はやてが起きない。その隣のヴィータも寝てる。
朝食がもうすぐ出来るのに。八神家では全員でいただきますが基本なので、これでは食えん。
「シャマル先生、お水お願いします。少しでいいので」
「な、なんか……嫌な予感が」
「大丈夫、かけたりしないから」
不安そうに返事をしながら、コップに水を入れてきてくれるシャマルさん。受け取り、手で皿を
作って入れてみる。
「シャマル先生、寝耳に水ってどういう意味?」
「え? 確か、予想外でびっくり、とか」
「不正解。寝耳に水とは――」
「とは?」
水を掬った両手を傾ける。
「――寝てる人の耳に水を入れること」
「そのままじゃないですか」
「ですよね」
実行。
「わわわぁっ! な、何するんやアホぉ!」
「み、水! 水だ!」
「お、雀だ! 雀が鳴いてる! 朝チュン? これ朝チュン?」
「い、意味が違いますっ」
「冷た! き、気持ち悪ぅ!」
「うあああ、ティッシュ! ティッシュどこ!」
カオスな朝でした。
で、学校へ。
というのを詳しく描写してもつまらないので三行にする。
合
衆
国 ニ ッ ポ ン !
将来「こいつらの芸はわしが育てた」とか言いたいなと思いながら、勘違いしたクラスメートが
アメリカ好きになったりするかなー、まぁいいかと翠屋へ。待ってたはやてと合流する。車いすは
ここまでヴィータが押してきてくれたのだとか。
「待った?」
「ついさっき来たとこ。やから今北産業」
「オール
ハイル
オリーシュ」
「ん。ほな、行こか」
今ので一体何が分かったのか戦慄しながら、なのはさんに会いに。
「桃子さん桃子さん、なのはさん1人テイクアウトで」
「あら……ごめんなさい、お持ち帰りはできないの。店内でご賞味……」
「お母さんっ!」
ノリのいい桃子さんに、奥から突っ込みながら現れる白い悪魔。実はその手の才能があるかも。
「昨日電話したとおり、遊びに来ますた」
「こんちわ! 上がってええ?」
「うん!」
てな感じでなのは部屋へ。
「それで、どうしたの? 何か、『大切な話があるから三人きりで』って」
「今日来たのはな、実はその……なのはちゃんを、赤い海の世界にひとりあたっ」
違う。
「ごほん。本日はお日柄も良く、『高町なのは補完計画』を実行する絶好の機と相成りました次第」
「……ほ、補完?」
「とにかく! 何か悩み事あらへん? 最近イライラするとか、ずばーんと発散したいとか!」
「具体的には動けない青髪の女の子の目の前で、その相棒に魔貫光殺砲したくなったりとか!」
「ゲームで未来悟飯が使えたときは泣いたわ」
「あれは泣くだろ……常識的に考えて……」
「あの、話変わってるよね?」
いかん。
「とにかく! 何があっても、人を傷つけちゃいかんと思うのですよ」
「それ、当たり前だと思うの……」
「あかん! その考えは幼い間限定や! いつか『気にくわないことは無理矢理』になる!」
「そ、そんなことしないよっ!」
「神に誓って?」
「神に誓って!」
「俺に誓って?」
「それはちょっと……」
にょろーん。
「とにかく! 言質取ったから! パンツめくる症候群の女の子とか虐めちゃ駄目だから!」
「しないってば! ていうかそれ誰!」
「そやな! 何事も程々やな! てことで、なのはちゃんは少しサムス禁止!」
「えぇ! ど、どうして」
「少しそっち系から離れるべき」
「意味分かんないのっ!」
補完計画の順調な船出を予感しつつ、皆でゲームで遊ぶのでした。