てな訳で誕生日だぜ!
 誕生日になったら守護騎士来ると思ってたけど、まだそんなことはないみたいだぜ!

「はやてが生まれたのって何時何分?」
「ん? そういえば……んー、時間まではわからんなぁ。今度調べてみる」
「その時間ピッタリか、日付が替わる頃が可能性あるかもね」
「せやなぁ」

 部屋の飾りつけは守護騎士歓迎シフトにより、もう長い間デフォルトになっているので必要なし。
 ついでに言えば予約しといた生クリームのロールケーキがこれまた綺麗だし、お菓子もしこたま
買い込んでおいたので準備万端。

「担当のお医者さんが来るって?」
「うん! 石田さんや! 夕方にな。『けーと君に会いたい』って言うとったよ」
「ん。しかしケーキは食べきれないと思うので、今のうちにふたりで一次会しましょうか」

 時間としてはまだ午前ですが、学校行ってないので関係なし。勉強したくないでござる。
 コーヒーメーカーからこぽこぽと出来上がった音がしてきたので、カップに注ぎケーキを切る。
 ロールケーキはこういうとき便利だ。食べたいだけ切っても見栄え新品だし。

「誕生日おめでとう! 乾杯!」
「ありがとう! 乾杯!」
「あちぃ」
「あつっ」

 一気に口に含んだコーヒーは熱かった。

「お間抜け誕生日やな」
「む? そういえば」

 いったん席を立ち、別室に置いてあった小箱を取って戻る。

「え? これ」
「誕生日プレゼント相談したら、気を使ってくれたみたいで。翠屋の、ほら」

 例の主人公さんから。

「主人公って……わぁ、クッキー! 手作りやん、お礼言わな!」
「伝言。『前回のことは水に流します。今度うちに遊びにきてね!』って」
「今日も誘ってみればよかったなぁ……あ、ちゃっかり翠屋の新しいクーポンがはいっとる」
「『遊びにくる』ってそういう意味じゃないと思う。多分それお母さんだな」

 正解である。
 てな訳で有難くもいただいたクッキーを皿に載せ、ケーキと一緒に二人で食べながらそれなりに
騒がしく過ごす。
 翠屋のケーキはやっぱり美味しくて、あまあまうまうま言いながら一切れ目を完食。
 今日だけは無礼講やー! というはやての一存もあり、お菓子もなんと食べ放題である。
 普段やらないことも今日はやる。羽目を外す時は外さないと。

「リミッターを外させてもらう」
「普段から外してるやろに」
「ですよね」

 そんな感じでさっき執り行われた「ポッキーのチョコだけ舐め取ってみよう競争」はなかなか
盛り上がった。
 でも舐めすぎで舌がなんか変。

「勝者のはやてには豪華賞品、大量のプレーンプリッツが贈られます」
「クリーム付けると美味しそうやな」
「よし。次は辛口醤油せんべいで同じことを」
「想像しただけで口の中が痛くなるからやめて」

 二人して顔をしかめる。

「石田さん来るまでまだまだ時間あるね。何する?」
「なら、クラッカー! クラッカーやろ! たくさん買ってある!」
「火薬とかって心惹かれるものがあるよね」
「一個残して全部放しなさい」
 
 そんな感じで遊び呆ける午前中でした。



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