= 拍手お礼不定期連載 =
キャロと愉快な仲間たち 6
取りあえずその日の内に、ふもとまで下りることには成功した。
したのだが当たり前のように、そこに広がるのは無人の大地だっ
た。山を下りれば町があると思ってたんだけど、どうも当てが外
れたらしい。
「す、すみません。言うのを忘れていて……」
「まぁ今日も野宿かね。一番近い街は?」
「ここからさらに10キロほど西だな」
キャロは結構な辺境に住んでいたらしい。聞けば基本的に自給自
足の生活で、買い出しとかは大人がやっていたから、ここまで村
から離れるのは初めてだとか。
「昔はよく背中に乗ったなぁ」
と、ザフィーラにまたがるキャロを見ながら言う。買い物に急い
でいたとき、たまに乗せてくれたりしたっけ。
「昔からのお知り合いなんですか?」
キャロが顔だけ向けて言った。乗り心地はいいけど、ちょっと揺
れるから慣れるまでは掴まっていなくてはならない。
「一緒に住んでる。もう何年になるかなぁ」
「その割にまだ名字が覚えられん。改名を考えたらどうだ」
「なのはが呼んでくれなかったら、名前もダメだったろうなぁ」
キャロはよく分からなそうな顔をした。
「えっ、えと……オリーシュ、さん?」
「それでおk。イインダヨーグリーンダヨー」
「確かに見渡す限りグリーンだな」
一面の大草原である。
「取りあえず、今日はこの木影で寝よう。焚き火とかして」
「人手が要るか?」
「いやいや。薪は拾っといた。着火はチビ竜に任せよう」
そういえば焼き魚の時はライターで火付けしたけど、フリードに
頼めばよかったと今さら気付く。火とか吐けたよね確か。
「あ、はい。でしたら……」
「フリード、メラ」
キャロが言うより早く、白くてちっこいのの口から火球が飛び出
した。すると、ものすっごい驚かれた。
「いっ、い、い、今の、今の今の今の!」
「あまり気にするな。大抵の魔物は言うことを聞く」
何故か尊敬の眼差しを向けられた。
「フリードを見ると、デジモンテイマーに憧れた頃を思い出す」
「聞いての通り、頭の中はネタが満載だが」
尊敬の視線が雲散霧消した。なんでさ。
(続く)