「ということで、ユニゾンデバイスを作りたいのですが」

 リイン2号についての案が漠然と出はじめたので、そんな感じにクロノに相談してみる。

「それはいいが、さっきから愛してる愛してるうるさいこの歌は何なんだ」
「リインフォース2号のテーマ予定。合体の時に毎回流す予定でして」

 バレンタインデーということもあり、アクエリオンの主題歌を流していたのだが、クロノの気に
は召さなかったらしい。

「リインフォースとはやてのデータを採取、それを君のコアで補うのか」
「どう? どう? いい案でしょ?」
「いやそれはいいのだが、その……誕生した子の人格が……」
「失礼なやつだな」
「君にだけは言われたくない」

 最近のクロノは如実に遠慮がないような気がします。と思いながら、コーヒーを口に含む俺だっ
た。

「わかった、掛け合ってみるよ。データの提供を求められるかもしれないが」
「ふふふ……私らをデータで測れると思うでないわ……!」
「はやてが厨二病を発症した。投与投与! 薬を投与!」

 クラウザーさん乙とヴィータに言われつつ、はやての口の中に次々とポッキーを押し込んでおい
た。ぽきぽき音を立てて食べていく。

「んー、んまいわぁ。手作りとは思えん!」
「バレンタイン大統領チョコとどっちか迷った。フェイトの合格祝いを兼ねるので自重したけど」
「なんか分裂しそうやなそれ」
「あとホワイトデーにしようとも思ったが、それだと大統領の……大統力? が薄れる気がして」
「メタルウルフと申したか……スタンド持った上にあのアーマー着込んだら最強じゃね?」

 という訳で、フェイトは合格しました。
 ただいま翠屋で合格おめでとうパーティー中で、ちょうどバレンタインが重なったのでハイパー
チョコレートタイムの真っ最中なのです。ハラオウン一家はもちろんのことアリサもすずかも来て
くれて、今はあっちでフェイトと喜びを分かち合ってます。
 お菓子業界の謀略に全力で釣られてみた俺も、自作のポッキー片手にいろんなテーブルを練り歩
く次第。

「ねぇねぇ、けーとくん! ほら、ガトーショコラ焼けたよ!」
「なのはがケーキの生地を自力で練り上げた、だと……?」
「練習したんだもん。ほら食べて、食べてみっ……ああっ! ひ、一口でぜんぶ食べたよこの人!?」
「ちゃんと味わってるから大丈夫だ」
「それならいいけど……あの、チョコレートのケーキは久し振りで。味、どうかな?」
「チョコレート味だと存じます」
「そっ、それは当然だと存じます!」

 なのはのケーキをそんな感じに食ったり、翠屋特製のカフェモカに舌鼓を打ったり、主賓の挨拶
に手こずるフェイトを観察したりしてしばし。

「あ、あのっ」

 フェイトがなんかこっち来た。

「あの……あ、ありがとうっ!」

 そうお礼を言って、ぺこりと頭を下げる。

「…………」
「わっ……ど、どうして頭を押すの?」
「どうしてかは知らんが、つむじを押してみたくなったんだ」
「そ、そうなんだ……楽しいの?」
「楽しい。この後、フェイトがお腹痛いよーと言ってクロノに泣きつくところを想像すると」
「えっ……わ、わたし、お腹痛くなるの? どうして?」
「そういうツボを押しているのです」

 どこからともなく、俺の自作ポッキーがクナイみたいにものすごい勢いで飛んできた。クロノか
らの投擲だ。とりあえず刺さったりすると痛そうなので、全部口で受け止めて食す。

「……今、口の動きが目で追えなかったぞ」

 クロノが妖怪を見るような眼で俺を見ていた。

「しかし、本当にお腹が痛くなるのかは疑問である」
「分からないでやっていたのか」
「半ば都市伝説と化しているような気がしなくもない。実際どうなんだろうね」
「じゃあお前で実験してやるよ」

 アルフが背後からつむじを思いっきりぎゅうぎゅう押してきた。別に平気だと思うけどあんまり
気分のいいものではないので、頼み込んでやめてもらう。

「まぁとにかく、おめでと。学校はじまったら、いつでも遊びに来て下せぇ」
「うん。また、みんなで遊ぼうっ」

 フェイトは嬉しそうにはにかんだ。

「そのときは是非、ハラオウン家に泊まりたいものです。そういえばリンディさんは?」
「ああ、エイミィと一緒にいるよ」

 と思ったら、そのリンディさんがやって来てこちらを見ている!

「あ、あの、あのね? クロノ……」
「艦長、今日はもう終わりだって言ったはずです。タンポポでも食べててください」

 禁止令がかかって、冗談じゃなく涙目で物欲しそうにしているリンディさん。
 そして何気に発想が俺と同じなクロノ。

「クーロノくんっ、チョコちょうだい!」
「何か勘違いしてやしないか」

 あとエイミィさんは、そんな感じでノリノリでした。





 そして、一カ月後。

「そこには、見事に完成したリインフォース2の姿が!」
「あなたと……合体したい……!」

 とりあえずアクエリオンの主題歌を流しながら、リイン2号とお留守番をする俺だった。

「リイン、この曲大好きです! テンション上がりますし!」
「テンションあがってきた」
「け、けーとさんの首が3つくらいに……ああっ、これ作り物じゃないですか! 一本取られました!」
「そう言いながら、首を一本引き抜くリインだった」
「そういう意味ではなく、まいった降参の意味ですよ?」
「知ってるよ」
「そうですか! 安心です!」

 この子とはとてもウマが合う。と思いながら、八神家のテーブルでコーヒーを口に含む俺だった。

(続く)

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リインフォース2号と申します。お姉ちゃんっ子です。いつも笑顔の子です。どうぞよろしくお願いします。
時間がちょっと飛びましたが、これからももしかしたらこういうことがあるかもしれんです。
リイン2の出番がえっらい早い気もしますが、誕生エピソードはまた後日。
一話くらいはさんで、そろそろなのはのハイパー魔法暴露タイムをやろうかしら。



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