微妙に陽の光が部屋に射しこんできていて、それでようやく目が覚めた。時刻は9時前。少々遅
めの起床である。
 左右でははやてたちも眠り続けている。子供陣はまだ誰も起きていないらしかった。そのかわり
台所からは、ぱたぱたと誰かが動く足音がしている。シャマル先生あたりが朝食を作っているのか
もしれない。
 加勢にいくべきかと一瞬思ったが、止めておくことにした。同じ方向から、監視にあたっている
であろうザフィーラの足音(わんこ型は区別がつきやすい)が聞こえたからだ。それにまだ眠い。

「んー」
「ん……」
「んんぅ」

 伸びをしていると、隣のユーノの向こう側で寝ている、なのはとフェイト、あとはやてが、鳴き声チックな何か
を発してきた。

「オリーシュの こうげきりょくがさがった。」

 思わずポケモン風に実況してしまってから、とりあえず枕元に向かってみる。

「ん……おにいちゃ……なのは…………」

 フェイトの夢には現在、クロノとなのはが出てきているらしかった。

「……やっ……やぁ…………こないでぇ……」
「…………まそっぷ……」

 なのはは何かに追われているらしく、何かから逃げている感がある。
 はやてはもうなんかいつも通りでした。

「カートリッジロード」
「……そにっ……く……」
「でぃばい……ばすたー……」
「なに……それ、おいし……」

 試しに言ってみたところ、それぞれ違った応答を返した。しかしフェイトだけはちょっとマズい
気がする。そんなにぽんぽん脱いじゃ大変でしょうに。

「オッス、オラ悟空!」
「…………ん……」
「……ぅん……むー……?」
「いっちょやってみっかー……くぁぁ」
「おお起きた」

 はやてだけが反応したと思ったら、眠い目をこすって起き上がった。これは残りも起こさねば。

「ベギラゴン! ベギラゴン入りました!」
「わっ、わ、わ、ばっ、ばるでぃっしゅ、ばるでぃっしゅ!」
「えっ! あ、えあ、あ、せ、せ、せっとあっぷっ!!」

 リイン戦をまだよく覚えているらしかった。記憶を刺激してみるといきなり起き出して、真っ先
に変身しはじめる魔法少女が約二匹。

「おはようございます」
「え……あ、あれ……?」
「け、けーとくん? あれ、リインさんは?」

 いい感じの目覚ましになったらしく、クロノたちも起き出すのだった。





 あたたかい味噌汁をうまうま言いながら飲み、ご飯をお腹に収めたところで、ようやく頭がしゃ
っきりしはじめる。

「普通ならここで『ゆうべは おたのしみでしたね』と言うはず。しかし俺は発想の質が違う!」
「ほほう。して、何と」

 ノリだけで話しはじめたところ、はやてに突っ込まれた。次のセリフが思い付かなくて困った。

「けーとくんが困ってる。へーんなの」
「うるっさい。昨日布団に巻かれて、カッパ巻き状態を楽しんでた分際で」
「あ、あ、あれはけーとくんがやったんでしょお!?」

 パジャマパーティー中の出来事である。いろいろ遊んだ中に、なのはを布団固めにしてみるとい
う遊びがあったのだ。本人も割と楽しそうだった。巻き寿司にして転がしてみたところ、喜んでる
ような感じに声がしたので。

「ちなみに外からバインドかけたのはクロノでした」
「……」

 ロープがなかったので次善の策である。とうとうクロノにも遊ばれはじめるなのはだった。微妙
な雰囲気でクロノを見ているも、当のクロノはしれっとコーヒーを飲むばかり。

「さて。どうする? ユーノたちはいつ帰る予定?」
「昼まで休んでいきなよ。おいしいチーズケーキが食えるから」

 今日帰ると聞いていたのだけれど、何時ごろというのはまだ知らんのである。ヴィータが勧める
と、じゃあお言葉に甘えてということになった。
 ぬこ姉妹がどうして持ってくるのかという話だが、昨日ヴィータに聞いたのによると、俺の弱点
がチーズケーキということになっているらしい。実際にはとても好きな部類であるけれど、姉妹の
ためだ。さぞ不味そうに食ってやることにしよう。

「ああはやて。プレゼントありがと」

 そういえば。と思い出して、はやてに声をかけてみる。

「どういたしまして」
「どういたされました」
「機種はどう? 気に入った?」
「気に入った。この通り」

 昨日もらったストラップをつけた携帯電話を、パジャマのポケットから出してみせる。
 はやてからのプレゼントだ。結局渡されたのはかなり遅くなってからだった。でも超うれしかっ
たりするのです。何気に最新機種だし。

「あ、そうだ。けーとくん、アドレス交換しよ!」
「あっ。わ、わたしも」
「あれ? フェイトちゃん、ケータイ買ったんだ!」
「う、うん。地球での連絡用に……お母さんが、プレゼントしてくれて」

 ちょうど食事も終わっていたので、そんな感じにアドレス交換会が催されました。なのはがフェ
イトのアドレスを知らなかったらしく、さっそく試しにメールを入れてみたりとか。

「そういえばけーとくんって、あだ名で入れる派? 本名で入れる派?」
「あだ名にすると電話帳がカオスになるので、本名で入れることにしました」

 猫姉妹がひとくくりになったりとか。
 あとはフェイトの頭文字が「ぬ」だったりとか。

「今度は絵以外の何かを考えようと思います」
「何かと思ったら、全員で一枚の集合絵だったとはな。あれは良かった」
「いいでしょ。じっちゃんとぬこ姉妹も入れてみたんだけど」
「そうか、それがはやてへのプレゼント……後で見せてもらっても?」

 食後のコーヒーをいただく、賑やかな朝のひとときでした。



(続く)

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フェイトはまだ編入してないので、携帯うんたらのイベントはここまで先延ばし。
オリーシュもプレゼントちゃんともらえた&渡したみたいです。

だらりだらりとしてるのは紐糸ではいつものこと。
夜中につまむポテトチップスくらいの気持ちで楽しんでいただけると嬉しいです。



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