午前授業なので学校から早めに帰宅すると、はやてが倒れてた。
「はやて、出ておいでー。昼ごはんできたよー、にんにくチャーハンおいしいよー」
「んー……ねーむーいー」
主にこたつむり的な意味で。
「どうだ?」
「駄目だった。何というか、非常におねむの様子」
「夕べの夜更かしのせいか……ずっと皆でボンバーマンだったしな」
「みそぼんでヴィータ集中狙い楽しかったナリ」
「うっさい! お前らグルになってずりーぞ!」
てな感じに昨夜の遊びを思い出し、原因はそういうことになった。
夜更かし自体はけっこうやってたけど、足が元気になってきたので少し調子に乗ってしまったら
しい。今日は皆早めに寝ようということに落ち着いた。
ていうか、守護騎士って夜更かししてもピンピンしてるなぁと感心する。原作でも蒐集は夜から
夜明けまでやってたんだっけ?
「とりあえずこたつでチャーハン食べてるから、飢え死にはしないので安心して」
「そうか……夕方には復活しているといいのだが」
「近くで銀チャリレクイエムでも発動してるんじゃねーか?」
「や、それだと俺まで寝て……ってかたぶん、俺とはやての魂入れ替わる」
「……そ、想像したらこの世の終わりに思えた。どうしよう」
最近のヴィータはつくづく失礼な気がするが、自分で想像してもこの世の終わりに思えてくるの
で深くは突っ込めない。
まぁともあれ、ちょうど都合がいいので蒐集の報告会に話題がシフトする。シグナムと一緒には
やての様子見てきたけど、お腹いっぱいで余計眠くなったのか、こたつに突っ伏して幸せそうに寝
てました。起こすと悪いし静かな会議。
「具合はどう?」
「蒐集そのものは順調だ。管理局にもバレた様子はない。ただ……」
「ただ?」
「……闇の書、なんですけど。ちょっと見てください」
シャマル先生が取り出したる闇の書には、たくさんの文字が書かれていた。
白紙のページがまだかなりあるけど、少しずつ埋まってきてるみたいだ。
「文字なんて読めやしないので非常に困る。何も問題なさそうに見えますが」
「全体を見ればな。だが……ここを見てみろ」
「ん? んー……あれ。文字抜けてる」
ページ一面に書き込まれた文字の中に、不可解な空白があいているのが見える。
「ここだけじゃねーんだ。所々、書の書き込みが飛んでいる場所があって……」
「シャマル菌の極秘データかね。シャマル先生、心当たりある?」
「しっ、失礼なぁ!」
とりあえず見当もつかないので、遊んでみた。ぷんすか怒るシャマル先生だった。
「何ともわからんね。今のところ、蒐集とかに影響あるの?」
「特にはねーんだ。でもこんなこと、今まで一度もなかったから」
「無害なら無視でおk。とりあえず、近くで蒐集する時に念話くれたらはやての様子は見とくよ」
「わかった。頼んだぞ」
「どういう訳か念話聞こえるのが役に立つな。でも、返事できなくないか?」
「町内に響く大声でぬるぽって叫ぶから、それが返事ね」
守護騎士総員でガッされた。
まぁそんな感じで、実害ないならいいんじゃね? 不思議だけど分析とか無理だし。
という結論に落ち着きまして候。実際俺も想像くらいしか出来ないし。
「あれ? ヴィータは?」
「はやてちゃんと一緒になって、こたつで寝てると思います」
「疲れたかね。てか、皆お疲れ様。今日ははやて寝てるし、俺が夕飯作るけど。秋刀魚焼こうか」
「おお。それは……楽しみだな」
「シグナムとはやては大根おろし使うっけ。後で買ってこようかね」
「乗って行くか?」
「ありがと。お願いするです」
そんな感じにしばし、蒐集とか忘れてまったりとする。あっちのスーパーの秋刀魚は美味かった
とか、でもこっちではお肉のタイムサービスがすごかったとか、魔法使いとは思えない内容の話が
飛び交った。えらく庶民的な騎士たちだこと。
「んぅー」
「あ、はやてちゃん。起きたの」
だらだら雑談してると、いつの間にか車イスに乗ったはやてが来ていた。まだ顔が寝惚けてて、
目がとろとろして眠そう。
「ばくだん……なげるぅ」
「まだ半分夢の中ですか。ていうか夢の中でもボンバーマンか」
「はやてちゃん、冷えますよ。お布団に行きましょう」
「んんぅ」
ベッドへ連れていかれながら爆弾爆弾言うはやてに、皆で顔を見合せて苦笑するのでした。