クリスマスパーティーまで三日となったので、プレゼントを含めていろいろと買い物を済ませる。
家具の移動も終って、あとは前日の準備とかが残っているだけ。
というわけで、皆こたつに集結してまったり過ごす。当然ながら結構狭い。あと常にみかんが置い
てあるのだが、それがみるみるうちに減っていく。
「みかんをむくときの擬音って何がいいんだろう」
「わきわきわき」
「指使いがやらしそう」
「めりめりめり」
「きしんでる。それ絶対何かきしんでる」
最近はやての頭の中が怖くて仕方ないことがあるのは気のせいでしょうか。
「……」
「……」
しかしそんな風に雑談に参加しているのは少人数で、基本的に会話もあんまし続かない。皆みかん
むいてるので、そういうときの八神家はとたんに口数が少なくなる。
ちなみに手がないはぐりんたちは皆からもらってます。薄皮までむいたのが好きらしい。
「……??????っ!」
そうこうしていると、リインが急にぐしぐし目をこすりはじめた。シグナムのを見て真似している
うちに、つい汁が目に入ってしまったらしい。何気にむくのに慣れてないので、ともすると指で中身
をつぶしてしまうのだ。しきりに目をこすっているのにティッシュを差し出してやると、ごしごしご
しごし拭きはじめる。
「ああああああ。超痛そう」
「だっ、大丈夫なん?」
「いっ…………う……ぅ、は、はい。だ、大丈夫です」
魔法をはじくというその特性ゆえ、全次元世界で最強クラスの戦闘力を誇るかもしれない――そう
クロノとリンディさんが言ったこともあるリインであるが、今目の前でごしごししているのを見ると
全然そういう感じがしない。
普段の生活で戦うことがないからだろうけど、すっかり忘れれてしまうのだ。言っとくけどこの子
強いです。みかんの汁が目に入ってうぐうぐ言ってるけど強いんです。
「リイン2号もこんな感じなのだろうか」
手の中に新しいみかんを取り出して、このくらいのサイズの原作キャラがいたっけと思い出す。リ
インによく似たちっこいのが、ふわふわ浮いてるのを観たことがあるような。
「……ん?」
「何だよ? その、ライダー2号みたいなのは」
いつのまにか視線が集まっていた。そういえばリイン2号の話をしたのは、リインの名前を決める
ときにはやてに教えたくらいのもの。はやて以外にリイン2号の話ってしてなかったような気が。
「えと、妖精さんみたいなリインなんやけど……」
「リインが助からなかった未来では……ちっちゃいリイン? が作られる。手乗りサイズ」
「作る……ですか?」
「うん。でもって確か、他のキャラと合体した。スーパーサイヤ人みたく、髪の色とか変わって」
「融合騎のことか……」
シグナムが言った単語には聞き覚えがあったので、多分そう。とうなずいておく。
「あと、ヴィータが妹みたく可愛がってたような気がする」
「ほ、ホントか、それ!?」
ヴィータの食い付き方が半端ない。妹が欲しかったりしたんだろうか。
「新キャラいっぱい第3期、やなぁ」
「ちっちゃなリインちゃん、会えるのが楽しみですねっ」
「そいつが氷を、似た敵キャラが火を使ってた。会ったら芸させて遊び倒してやる」
「こいつには会わない方がいいかも知れんな」
うんうんと頷く一同だった。
「そんな。携帯冷蔵庫とミニコンロにするだけなのに」
「せんでいい」
「じゃあメドローア作らせる」
「覚えておくんだな。これがマホカンタだ……!」
その一言を皮切りに、魔王つながりで話題がティアナに移り、そのうち新キャラ談義に花を咲かせ
る。
「スバルってのにデンプシーロール仕込みてーんだけど」
「ティアナにはゴルゴ13並みの狙撃を練習してもらうこととしよう」
「じゃあエリオのハーケンディストールはシグナム担当で」
「槍は門外漢なのだが」
えらい期待されてる新人たち。十年後が今から楽しみでした。
「フリードよりはやーい」
俺の一言がはやてに嫌な思い出を呼び起こしたようで、ヴォルケンからひたすらなじられた。