ユーノはこのままハラオウン家に宿泊するとのこと。俺も一緒に泊まりたかったのだが、なのはの
魔法暴露についてはやてたちと話し合わなきゃならん。ということで残念ながら、この日は八神家に
帰ることにした。夕飯をすませて風呂に入り、現在はやてとシグナムの風呂あがり待ちである。
 こたつでふにゃーっとしていると、向かいのリインが何だかものほしそうにしているので、あった
かいココアをいれてあげることにした。どうやら好物らしく、頼まれるのでよく作ってあげるのだ。
作るタイミングはだいたい寝る前かお風呂上がりで、無言でくいくい袖を引っ張ったり、目で促して
くるのがその合図。

「……! 〜〜!」

 しかしそのせいで、結構な頻度で舌をやけどするのが困りものだ。目尻にうっすら涙をためながら、
こうして見せにくることがけっこうある。

「あーあ。舌をメタル化すればいいんじゃ……なに? それだと味がわからない?」

 食事はいつも美味そうにはむはむ食べるリインだが、たまにはこういうこともある。コップに冷た
い水を入れてあげながら、言い分を聞く。聞くといっても喋れないのでなんとなくだけど。

「け、けーとさんの解読能力が半端ないです! 驚異的です!」

 リイン2に驚かれた。

「しかしちびリインもヴォルケンズも、リインとは無言で通じあってることがあるような」
「わたしたちはほら、念話がありますから!」
「なるほど念話がありますか。ところでマスカラとマラカスって似てるよね」
「言い間違えること請け合いです! こういうリインも、わからなくなることがそれはもう!」
「スカラ」
「ルカニ!」
「ピオラ」
「ボミ……あれ? い、いつの間にか話がそれています。けーとさんの話術、相変わらず驚異的です!」

 この子は外に出して大丈夫なのだろうか、と少々不安に思う。

「……あ、あふい……」
「あっ。おねえちゃーん、大丈夫ですかっ?」

 いつの間にやらリインを放置してしまっていたので、とりあえず手元の水を渡して手当てさせる。
 冷やすだけだけど。

「おねえちゃんっ! 必要でしたら、私がエターナルでフォースなブリザードを!」
「しかしレベルが足りないので、プリンを冷やしたりする用途にしか使えないリイン2であった」
「ななななな! 馬鹿にしないでくださいっ、リイン2号は、もっと幅広い用途にお使いいただけます!」
「と、昨日チャーハンの具になりかけたちっこいのが申しております」
「あっ、あああれは仕方がないんです! フライパンの蓋が重かったんです!」

 昨日作って置いたチャーハンを温めなおそうと思ったら、フタの中からリイン2の声がしたのであ
る。どうせ自分の体は冷却して保護してるから、そのまま炒め続けても面白かったけど、しかしそれ
だといつまでたってもフライパンが高温にならないので出してあげたのだ。これがアギトなら問題な
かったのに。

「一家に一台とは言い難いですなぁ」
「むうぅぅ……おねえちゃんっ! わたし、もっと頑張ります!」

 リインの胸の中に飛び込んで、むんっと自分に気合を入れるちっこいの。何だか可愛く思ったらし
く、それをそのまま抱きしめるリイン。

「そしてまたプリンを買って持ってくるシャマル先生だった」
「だっ、駄目でしょうか……リインちゃんが冷やすと、ちょうどよくなるんですが……」
「ていうかお前、最近プリン作んないよな。そろそろ食べたいんだけど」
「言いながらこたつの中で足引っ張るのやめれ。暑い」
「食べたいんだけど」
「言いながら足の上にはぐりん置くのやめれ。重い」

 はやてたちが出てくるまでぐだぐだしてました。





 はやてたちが風呂からあがってきたので、本題へ移る。なのはの魔法公開やら、それに付随しては
やての話をするかどうかについて話す。とりあえずあったかいココアなんぞを振る舞いながら。

「振舞っていい?」
「文字通り振って舞うことになりそうやから却下」

 とりあえず問題は、前回アリサたちに発見されたはぐりんたちについての説明だった。
 結果を言っちゃうと、まぁこれは話してもいいんじゃね、ということになった。丸投げクロノによ
り「何してもいい」と許可が出てるも同然だし、近いうちにちゃんと話すと約束もしてあるので。と
くに捻りもなく、仲間モンスター、ということで説明しちゃっていいと思う。

「ん? ふふー、大丈夫よー。前会ったときも、怖がっとらんかったやろ?」

 はぐりんたちは不安そうにしていたが、まぁそれは考えすぎということで。あの二人って多分、適
応能力はけっこう高いんじゃないかと思うんだ。

「はやてやヴォルケンズについては何だ。話す?」
「んー、話題になったらやな。それよか、お宅の身の上とかはどうするんか」
「ミラクルめんどくせぇ」
「そらそうやろ」

 まぁこれも、その手の話になったら話すということになった。その辺りで、話し合いはおしまい。

「そんなことより麻雀しようぜ!」

 とりあえず麻雀することになった。局の途中でお風呂タイムになったのである。

「どこからだったっけ?」
「ああ、あれや。カンが入ったけど流局したとこ」
「ドラが増えたよ!」
「やったねたえちゃん!」

 俺とはやてが言うと、ヴィータがうずくまって笑いをこらえ始めた。八神家で麻雀すると、点数も
そうだが面白いことを言ったやつの勝ち的な雰囲気がある。

「魔法で混ぜると相変わらず楽だな」
「そのうち魔法で全自動卓とか作ろうか」
「それなのはのプレゼントでよくね?」
「やめれ」

 夜遅くまでじゃらじゃらしてました。



(続く)

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あけましておめでとうございます。
残念ながらスライム年ではありませんでしたが、今年もどうぞよろしくお願いします。
DODクロス書いた後は心なし字の文が多くなる。



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