『魔導師脳だと一瞬で計算できると思うけど、2の10乗はだいたい1000なんですよ』
「はぁ。それで?」
『5千円でスタートして1ケタになったから、そろそろレッドさんのリザードンに10タテくらってるっていうね』
「逆にその程度で良かったわ……で、わざわざ私の格好してまで逃げた理由はなんやの」
『鉄くさかったから。数の子の皆さまが、オリック生産源としてまた俺を狙って来たんじゃないかと』
「……私らが探知できひんものを、よくまぁ」
『最後会った時に『ラップが箱の中でひっついてはがれなくなる呪い』をリイン2号にかけてもらったのに。解けたのか』
「それはどうでもええけど」
『心配かけましたか』
「若干」
『忍びねえな』
「構うわ。クラスメイトAさんもほどほどに心配しとって、ごく稀に消息を訊きに来るから対応に困っとった」
『あの人は大学へ進学するにあたり、クラスメイトAからクラスメイトSにクラスチェンジしました』
「……管理局に誘われる」
『魔導師ランクじゃないから』

 リアルポケモンプレイヤーを追うはやてと、合流したフェイトの追走は失敗に終わった。すごろく場で拾って使い
どころを伺っていた変化の杖と、その後「どっかでかじったはしばみ草に似た味だわもしゃもしゃ」と食べたらしい
きえさり草。その他様々なアイテムをふんだんに使用され、ものの見事に逃げられた。
 下ウインドウにはきっと「オリーシュはにげだした!」のテロップも出ていたことだろう。たとえ仮にLV100の
サンダースやマルマインを繰り出したところで、一端この表示が出たからにはどんな方法でも追いつくことはできない。

「で、これを置いておいたと……ふふー、これがうわさのポケギアやな?」

 取り逃がした後になって現場で発見した、携帯ラジオのようなものを満足そうな顔で弄りまわしながらはやては言う。
 裏に「連絡用」と書いた紙が貼ってあったのでそのままが持ち帰り、報告を終えてグレアムから託されたところで
コール音が鳴った。
 そして響いてきたのは、先ほど逃げ出した例の男の声。電話としても使えるということで、その機械の正体がようやく
わかったのだ。

「図鑑らしき部分がすっからかんなんやけど、もしかして新品?」
『向こうの人にもらった。こっちの世界のスペアと通信できるかと思ったけど、この調子だと通信障害もなさそうだわ』
「当然のように話しとるけど、どうして世界をまたいで通話できるのやら」
『ここの技術を甘く見ない方がいい。もうタイムマシン完成してるっていう謎時代だから』
「……そのくせ街の中心にラジオの鉄塔がそびえているとは、これいかに」

 そういえば、と双方首をかしげる。

「地デジ化に失敗し、一文字間違えて地ラジ化になってしもーたんか……」
『チラ鹿』
「なにそれやらしい」
『※著作権はありません』
「補足されても」

 またひとつ世界に新たなマスコットが創造されたところで、お互いに情報交換をはじめた。
 なにしろ1ヶ月近くものあいだ、ほとんど連絡が取れなかったのだ。どうやらやっぱり無事らしい+リアルポケモン
マスターに挑戦するらしいという先方の事情は察していたが、逆にはやて側の現状は全くと言っていいほど伝えられて
いない。
 先日機動六課に届いた手紙を読む限り、謎の情報網で知られている可能性もないではないが。それでも割とどうでも
いいことばかり知っていて、重要なことは何一つ知らないという事態は十分ありえた。

『えっ俺管理局で捜索されてんの?』

 ほらやっぱり。

「妙な予言だか預言だかが出て。というか、何故ポケモン世界にまで戻ったん?」
『もうちょっとレッドさんに挑戦したかった。本当はまだまだ頑張って、マダンテ閃くまで粘りたいんです』
「マダンテだけにまだまだやと……なにそれ寒い……」
『そんな意図はなかった』
「MPがたりない!」
『俺の話ではありません』
「知っとる」
『ありがとうございます』
「というか、大学も第3期も始まっとるんやけど。管理局のこともあるし、さっさと帰ってこんかい」
『あと1回だけリザードン様に挑戦したい』
「はぁ。まったく」
『すまんね。あとエリオはもうヴィクター化した? 武器が似てるよね的な意味で』
「真っ先に心配することがそれとか。キャロなら相変わらずのバーサーカーぶりやけど」
『あいつは『考えて戦うのが面倒になりました』とか言ってこっそりバーサク覚えようとするからなぁ』

 それからはいよいよやって来た(来ていた)第3期について、既に通り過ぎてしまったイベントを話す。
 と言っても開始からあまり時間は経っていないので、かいつまんだ部分だけだ。ある程度話してからは、最近みんな
元気かという話題から始まり、つい最近始まったドラマ「赤頭巾 茶々」の録画はしてくれているか、などと生活感の
あふれるものにすり替わっていった。
 ちなみに録画はしてやったが、前作である「るろうに謙信 −弘治剣客浪漫譚−」に上書きしたと言ったらひどく
ショックを受けていた。本当は両方ちゃんと保存してあるが、この際だからそういうことにして反省してもらおうと
はやては思う。
 しかし話が一段落すると、とりあえず何よりもまず、と言った感じで、

『ところでですが、前半の授業ノートを』
「ちょうどええ、そっちへの行き方と交換やな。さあ言え最速で追いかけたる」
『まずカーソルをリュウに合わせます』
「誰が豪鬼コマンドを言えといったか。こら黙んな」

 はやてたちだと行けるかわからないから、帰って来たとき検討することに落ち着いたのだそうな。





「し、シャマル、本当に探知できないのかよ!」
「で、できたら最初からやってるに決まってます……なんて羨まし……じゃなくて妬ましい……!」
「言い直した意味がないじゃない」
「本音が出てるわよ本音が」

 期待していた守護騎士2名が錯乱したとかしなかったとか。 



(続く)

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「ラップが箱の中でひっついてはがれなくなる呪い」に最近かかった。
これ本当にえげつない……精神ガリガリ削られる……


【紐糸世界の大河ドラマまとめ】

天知人



爆走姉妹 初and江

柳生新陰流外伝 すごいよ!十兵衛さん

るろうに謙信 −弘治剣客浪漫譚−

赤頭巾 茶々        ←今ここらへん

あれ「すごいよ!十兵衛さん」は出したことなかったっけ まぁいいや



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