なのはとの間に勃発した雪合戦の結果、雪やら雪やらで非常に寒い思いをして帰宅。

「マフラーの防御力が高すぎてワロタ」
「それを笠に着た結果がこれというわけやな」

 調子に乗ってずっと遊んでいたのだが、どうやらやりすぎてしまったらしい。家に入ったなのはは
俺以上に寒がっていて、はやてにお風呂を勧められると一目散にすっ飛んで行った。その隙にはやて
にお説教されて、もう少し自重せんかと責められる。

「明日雪が残ってたら雪だるまの刑にしようぜ」
「永久氷晶あったら火術要塞まで連れてくんやけど」

 ヴィータが発案し、はやてが俺に死亡フラグを立てようとする。おっそろしいのでこっそり逃げる。

「あらアンタ。どこ行ってたのよ」

 そそくさと脱出していると、横合いからアリサが話しかけてきた。見てみると、手にはなにやら紙
袋を持っている。その隣にはすずかもいたが、こちらも同じく持っていた。プレゼントの紙袋だ。

「ちょっとなのはと雪合戦してた。お帰りですか」
「もうちょっとしたら、だけどね」
「楽しかったよっ。ごちそうさま、ありがとうっ」

 帰るまではゆっくりしていってね! と言ってみたのだが、家の方でも何やらあるらしい。まぁそ
れなら仕方ないか、また遊びに来てねと告げる。アリサとすずかが帰ったらユーノがフェレットから
元に戻れるし、魔法の話題も解禁できるなぁとひそかに気づいた。

「今日はこの家の不思議な一面を垣間見た気がするわ」
「まぁ俺がいるって時点で奇妙だし」
「あら。よくわかってるじゃない」
「そ、それ、自分で言っちゃうんだ……」

 とか、いろいろとお話する。この組み合わせというのも珍しいもので、割と話も盛り上がった。フ
ェイトの編入試験、しっかりサポートしてあげなさいよとか。あんなに絵が上手いなんて思わなかっ
たよとか、また会ったら翠屋でも行こうかとか。あの銀色の物体の正体は何なんだという風にも聞か
れたけど、そこは禁則事項ですの一言で誤魔化しておいた。
 でもってしばらくすると、なのはが脱衣所の方から現れた。
 服は変わってるけど普段着だ。まだ寝巻きには早いとはやてに相談したところ、はやてが服を貸し
てくれたのだと言っていた。さっきまで来ていた服は雪合戦で水がしみてしまったらしい。とりあえ
ずスマンと謝っておいた。

「お先に……あっ。アリサちゃん、すずかちゃん。帰っちゃうの?」

 でもってさっきの俺と同じやりとり。予めわかっていたのだが、それでも残念そうにするなのはで
ある。

「あ。帰っちゃうの?」
「そうよ。さっき言ったと思うけど」
「ん? なーなー、帰っちゃうん?」
「そ、そうだけど……」
「帰んのか?」
「帰るんだ」

 フェイトがやってきて問いかける。それにつられたように、はやてやヴィータやアルフが寄ってき
て、わらわらわらと二人に群がる。

「お帰りでござるか」
「アンタには最初に話したでしょうが!」

 真似しただけなのに、何故か俺だけ怒られた。





 でもってアリサとすずかが帰路につき、ようやくユーノが人間に戻って俺歓喜。

「あああああよかった。男の話し相手がクロノだけだったんだ」
「え? ザフィーラさんは……あ、そうか。喋れないよね」
「念話も使えないしな。こいつにコアがないから、今までどうにもならなかった」

 ということでこの面子に、クロノも交ざって机をひとつ占拠。グレアムのおっちゃんも誘ったんだ
けど、リンディさんと何やら話しているので遠慮された。でもってそれまでわんこ型で我慢してたザ
ッフィーが、人間フォームに変化する。翠屋では迷惑にならないように、店の表で雪見していたので
ある。お疲れさま寒かったでしょうと言っておく。
 よくよく見てみるとやっぱり女性多いよねなどと話しつつ、しばらくなかった同性だらけの会話を
楽しむ。女子は元気だなーとか、これでもまだ男がマイノリティだなとか。ユーノが行ってきた遺跡
の話も出たり、クロノの知ってるロストロギアで、機密じゃないもののお話をしてもらったりとか。
お返しにこちらとしては、リインの生態を語ったり。あれほど凶悪な戦闘力を持つリインであるが、
普段はちょっと抜けてるところもあると知ると結構びっくりしていた。みかんに悪戦苦闘してると知
ると、二人とも笑いを必死にこらえてた。

「あ、ユーノくん! 戻ったの?」

 するとそこに、人間ユーノに気づいたなのはがやってくる。フェイトもそれに続いて近寄ってきて、
そのまま三人で思い出話に突入していった。俺にとっては無印の復習みたいな感じで、ザフィーラは
以前俺が話したことのある内容と頭の中で照合しているようだった。隣のクロノはあんまり表情を変
えていないけど、ちょっと懐かしんでいるらしい。ためしに聞いてみたところ、「少しな」と穏やか
に語った。

(それにしてもよかったなぁ。なのはの補完計画成功して)
(まったくだ。若本声になっていたらと思うと、二人とも不憫でならん)

 このパーティーの次はいつ会えるのいつ会えるの、となのはがユーノにしきりに尋ねていた。人懐
っこい笑顔を浮かべていて、なんだか非常にうれしそうだ。それを見ながらザフィーラと二人でこっ
そり、しかししみじみと話してみる。

「……魔砲少女も、おとなしくなったものだ」
「あ。クロノもそう思う?」

 なのはに聞かれたら怒られそうだったけど、現在ユーノと夢中になって話しているので聞いてない。
 ということなのでザフィーラ・クロノと、割と好き放題に語ってみる。悪魔かと思ったら普通の少
女だったが、やはり最終決戦時の攻撃力はすさまじかったなとか。なのはがカートリッジシステムを
実装すると聞いた時は正直言って戦慄したよ。とか。

「殺伐としとるテーブルに救世主が!」
「あまり殺伐としてはいませんが」

 そこにはやてが、戸惑いがちなリインを連れて現れた。

「えー。決戦がどう、とかゆーとったやん。リイン戦とちゃうの?」
「あの……私のことで、何か」
「いや、そうでもないが……そういえば、今でもメタル化できるのか?」

 クロノがふと尋ねると、リインはこくりとうなずいた。右手を目の前に掲げて念じるそぶりを見せ
て少し経つと、手首から先の肌の色が綺麗な銀色に変化した。

「ちょ……これはすごい。なら一部分だけ変化させて、自動で簡易のアーマー作れるんじゃ」
「いやここは拳だけメタル化してやなぁ」
「戦闘力の高さは相変わらずか……」

 ちょっと戸惑いがちのリインだったが、どうやら悪い気はしなかったらしい。その後も皆でいろい
ろ注文してみたところ、恥ずかしそうだけど嬉しそうに披露してくれるリインだった。



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