何かいろいろあったけど、風の中のスバルの紹介で砂の中のギンガとも知り合って、順風満帆な
StSを楽しんでいた。
そしたらある日、拐われた。
「ようこそ、我がラボへ……ああ、そう緊張せずに。寛いでくれたまえ」
目の前には某スカの人。
しかも縛られてるし。寛ぐとか無理です。死亡確定か。
「出来ることなら殺したりせず、ハガレンに出てくる獣人くらいの改造にして欲しい。どう?」
「ふふっ……さぁ、それは何とも」
「さもなくば、黒サレナとか使って逆襲しに来るやも。ぼぅっと光るのさ……漫画だろ?」
「現実だよ、とだけ断っておこうか」
ですよね。
「生命系が専門だそうで。何の実験に使うの? 魔導師の素体とか無理だと思うけど」
「……変わってるね、君は。これから体の中までいじられると言うのに」
「普段からよく言われる」
「そうか……いや、愉快。君との会話は実に楽しいよ」
「会話の練習作ですから」
よく分からなそうな顔をするドクターだった。
「最近は移植に凝っていてね。それにご協力願おうかと」
「移植? リンカーコアとかの?」
「察しがいいね。その通りさ。これがうまく行けば、複数コア持ちの人造魔導師も夢ではない」
「ローテーションさせてスタミナ温存ですね分かります」
「全てをフル稼働させて瞬発力も持たせられる。正に最強の魔導師だとは思わないか?」
「私ともあろうものが……ドキドキして参りました」
「君にはその礎となってくれると嬉しいよ」
こっちは、実験やめてくれるともっと嬉しいなぁ。
「でも、キメラや機械鎧も魅力的だなぁ。そっちはやらないの? 同じ移植だと思うんだけど」
「む? ふむ……やはり一般の組織系統よりは、魔力関係の器官の移植がやりたいんだが……」
「むむ。ならいいや。無理言って悪かったです」
「と、済まない。こちらも、意に添えないで申し訳ない」
「なら、麻酔とかちゃんとして欲しかったり。あと、出来れば五体満足でいたいなぁ」
「そのつもりは無かったが、気が変わったよ。最善を尽くさせてもらおう」
「おー。できるの?」
「『無限の欲望』のこの腕を信用していただきたい」
それは頼もしい。なんたってこの人、思想はアレかも知れないけど腕はやっぱいいらしいし。
「いつからやるの?」
「準備もある、半日後にしよう。軟禁扱いになるがその前に、持ち物を見せて貰えるかな?」
と言って解放されたので、大人しくポケットの中身を出す。
GBポケットとサイフしかないや。ケータイは拐われた時におとしたっけ。
「見学は?」
「その奥の部屋以外で、装置に触らないならご自由に」
とはいえ、どうしよ。
脱出とかめんどいし無理だしなぁ。
「あ。持ってたコレ、ゲーム機なんだけど。遊んでていい?」
「構わないが……ずいぶん古い型の機械だね」
「ソフトも旧式。よくあるモンスターコレクション型、その先駆け的存在。今も現役」
「ほう」
ドクターが覗き込むのを横目に、ゲーム開始。
言うまでもないがソフトはポケモンである。
そして暫くすると、とてつもないアイデアが俺の脳裏を駆け巡った!
「……ドクター」
「何だい?」
「この、こいつ、作れたりしない?」
俺の指の先には、図鑑150番のポケモンの姿が。
「ミュウツー。人造人間なんだけど」
「機人ではなく、純粋の人造人間……か。いつかやってみたかったテーマではあるな……」
「できるの!?」
「不可能ではないな。様々な魔法生物の遺伝子を用いれば、あるいは」
「なら、はやて! はやてに協力さす!」
「なるほど、蒐集か! 応用できるかもしれん」
「ドクター、はやてに連絡取ってくる! ここの電話番号教えて、また来るから!」
「わかった! さっそく取りかかろう。連絡先はこちらだ。管理局には知られないでくれよ」
後のフジ博士誕生の瞬間であった。
そしてスカリエッティのラボは、遠い未来ポケモン屋敷として残されるのである。
という夢を見た。
「どう思います?」
「ねーよ」
「ありえへんわ」
「はやてちゃんっ、はやくユンゲラー送ってくださーい!」
もちろん誘拐などされる訳がなく、今日も子供は子供らしく平和な一日でした。