理局の皆様は、そのまま高町家でもっ
と魔法やら何やらについてのお話をすることになった。
 2日おきくらいで足を運び、管理局についての資料だとかを届けに行っているそうな。

「で、何? リハビリ終わって、直で高町家行くって?」
「リインたちも一緒にな。夕飯外で食べるから要らないってよ」

 そういうことがあるため、現在はやてもリハビリをこなしつつ、高町家に足しげく通っている。原
作どおり管理局で働くかどうかはわかんないけど、とりあえず資料は欲しいとのことだった。リイン
姉妹やはぐりんたちの魔法のデータをあげる(本人了解済み)のと同時に、ちょっと高価めの魔法の
本をもらう約束にもなっているのだとか。

「で、お前は行かなくていーのか?」

 でもって俺はというと、当然のように家でお留守番してます。本読みながらスーパーごろごろタイ
ム。やることねーです。

「魔法についての資料もらってもしょうがないでしょうに」
「そりゃそうか。でも、野生動物がうんたらとか言ってなかった? お前に調査してほしいとか」
「その話はもう決まった。今度はぐりんたちつれて協力することになってる」

 まぁそういう訳である。用事は済んじゃってるので、俺が行ったところでできることはないんです。

「……ああ、もしかして、リインがあっちにいるからか?」
「なるほどな。お前のいるところで魔法の話をしていると気にするから……それで行かないのか」

 最近のヴォルケンズはだんだん俺の思考をも理解しはじめているようで、俺としては努力が足りな
いんじゃないかと思わなくもない。ネタ的な意味で。

「いろいろな意味で、そろそろ転換期に差し掛かっているようですな」
「あと十年ほどの間に、お前がどう変わるかというのも見ものか。変わっていないかもしれないが」
「『もう君にチャーハンを作ってあげることはできない』とか言ってきたらどうするのがいいか」
「フライパン持たせれば元に戻るんじゃね」

 改造したやつの方をぶっ飛ばす、という発想はないらしかったがそれはもういいや。

「ちょっくらカステラ焼いてくる」
「そう言いながらなぜフライパンを持つ」

 見抜かれては仕方ないので、おとなしくフライパンを置き台所へと向かう。カステラにアイスのっ
けて食べるのが今日のおやつだ。とっても甘いので幸せな気分になる。
 でもってカステラを作っていると、テーブルの上に置いておいた携帯電話が音をたてはじめた。
 はやてのやつが着信音を勝手に「ショウヘイヘーイ!」にしやがったのに気付いて報復を考えつつ、
ぱかりと開くとメールが届いていた。複数同時だ。

「ヴィータちゃん、アウトですよっ!」
「往生際が悪いな。騎士の名が泣くぞ」
「こ、こ、こここっち来るなシャマルもシグナムも! なんなんだよあの卑怯な着信音!」

 とかやってるのを背中で聞きつつ、読む。はやてがそろそろ帰る、というクロノからの連絡が最初
だった。
 今日はやてに説明したことが簡潔にまとめて添えられていて、クロノらしいというかなんというか。
あとさきほど話にもなった、俺への調査依頼(絶滅危惧動物の生態うんたら)についての説明とか。
日程がどうとか。

「休日だったらいつでもやりまスライム、と」

 とりあえず処理しつつ、次を見てみると珍しい送り主に行き当たった。アリサとすずかだ。

「ってて……で、何なんだよ。さっきのふざけた着信は」
「はやてに言ってくれ……お、すずかからお茶会に呼ばれた」

 尻のあたりを痛そうに押さえるヴィータに答える。ツンデレの方は「またみんなで集まるからアン
タも来なさいよ」ということだったのだが、すずかの方はお家に来ないかという誘いだった。もち
ろんはやてにも送ったらしいけど。

「今度プリン焼いて持ってきマスドラ、と」
「マスドラ爆発しろ。っていうか、マスドラがお前に出くわしたら何て言うんだろーな」
「バーン様に会った場合が気になる。『飼っておくのも面白い』とか言って生かしてくれるかなぁ」
「破邪の洞窟あったら潜ってみなって。アバン先生の記録更新できるぞ」

 ヴィータとそんな与太話をしながら、ユーノのメールを見る。カステラが焼けるまで相当暇らしく、
どこからか下敷きを持ってきて俺の頭を超野菜人にしてくるけどそこは無視。
 ユーノは三日後に帰っちまうそうだ。それまでは高町家に置いてもらったり、海鳴のハラオウン家
に泊まったりするらしい。その時には俺も遊びに行こうと思う。あと今後も時間ができたら、地球に
たくさん遊びに来るよ、とのこと。
 時間ができないならむしろこっちから行くと打つ。でもって、最後の最後はなのはから。

「なのはの家族会議は高校行くことを前提に行われたらしい。本人含む」
「噂の『中卒魔王』の前半部分は回避されたわけか」

 人間フォームのザフィーラ(毛が飛ぶという理由で、わんこフォームはキッチンでは自重している
らしい)が来ていた。何やら安心した様子だ。

「管理局に入るかはこれから決めるらしいけど……もう魔王にはならんだろ。ティアナよかったね」
「残念と言えば残念でもあるがな。続きは?」
「ご家族のコメントがいろいろ。『よかったら日曜日に、ケーキ作りに来てね!』とか」

 それにしても将来のことなんて、わざわざ律儀に自分にまで報告せんでもいいのだが。とは思わな
くもないのだが、俺も知りたいと思ってるのは事実であるから、こういうメールはちょっと嬉しい。

「アイス任せた」
「任された」

 とかやっているうちに、そろそろカステラが焼ける頃になった。
 まぁ、考えるのとか面倒くさい。先のことは先のことと割り切って、今は目の前のおいしいお菓子
に集中することにする俺だった。





「おろ?」

 しかし焼きあがったカステラを食べていると、再び携帯電話のメール着信音が!

「着信音戻したと思ったら笑点のテーマか。今日はひっきりなしにメール来るな」
「こういうのも珍しい……おりょ? またクロノ……ザッフィーザッフィー、教会ってどこだっけ?」
「呪いの装備でも引いたか?」
「聖王教会。はやてが見に行くことになって、俺も来ないかって」



(続く)

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オリーシュ「聖王遺物の中に七星剣がないんだけど」
はやて「あったら困るわ」

あとオリーシュが破邪の洞窟に潜ると、何のトラップも発動しないまま、出会ったモンスターを
片っ端から引き連れて際限なく潜れる。
そして途中で飽きてきて、何の呪文も修得せず帰ってくる。アバン先生にも女性パーティーにも
会えず、しょんぼりしながら帰ってくる。



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