「ヴィータは信長型な気がする」

 テレビで豊臣秀吉モノをやっていたのを観ていたところ、ふと思ったので口にする。

「それってあれか。ホトトギスのやつか」
「そうそう。鳴かなかったら叩いてぺったんこにしそう」
「そこまで鬼じゃねーよ……鳴かないなら殺すとか可哀想だろ」

 案外心優しいヴィータだった。

「ホトトギス?」

 とかやっていると、話を聞いていたリインが訊いてくる。

「鳥。鳴かなかったらどうする、っていうのが性格の例えになる。待ったり工夫して鳴かせたり」
「そういえば、ホトトギスってどんな声で鳴くんだろ」
「そういうときはグーグル先生に相談や」
「実物は見たことありませんね、そう言えば」

 番組そっちのけで、いつのまにか雑談へと移行するのはいつものこと。

「鳴かぬなら 泣いちゃいますよ ホトトギス」

 ふと思いつき、ちくちく縫い物をしていたシャマル先生に言ってみたところ、顔赤くして泣きま
せん泣きませんようと責められた。しかしはやてやヴィータは、なんだか納得したような感じ。

「鳴かぬなら きゅーきゅーにゃーにゃー ホトトギス」
「なのはちゃんか。自分で鳴いて手本になるとは」
「脱いでみせよう ホトトギス」
「さすがにフェイトも鳥相手には脱がねーと思う」

 という話を振ってみたところ、「身近な人をホトトギスを使って表してみよう大会」的な企画が
成立。始めてみるとこれがなかなか面白い。人によって全然違う句ができて楽しい。

「鳴かぬなら おいしい焼き鳥 ホトトギス」

 そんな非道いことはしないとリインに言われた。心外であるらしかったが、同時に沢山食べてる自
覚があることを確認する。

「ところでお前はどーなんだよ。そんだけ人のこと言っといて」
「……頼めば鳴くよ ホトトギス」

 どうしようと思ったけど、良さそうなのが思いついたので言ってみた。

「ああ、合っとるな」
「ぴったりじゃねーか」
「最適だが理不尽だ」

 納得されたのやらされていないのやら。





「焼き鳥ならぬ焼きいもを買ってきました」

 牛乳が無くなったので買いに行ったのだが、帰りに出会ったいい匂いにどうしようもなくつられ
てしまった。

「携帯あってよかった。こういうときに便利だ」
「さっそく役に立ったようで何よりや。じゃあ食べよか、3時のおやつ」
「サンジのおやつ」
「それは真面目に美味そーなんだけど」

 とか話しつつ、こたつに入って熱い芋をいただく。後からちょっと塩を振ってみたのだがこれが
うめぇ。体があったかくなる感じ。

「皮食べる派?」
「食べない派。食べるんか」
「食べる。皮の裏にひっついてるのがもったいない」
「わ。ホントに食ってるし」

 焼き芋は皮ごと食べる派なオリーシュなんだけど、八神家では皮を取っちまう方がメジャーなよ
うだ。気にせず食べてるザッフィー以外、みんなきちんとむいている。

「しゃりしゃりしてるのがいいんですよ」
「味がないから特に変わらないがな」

 人それぞれだよね、ということに落ち着いた。シャマル先生がはぐりんたちにふーふーしたお芋
を楽しそうにあげてるのを観察したりして、しばらく美味しい思いをする。足も腹の中もぽかぽか
してきた。

「うまかったなぁ。イモなのにやたら甘々やし」
「そのせいか、なんか塩辛いのが欲しくなってきた」
「塩舐めればいいじゃん」
「その発想はなかった。絶対やんねーけど」

 ヴィータが醤油せんべいを持ってきたので、あったかいお茶を飲みながらばりばり食べてました。

「そして伯方の塩を博多の塩と思い込んでいるヴィータだった」
「え……あれって違うのか。九州の博多じゃないのか?」
「そういや、伯方ってどこなんだろ。有名な都市やないと思うけど」
「そういうときはグーグル先生に相談や」

 グーグル先生が大活躍の一日だった。



(続く)

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オリーシュ「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう なのはさん」

と迷ったけどこっち。



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