聖王閣下が あらわれた! コマンド?
「面倒をみると言われても……十年前のなのはよりちっこいんじゃないか……」
「?」
確か原作のラスボスだったと思う、ヴィヴィだかビビだかという子供の世話を一時間だけ引き受け
ることに。
しかし具体的にどうすればいいのか、どうも勝手がわからない。子供のころははやてやらなのはや
らとよく遊んだけど、世話をする側となるとちょっと違うような気がするのである。
「……お、おにーさん、だれ……?」
カイジでやってた十七歩をするわけにもいかんしなぁ、と思っていると、不安そうな目で見上げて
きた。
それにしてもこの娘っ子、金髪オッドアイとは小癪なやつ。厨二か。俺を差し置いて厨二なのか。
「てめぇの目は何色だ!」
「えっ? ……え、えっと……?」
娘っ子は解答に窮しているようだった。
「しかし、なのはが子守りか。よくよく考えると、もう二十歳近いんだったなぁ」
「な、なのはママの……お友だちなの?」
「わしが育てた」
「……?」
年齢的にあまりにも不自然なためか、娘っ子は何やら指を折って数えるそぶりを見せた。
「ともあれ、はじめまして。名前ビビだっけ」
「……ヴィヴィオ……お、おにいさんは……?」
「ひとし君」
ついつい嘘を吐く癖は抜けていない俺だった。
「そのうちスーパーひとし君になります」
「けーとさんがボッシュートされちゃいます! ……ちょ、ちょっと見てみたいです!」
いつの間にか近くにリイン2号が来ていて、何やら不穏なことを口走る。
「けーと?」
そして本名がバレる。
「それはともかく、何して遊びましょうか。トンボでも捕まえてみましょうか」
「今の季節だと、トンボは飛んでいませんよ?」
「じゃあリインがトンボ役。ほら、目の前で指回してみ」
ヴィヴィオが恐る恐る指を差しだし、リインの目の前でくるくる回しはじめた。
「あ、あっ……きゅーぅ」
リインが素で目を回してしまったので、その両足に細い紐をくくりつける。ヴィヴィオに反対側を
持たせてやると、戸惑いながらも受け取った。
「……はっ! つ、つかまってしまいました! リイン一生の不覚です!」
「ほら。こう持ってみ。そうそう、風船みたく飛ぶから」
「玩具にされちゃってますー……」
「まぁまぁ。後で何かお菓子でも作ってあげるから」
リインがふよふよと飛んでみせると、娘っ子は嬉しそうにそれを見つめた。
「じゃあ喜んでもらったところで、ちょいと写真を見せてあげよう。フェイトの昔のやつ」
「え? フェイトママの?」
「そうそう。ヴィータが確かデータを保管してたはず」
もちろん十年前のから。シグナムと戦ってるやつとか
「リイン、アクセスできますけど……い、いいんですか?」
「面白そうなのでGO」
「りょーかいですっ!」
そしてこれにより影響を受け聖王陛下はちょっと道を踏み外しはじめるのである。
やがて月日は過ぎ時は流れ、ついにやってきた最終決戦。そこには、絆創膏のみの装備で戦うフェ
イトとヴィヴィオの夢の共演が!
「という計画を思いついたんですが」
「壮大なカオスの予感がします……リイン、なんだかワクワクしてきました!」
「エンディングまで、脱ぐんじゃない」
「え、えっちに聞こえます! でもでも、このフェイトちゃんの写真を見ると否定できません!」
写真鑑賞会中のリイン2号とのやりとりでした。