「てンめぇぇぇぇッ!」
まだ真っ昼間だというのに、ヴィータが鬼気迫る表情で追いかけてきて怖い。
「何を怒っているのやら」
「ふざけんなッ! さっき調べたぞ! イワヤマでフラッシュ使えんじゃねーかッ!」
どうやら前回吐いた嘘がとうとうバレたらしい。捕まったらタダでは済まされなさそうなため、
とても恐ろしく逃げるしかない。
「じてんしゃはお金じゃ買えないのがバレたんじゃないのか」
「あ! ああぁぁっ! そんな! 騙してたんですねっ!?」
追いかけているのはヴィータだけだったはずなのに、いつの間にかシャマル先生までもが追って
きて困る。
でもって1対2で逃げ切れる訳がなく、暫くすると捕まった。
ヴィータに馬乗りに乗られて責
め立てられる。
「待てあわてるな。これは孔明の罠だ」
「てめーが騙したんだろーがッ!」
ごもっともです。
「正直済まなかった。必死で取り組む姿が可愛かったんだ……キラッ☆」
とか言ってみればオリ主補正により怒りは解け、逆にフラグまで立つかも! うっへへー。
「調子に乗んな」
しかし現実はそう甘くなく、顔が腫れ上がるくらい殴られた。
「このレベル82のピカチュウくれんなら許す」
「じゃあ私は……このシェルダーで」
「何てこった。マシン抜きでかみなりとれいとうビーム覚えさせるの苦労したというのに」
「うるせぇ」
ちくしょう。
と思いながらもまた殴られたくはないので、仕方なしにケーブルを繋いで送り込む。
「つか、よくゲームボーイあったね。人数分じゃないけど十分だし」
「ん。カラーとかポケットとか、出るたびに買っとったからなー」
とか言うのは面白そうに様子を見ているはやてで、こちらはこちらで遊んでいる。
「つーかこれだけ人数が居れば、八神家でポケモンリーグ開けるよね」
「うん。ヴィータたちが追い付いたらやけど」
「それをお前が妨害すんのが悪い」
「そうですよっ!」
ごめんなさい。
「ポケモンリーグといえば四天王」
「一人だけジムリーダーより弱っちいけどなー。連れとるのが岩ポケ(笑)や格闘(笑)やし」
残念なことにフォローのしようがなくて困る。
「四天王って凄いよね。何千何万回と主人公にやられても解雇されないし」
「ゲームやからな……それにしても、雇用条件良すぎやろ」
「しかし主人公に何百万と賞金を巻き上げられる可哀想な役職」
「……解雇された方が幸せに思えてきたわぁ」
しみじみと言うはやてだった。
「まだそこまで行ってねぇ」
「今どこ? ゆうれいと格闘しようとかバカなことしてる?」
「するか! 今タマムシ。ふつーにスロットしてる」
「私はちょうど、カビゴン捕まえてるところです」
「は!? 何でそこまで行ってんだ! 昨日同じだったろ!?」
「え? えっと、スロットでは遊ばなかったから……」
きっと真っ先にスイッチの方へ向かったのだろう。
確かにギャンブルとかしなさそうだ、シャマル先生は。
「置いていかれたヴィータだった。プギャー☆」
「プギャギャー☆」
「ふ、二人ともうっさい!」
はやてと一緒に囃し立てると、焦るヴィータが面白い。
「す、すぐ追い付くから待ってろ! ホントすぐだから!」
「シャマル先生、この先サファリパークだから。ケンタロス捕まえるといーよ」
「あれはチートやろ……取り敢えずはかいこうせんは鉄板やな」
「はやてちゃんも言うなら、嘘じゃないんだ。わかった、やってみる!」
「ま、待ってろったらッ!」
焦りまくるヴィータだった。
「うわぁっ! こ、このピカチュウ全然言うこと聞かないじゃねーか!」
「ヴィータちゃん……それは、早くバッチを集めないと……」
人呼んでこれを孔明の罠という。