= 拍手お礼不定期連載 =

なのはのテスト勉強奮闘記 3:発起編



はやてを連れてなのは部屋に遊びに行くと、なのははベッドの上で
横になり、でっかいクッションに抱きついてふかふかして遊んでいた。

「おじゃま。美由希さん、おらんのなー」
「いらっしゃいっ。今日は道場じゃなくて、お出かけしてるの」

むくりと起きあがりながら答えるなのはだが、クッションに抱きついたままなので
肩から下が隠れている。お気に入りだと以前言っていたのは本当らしい。

「てぇ」
「わぁ」

はやてがクッション目がけて飛びついて、そのまま二人で軽くじゃれ合いはじめた。
俺としては混ざるわけにもいかないので、持ってきた桃を切ってやろうと思い立つ。
とりあえず部屋を出て、ナイフを手に戻った。そのまま皮をむきむきしはじめる。

「ひとつちょーだい」
「いいけど爪楊枝取ってきて」

気づいたはやてに取ってこさせ、テーブルを囲んで食べはじめる。

「ねぇねぇ、何しよっか。なにして遊ぼっか?」

ようやくやってきた夏休み、しかも今日はその二日目である。なのはも
遊ぶ気満々であるらしく、にこにこした顔にわくわくした声で尋ねてきた。

「数直線いじり」
「縄文土器に関する考察」

逃げ出しやがった。捕まえる。

「やー、やーっ! やーっ!」
「このままホールドしとくから、歴史の教科書セットアップや」
「まず国語じゃね。記述のやりかた一から教え直してやる」
「やっ、やだ、やだぁーっ!!」

しかし半分涙目になってる上、やーやー言うのがとてもうるせぇので、とりあえず解放。

「勉強せな。だいいちなのはちゃん、再来週には追試やろ」
「やっ……やだ。あ、後! 後で!」
「どうだ。俺の点に一教科でも届いたら、遊園地に連れて行ってやるぞ?」
「けーとくんの髪が金色に見えてきたよ……」

なのはの中で俺はサイヤ人の王子並の戦闘力を持つ位置付けらしかった。勉強的な意味で。

「一人でやっとるから気が滅入るんよー。一緒にやったら楽しいよー」
「うぅぅ……」

あぐあぐと桃を食べながらはやてが言う。そうだけどぉ、となのはは情けない声を出した。

「このままだと声変わりしちまうぞ」
「わたし、女の子なんだけど」
「貧乳どもにそんなこと言われてもなぁ」

はやてと一緒に枕やらクッションやら投げてきた。

「ちょっと上脱いでみ。平手しまくって腫らして巨乳作ってやんよ」

はやてが非常に怖いので、許してくれるまで謝罪する。

「なーなー、ちょっとずつやってこ。元はええんやし、すぐ追いつけるって」
「はやてちゃん……うん、わたし、がんばる。今から頑張って、追試も全部合格する!」
「桃うめぇ」
「あ、あーっ! 一人で食べないでよう!」

ぐだぐだ話しながら、とりあえず桃をむぐむぐ食べ続けてました。



(続く)



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