昨日は夜遅くまで桃鉄に熱中してしまったためか、全員テレビの前で固まって寝てしまった。
そのため目が覚めてみると、うつ伏せになったまま体が起こせない。見ると背中にかかった毛布
の上に、はやてなのかヴィータなのかザフィーラなのかよくわからない物体が乗っていた。重い。
「おもい。ザフィーラ、おーもーいー」
とりあえず一番重たそうなザフィーラを起こそうと、後ろ手でゆさゆさしてみた。しかしまだま
だ起きる気配はなく、静かな寝息が聞こえてくるばかり。
「……私の破瓜は獣姦か」
「毎度毎度人聞きの悪い台詞を目覚まし代わりに使うんじゃない」
いよいよ年貢の納め時か、といつものように運命を嘆いていると、眠っていたザフィーラがいつ
ものように起きてくれた。おはよう。
「おはよう」
「昨日はあのまま寝ちゃったみたい。朝ごはん作るから、全員起こしといてください」
「心得た。先にシャマルからか?」
「ううん。この前ドジって味噌汁沸騰させたので、当面味噌汁には触れさせないことにしたの」
「正解だな」
で、キッチンに向かう。全員ぶんの食事とはいえ、昨日の味噌汁の残りがあるから非常に楽だ。
ごはんは時間的に炊きたてのはずなので、切り鮭でも焼こうと思い立つ。
しかし炊飯器を見ると、そこには何やらぶらぶらしているコードが一本。
嫌な予感がして見てみると、炊飯器のライトがどれもこれも消えているではないか!
「さ、サノバビッチであります!」
ご飯炊けてなかった。思わず悪態を吐いてから、どうしたものかと途方に暮れる。
「サノバビっち」
「おやじっち以上に嫌すぎるわ」
とか思っていたら、はやてが起きて妙な生き物を作り上げた。たまごっち懐かしいです。
「おはよ」
「おはよー。どうしたん?」
「炊飯器のコンセント抜けてた。はやてこそ早かったね。一番最後に起こすものかと」
「……妙な夢で目が覚めたん。オリーシュが男の子になっとる夢やった」
TS転生にまで手を染めた覚えはないのですが。
「……もしかして、その人も下の毛つるっつるが嫌だったとか」
「当たり。まるっきり一緒やね」
「男で下の毛なしは……そんなに嫌なのかなぁ。そこんとこどう?」
「何の話だ。こっち見んな」
テーブルにいたザフィーラに目を向けたところ、事情が呑み込めないままとても嫌そうな顔をされ
ました。
「男オリーシュ……会ってみたい気がする」
「オリーシュがD4Cに巻き込まれたようです」
「それ会ったら消滅するんだけど」
「男と女だったら別人扱いになるんとちゃう?」
「ん? んー、それはそうかも。だけど……えーと」
スタンドの知識はやっぱり難しいので、厳密な効果がよくわからなくなる。
「……まぁ何でもいいか」
「言うと思ったわ」
面倒くさくなるのも読まれていたようだった。
「仕方ないから朝ごはんはおもちに変更! ほら早く! みんな起こして!」
「なかなか手強くてな。ヴィータなど、あと五日を連呼してきて困った」
「五分とちゃうんか」
このネボスケどもめ!
「起きない人の朝ごはんは、お砂糖も塩も抜きのきな粉もちになるって言っといて」
「割とマシだな」
「そうかな。じゃあきな粉だけにします」
「それなら起きるやろ」
切り餅を焼きにかかる私でした。
(たぶん続かない)
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男でも女でも何も変わらんかった。
しっかし女の子だった方が最初からフラグ立たないって確定するから良かったかもしれんですね。
下の毛つるっつるが嫌でやってきました、恵(めぐみ)と言います。よろしく。
はやてはもちろんザフィーラと割と仲良しで、隙あらばもののけ姫ごっこをしようと画策しているようです。