うとうとしたり本を読んだりでまったりしていると、突然地面がぶるぶると揺れた。地震か。

「地震」
「あ、ホントや。揺れとる」

 上を見上げると、ライトのスイッチになってる紐がわずかに揺れていた。地震のときはこれでわ
かるのだ。震度は3といったところだろうか。

「元旦から割と揺れるなぁ」
「ところで初揺れと初夢と初雪って似てるよね」
「初揺れってあるんやろか。あと気付かんだけで、震度1以下の地震があったかもしれへんよ?」
「確かに。まぁもう収まったし、特に心配する必要もがふっ」

 震度は弱いわ時間は短いわで安心しきっていたところを、お腹の辺りに三つの衝撃が立て続けに
襲ってきて身悶える。

「はぐりんたちや。あれ、怖がっとる?」

 ふるふる震えてすり寄ってきた。たぶん怖かったんだと思うけど、もうちょっと自分たちの重量
を把握してほしいと思う俺。苦しくて声が出ない。

「ふふーん。さすがのオリーシュも、こういう状況ではまものの制御も不可ぐはーっ」
「はっ、は、はやて! い、いま揺れた! 地面がぐらぐらって!」

 はやてにはヴィータっていう名前のでっかい塊がぶつかって事故った。というとなんか自動車の
クラッシュみたいだけど、ぶつかったのは人の形してるので特に問題なかった。
 とか思っていると、また何やら振動が。

「ぶるりと来た」
「け、携帯の着信のバイブやろぉ! この状況で紛らわしいこと言うな!」

 さらにヴィータに抱きつかれて困ってるはやてがうるさいのを尻目に、電話に出る。相手は何故
かなのはだった。

『け、けーとくんっ、大丈夫!? 家具に潰されたりしてないよね!?』
「なのはの家では物が飛んだり家具が倒れたりしたのか」
『そ、それは大丈夫だけど!』

 なら別に八神家もそう変わらないはずなのに、すっごい焦ってるなのはだった。きっと不意打ち
の地震だったため動転しているんだろう。

「……もしかして今、机の下から電話してるとか」
『え……ちっ、ち、ちが、ちがうよ。そんな、怖がったりしないもんっ!』

 たぶん図星なんじゃないかと思った。機会があったら観察しようと決めた。

「うっ……ううぅ……」
「…………っ」

 あとは驚いた拍子に壁に激突したシャマル先生が涙目になっていたり、足をソファーの角にぶつ
けたリインが痛そうにしてました。メタル化しとけばよかったのにとは思ったけど、よく考えたら
それだとソファーが壊れていたかもしれないので助かった。





「反省しろ」
「……はい」
「はいぃ……」

 でもって騒動がおさまると、全く動転していなかったシグナムとザフィーラから騎士たちに喝が
入った。主のはやてが落ち着いていたのに、従う者たちが狼狽えるとは何事か、という。

「リインとシャマル先生は不可抗力じゃね」
「む……まぁ、確かにそうだな」
「しかしヴィータ、お前は駄目だ」
「だっ、駄目言うな! ちょっとびっくりしただけだろ!」

 ちょっと驚いただけの人間は人に抱きついたりなんかしない。

「このまま「ビビリータ」にでも改名しようか」
「ビリリダマなのかチコリータなのか紛らわしいですね」
「両方混ぜてみたら、非常に弱っちそうな名前になった。ヴィータとも似てるしこれでいいよね」
「か、勝手に話を進めるな! お断りだっ!」

 とかやってから解散して、テレビの地震速報を取り敢えず見はじめる。

「震度は3までやな。とりあえず安心……わああああ!」

 震災の余波とかじゃなかったのでほっとしていたはやてだが、こたつをがたがた揺らしてみると
面白いくらいに反応した。

「…………」
「ぎwwwぶwwwwぎっwwwぶwww」

 こたつの中で足首つかまれて、無言のはやてにくすぐられた。呼吸困難と疲労で身動きが取れな
くなる。

「てぇ」
「ぐ」

 身動きできなくなった背中に乗っかられて、一瞬自発呼吸が怪しくなった。

「じゃあ地震! このままさっきの地震いってみよか!」
「馬になれと申しまするか」
「それは馬に失礼やろ」

 はやての辛辣すぎる物言いにもめげず、身命を賭して馬になりきってました。

「どうせ馬になるからには、風雲再起くらいのかっこいい馬がいいなぁ」
「はぐりんたちがうずうずしていたから乗せたぞ」
「さっきはよくも言ってくれたな。あたしも乗せろ」

 たくさん乗られて背中が痛くなった。風雲再起不能になった。



(続く)

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最近はどうもノリが悪いというか、どこかに違和感がある気がして作者が不安な感じです。気のせいかもしれませんが。
何か気付いたら遠慮なくおっしゃってくださいです。
(追記)まとまってきました。ご意見ありがとうございました!


なのはは真っ先に机にもぐってました。



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