秋が過ぎ、また冬が来た。前日には雪がたくさん降ったので、かまくらを作ってみた。中にミニ
サイズのちゃぶ台やらヤカンやら持ち込んで、まったりしているとはやても来た。

「なにこれ温かいんやけど。てか、どうして雪が少しも融けへんの」
「戯れにオリック埋め込んだらこうなった。濡れないし暖かいし快適だわ」
「相変わらず謎だらけの物質やな。物質?」
「臓器じゃね」

 はやては納得したようなしていないような顔をする。しかし少しすると、どーでもいいやといっ
た感じになった。

「まぁ、役に立つみたいやから何でもえーけど」
「形状記憶合金的なあれなんじゃないかってクロノは言ってた」
「形状どころとちゃう気が。魔力流すと溜め込むんやろ?」
「カートリッジに使えないかと画策してるって。なぜか上手くいってないらしいけど」
「いのりの指輪は簡単に加工できとったのになぁ」

 とか言って、はやてはからからと笑った。でも言われてみれば、確かにそうだ。
 指輪の台座にてきとーにくっつけてみただけなのだが、素人目に見ても完璧に機能しているのは
どういうことか。
 いやそれだけならまだいいけど、だったらプロの魔法使いがお手上げ、っておかしくね?

「…… めんどくさ。いいやもうかったるい」
「言うと思たわ。あ、お茶淹れる? ちょうど、カステラあるねんけど」
「いいな。お湯沸かすとき、沸騰石代わりにオリックぶちこんでみようぜ」
「オリ主汁が出てきそうやから却下」

 オリ主汁って。
 とか思いながら、てきぱきと動くはやてを見る。持ってきた手提げからふたつ湯呑みが出てくる
あたり、最初から一服する気満々だったようだ。
 ぽひゃーとしていると、カステラを切るよう頼まれた。あとで裏の紙の取り合いになるんだろう
なと思いながら切ると、ヤカンがピーピー鳴きだした。

「ギラをくるくる回してコンロ代わりにするとは考えましたな」
「誰かさんがコンロ持ってくるの忘れるからやろ……っとに、抜けとるなぁ」
「いやいや。どうせ後からはやても来ると思ったのであります」
「さぁ、どーやろな。それにしたって、人任せやし」

 とか言いながらも怒っている様子はなく、むしろまんざらでもなさそうな感じでお茶が入る。
 湯呑みから立ち上る湯気と、あったかーいにおい。雪の壁に吸い込まれるような茶をすする音。
でもって目の前には相方。なんか落ち着くなぁ。

「んあ。ない。カステラの皿なくない」

 なんだか眠いのでちゃぶ台に突っ伏しつつ、カステラの皿を手探りで探すも見当たらない。

「そないな取り方したら手がぺたぺたになるやろ。ボッシュートや」

 見上げると、はやてに取られていた。生意気な。

「将来ぺたんこが、何を」
「……ぺたんこを馬鹿にする者は、ぺたんこに泣くことになる」

 割とうまいことを言った気がするが、はやてはぺたんこの誇り(笑)をもって切り返した。正直
なところ意味はよく分からないです。

「あと、原作知識ありのオリ主に予言をするとは10年早いと思います」
「正直に言わんか。もう最近の展開とか頭にないやろ」
「ついでに言うと、第3期のはやてのスタイルは最初から正直おぼろげでした。やったね」
「なん……やと……?」

 アイデンティティーの崩壊を前に愕然とするはやて。そんな相棒に、真実を導く方法を伝える。

「もしもう一度隕石に当たったら、現世に戻ってDVDレンタルして確認してやろうか」
「頭といっしょにTSUTAYAの会員証も吹っ飛んどるんとちゃう」

 一瞬で冷静に分析するはやては絶対に頭の回転が早いと思いました。

「まぁさすがに次は生き返るつもりないけどな。親父たちをいつまでも待たせてもあれだし」
「ほー。なら、気をつけんとな。もし隕石降って来たら、全力で撃ち返したるわ」
「期待しとく。あとそろそろカステラをくれ。ちゃんとフォーク使います」
「素直でよろしい」

 二人でまったりしながらカステラ食べてた。しっとりふわふわでぽふぽふしてた。



(続く)

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久しぶりに二人だけにしてみたらgdgdすぎて泣いた

そろそろStS準備期間に入りますっていうかもう入ってる。
・「占いCO すずか●」
・オリーシュと愉快な管理局員たち
・スカリエッティ博士、お許しください!
あたりをやってからになります。
今はジェットコースターの上りの部分な感じで。



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