はやてと一緒に訪れた高町家でフェイトやなのはと遊んでいるうちに、夜がきた。当初の予定通
り夕食をいただいてから、このまま泊まることになる。

「男が一人しか居らず、虎の巣に放り込まれたウサギの心境。何処で寝ましょう」
「あら、なのはたちと一緒は嫌かしら?」

 という感じに桃子さんが言うこともあり、なのは部屋に布団を敷かせてもらうことに相成った。
これからいったい何度宿泊することになるかも分からないなのは部屋。これが記念すべき一回目。

「こんな女だらけの部屋にいられるか! 俺は廊下で寝る!」
「け、けーとくんが、けーとくんが! 様子を見に来たはやてちゃんに死体で発見されちゃう!」
「なんで私なんよ」
「えっ? えっと、なんとなく……」

 特に根拠もなかったらしい。とりあえず布団を敷いて、寝床の準備をすることにした。もう既に
風呂は済ませてあるので、あとは寝るまで遊び倒すだけ。

「こちらの布団様もなかなか……んんう、ぷはーっ」

 自宅の布団と甲乙つけがたいらしく、昼のあいだたっぷりとお日様を浴びた布団をさっそく満喫
するはやて。ふかふかの掛け布団を抱き込んで、胸いっぱいにお日様の匂いを吸い込んでは、ほに
ゃんとゆるゆるな顔になって和んでいる。

「あらかじめ泊まりたいと言っておいてよかった。布団はやはり干したものに限る」
「んむー」
「話聞けよ」
「きかーん」

 情けないが布団様に骨抜きにされてしまい、はやては行動不能のようだった。

「なのは」
「えへへ。あったかぁい……」
「フェイト」
「わぁ……もう、起きられないかも……」

 なのはもフェイトも同様らしかった。あっという間に布団様ハーレムが形成されているではない
か。八神家の布団といい高町家の布団といい、布団様は手を出すのが早いようだ。

「仕方がないので、一人スマブラで鬱憤を晴らす俺だった」
「あっ。けーとくん、私も! 私もやる!」

 弱っちいの来た。

「やるって何を? リアルスマブラ?」
「高町家終了のお知らせやな」
「な、なのはのお家が壊れちゃう……!」
「じゃあリアルスト2という代替案」
「乱闘から離れようよ……」

 確かに高町家が物理的に粉砕した場合、翌朝なのはがみかん箱のなかで鳴いていたりするかもし
れない。対処に困るので取り下げよう。

「フェイトがスマブラやらスト2を知っているのが意外でした」
「えっ……だって、お昼はずっと見てたから」
「なるほど」

 とか話しつつ、適当にゲームを選んでプレイ開始。

「ジョインジョインザンギィ」
「ウィーンザンギィ」

 しばらくスマブラをやってから、普通にスト2アニバーサリーエディションを楽しむ。相手は堪
える気のない待ちガイルやリュウを使うなのは、堅いのだが必殺技に頼るはやて、あと基本ノーガ
ードのフェイト(初心者練習中)。敵ではない。

「……オリーシュは右手使うの禁止やな」

 連勝に連勝を重ねて「答 コロンビア」をやってるやる夫AAみたいな雰囲気を醸し出している
と、はやての口からとてつもない指示が飛び出した。直訳すると、「死ね」と言っているのに違い
ない気がする。

「しかし片手ではなく親指を禁止と言うのなら、取り敢えず8割は勝つ用意がある」
「ほっほー。ゆーたな?」
「嘘ではない。取りあえず、はやてのリュウあたりになら」
「はっ、はやてちゃん、思い知らせてあげようよっ!」
「はやて、やろう。勝てるよっ」

 常日頃からヴィータに色々と物理的な縛りプレイを要求されていることも知らず、意気揚々と挑
みかかってくるはやてたちだった。

「答え コロンビア」
「そのAA、前ネットで見たよぉ……」

 全員まとめて美味しくいただきました。





 遊んでいるうちに、はやてとなのはがうとうとしはじめる。画面を見る目がとろんとしてきて、
なのはなんかはもうかっくんかっくん船をこぎはじめる。

「フェイトは比較的平然としてますが」
「うん。最近、遅かったから」
「なるほど。なのは、寝るか?」
「寝なーいよぉー……」

 眠たいのは目に見えてるのに、なかなか認めないなのは。めんどくせぇ。

「だってぇ……けーとくん、どっか行っちゃうでしょぉ……?」
「わけわからん。こいつどうしよう」
「なのは、こっちにお布団あるよ?」
「んー……やぁ……」

 フェイトと協力してあやしてみるも、画面前から動こうともしない。そのくせもはや目は開いて
おらず、コントローラを強く握ったまま。タチが悪い。

「……ぷふー……むぷー」
「あ……はやて、寝ちゃった」
「どうでもいいが、この人のこれは寝息なのだろうか」

 枕に顔をうずめているため、はやての寝息が何やら変なことになっていた。

「んー……まだ寝ないぃ……」
「ハイパーめんどくせえ!」
「めんどくさくないよう……めんどいいにおいだよ……」

 そして言動が意味不明である。

「なのは、なのは。フェイトいるぞ。フェイトが隣でカモンカモンして待ってるぞ」
「えっ」

 もう本当に面倒なので、生け贄を用意することにした。

「……フェイトちゃぁーん」
「ひゃっ」

 なのはがフェイトに飛び付いた。ふふふ、いと容易し。

「じゃあおやすみ」
「ちょ、ちょっと! ひ、一人だけ寝ないで!」
「実は、『1時までに寝ないと眉毛がブライアン・ホークになる病』にかかってるんだ」
「本当!?」
「嘘だ」
「嘘なの!?」
「おやすみ」

 ひとり布団をかぶる俺だった。

「まっ、待って、まっ……」
「……あぐあぐあぐ」
「きゃっ……な、なのは! それわたしの腕だよ、食べられないよ!?」

 おやすみなさい。



(続く)

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ねぼけたなのはが おそいかかってきた!

あれ、恭也と話をさせるつもりが……
宿泊させてみたら混沌としてしまった。

答 コロンビア AA [検索▽]



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