結論から言うと、蒐集することになりました。

「人間禁止の約束破って、ヴィータがなのはさんに手を出さないかwktkしてるんだが」
「出すわけねーだろ。見かけたら迷わず逃げるって」
「ぬう、残念。脱衣魔との2ショット、録画して欲しかったのに」
「底知れぬ破壊力を持つ魔王と、脱いでスピードアップするその手下……ですか」
「タッグの相性が最高すぎる。相手にしない方が無難だな」

 あれ? でも原作だと戦ってたな。魔王と戦うとか原作の私たちはどんだけアホなんだ。と。
 でもとりあえず最初は、出来る限り地球上で蒐集するってことになった。効率は良くないけど、
ちょっとだけ蒐集してみて、はやての舌が治るようならそれでいい。焦ってないから別にいいか、
って。
 でもって、行ってきますのヴォルケンの皆。俺も見学に行ってみたかったけど、明らかに足手ま
といなのでやめた。
 なのはさん襲ってきたら怖いし。脱衣魔のアーマーパージは興味あるけど。
 あ、性的な興味ではなくて。
 まだ見ぬ原作キャラ&生の変態に会える! 的な意味で。恐いもの見たさかな。

「それでもってヴィータは何故まだ家に居るのか」
「全員出てったら怪しまれるだろ」

 という訳で現在八神家には子供が三人いるだけである。
 気づいたが出てった方の三人、ドラクエ的に考えてバランスがよかったりする。シグナムはガン
ガンいこうぜ、シャマルはいろいろやろうぜ、ザフィーラがいのちをだいじに。完璧じゃないか。

「ザフィーラの散歩がてら健康診断かー。フィラリアとか、気をつけなあかんな」

 はやてへの説明は、そういうことになってます。一応。

「金銀買ってきたから、帰ってきたらシャマル先生に渡してあげよう」
「ああ、間違ってひでんマシン使ったんだっけ。ケンタロスに」
「ていうかヴィータ、いつの間にかシャマル先生追い越してるよね。一時期逆だったはずやのに」

 会話からお察しの通り、暇なのでまたポケモンやってます。中古で安く金銀が買えたので、そち
らの方を最初から。直近のジムまでタイムアタック勝負中。

「宿題やったん?」
「やった」
「はや」
「知識便利だよね。漢字書き取りとか完全に作業だし」
「若返りの数少ないメリットやな。飲酒解禁直前で逆戻りはキツいけどなー」
「そういや、お前本当は歳19だったよな。ゲームの内容熟知してるわけだ」
「それに勝るとも劣らない知識量のはやてが恐ろしすぎると最近気づいた」

 結果ははやて1着、ヴィータ2着、エンカウント率の高さに苦労した俺が3着でフィニッシュ。
 でもってやることが全くないため、そのままゲームボーイからテレビゲームに突入。スーファミ
やらロクヨンやらキューブやらプレステやら、止める人がいないのをいいことに心行くまで遊ぶ。
 というか遊ばせる。時折ヴィータと目配せをして、時計を気にしつつ遊ばせ続ける。そして、

「あー、疲れたー……ああっ! も、もうこんな時間! 夕飯作らな!」
「しまった、しまった。仕方がない。もう結構遅いし、外食でどうよ」
「んー。あたしはいーけど……あ。今念話で、みんな食べてから帰るってさ。ちょうどいいな」
「うう、ごめんなぁ。じゃあ今日は外に食べにいこ!」

 計画通り。





 近くのファミレスで夕飯を済ませ、帰宅する。デニーズ使うの久しぶりでした。
 すると程無くして、シグナムたちも帰ってきた。皆でテーブルを囲んで、お茶などすすりながら
一服つく。

「それで……はやてちゃん、どうでした?」

 ちょうどはやてがシグナムと風呂に行ったので、この隙に報告タイム。蒐集はバレてないようで
ほっと一息ついていたら、シャマル先生から切り出した。

「今日は外食した。スパゲッティミートソースに首かしげてた」
「ぱくぱく食べてたから……手遅れじゃないと思う。まだ、だけど」
「こちらも、蒐集対象がなかなか見つからなくて……」
「人間から蒐集しないと決めた以上、仕方あるまい。次は他の次元世界を回ることになるが」

 皆から複雑な息が出てとても辛気臭い。

「皆から辛気ガスが発生。換気しよう」
「というか、何か焦げ臭くないか? ふつーに」
「前回の残りのクッキー使って、はやてがさっきデザート作ろうとしてた。味の素とフライパンが
 見えて、嫌な予感がしたので止めといた。その名残り」
「……マズいかも知れんな。色々な意味で」
「はやてぇ……どーしちまったんだよ……」

 換気のつもりが、さらに辛気ガス発生。
 ええい、吉報はないのか! 一瞬で蒐集全部完了とか!

「そういえば今日の夕食、よく外食になりましたね」
「外食になったというか、外食にしたんだよ。ゲームに熱中させて、手遅れな時間帯にして」
「よく計画に気付いてくれた。ヴィータナイスすぐる」
「褒めちぎれ。てか、テレビ点いた瞬間に時計が表示された時は焦ったな」
「あれは気付かれるかと思った。部屋の時計も移動しておこ」

 いろいろ考えといた方がいいかも知れない。はやてクッキング回避法。

「何か、シャマル先生と立場が全く逆になってきたね」
「蒐集で治ればいいのだがな……」
「ていうか蒐集で治らなくても、闇の書完成させたら自分で治療できるからな。何ページ行った?」
「まだ、2ページ目の途中です。次元世界移動すれば変わってきますけど……」
「……どっかの次元世界に四天王いないかね」
「居たら苦労しないっての……」

 とか言ってるうちに、脱衣所から音が。はやて出てきたみたい。シグナムと一緒に。

「あ、はやて。明日はシャマル先生がご飯作りたいって」
「たまには休んだ方がいいってことになったんです。はやてちゃん、いいかな?」
「ホンマ? ん! なら、お願いな。何作るん?」
「ドリア。味付けは俺が横で教えるから。はやてはサラダお願いします。簡単に」
「了解や。シャマルの味覚が直ってホントによかったわぁ」

 知らないって幸せだにゃーと思いました。八神家の食卓、ただ今先行き不透明。



(続く)

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こんなまったり蒐集していていいんだろうか。

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