= 拍手お礼不定期連載 =
キャロと愉快な仲間たち 3
追っかけ回したせいで現在地がますますわからなくなったけど、
フリードはなんとか無事助かった。今はキャロと一緒に生還の喜
びを分かち合っているところ。怪我もないしよかったよかった。
「マズイって思ったのかもね。フリードの肉って硬いのかな」
冗談で言ってみたものの、キャロはフリードをかき抱いて涙目に
なった。さっきも本気で追いかけていたのだし、もう言うのはや
めておくことにしよう。
「しかし、結構走った。ここどこだろう」
気がつくと、どことも知れない場所に出ていた。前後左右にはど
こまでも森が広がるばかりである。山を下りる方向がわかるだけ
で、変ったものは足元をちろちろと流れる水くらいのものだ。
「これ、川の源流……もしかして!」
「知っているのか雷電!」
「はい! わたし、よく麓の湖で水汲みに……ら、雷電?」
キャロ=雷電説が浮上しつつあったのだが、キャロ本人が直前で
気づいたため却下されました。
「じゃあ、下流に向かうか。今気づいたけど、釣りができそう!
今夜は久々に焼き魚が食べれるっぜ!」
「きゅる!」
と言いながら、さっそく出発。魚の一言を聞いたフリードが、な
んだかちょっとうれしそう。どうやら肉も魚も食べるらしい。
「あの……その、ふくろのなかに、たくさん入ってるんじゃ?
干物とかにして……」
「冷蔵庫の機能がないので、ナマモノは入れられないんでやんす」
「れいぞうこ……?」
首をかしげるキャロだった。どうやら故郷に、食品を冷蔵する習
慣はないようである。ということは、アイスもプリンも食べた事
がないのだろう。これはぜひ一度食わせなければなるまい。
「しかし干物の発想は無かった。向こうについたら作っておこう」
「はい! お手伝いします!」
「フリード使って」
「使わせません!」
相棒を干物にはさせたくないキャロであった。
「おお、ミニリュウ! ミニリュウ釣れたぞ!」
「こっ、こ、こ、この子、海竜の、こっ、こっ、こど……!」
「まだまだかかる! すっげ! すごいつりざおすっげ!」
「だっ、だ、ダメです釣らないで! 干物にしちゃダメーッ!」
普通の魚がかかるまでえらい時間がかかりました。
(続く)