公園でもしゃりもしゃりと草を食っていると、誰だかわからん娘さんにあんまりにも心配された。
来なさいこっち来なさいと言うものだから、仕方がないのでついていってやることにした。

「ついて行ってやろう。ありがたく思うんだな!」
「え……え? わ、わたし、どうして怒られてるんだろう……?」

 何やら混乱する娘さん、話を聞くと小学三年生とのこと。身長は俺とそう変わらないのだが、髪を
両横でしばってるのが、歩調に合わせてふわふわと揺れていた。

「頭の横にバナナをくっつけるのが最近の流行なんでしょうか」
「え? バナナって……こっ、これは、ツインテールって言って。女の子の髪型なんだよ?」
「食えると思う?」
「それは無理だよ……」
「何のためにくっつけてるんだ。食えるだろ普通」
「えっ、わ、私? 私が悪いの?」

 戸惑う様子の娘さんだった。

「いかん。空腹すぎて、目の前で揺れる髪が全部バナナに見えてきた。食っていい?」
「たっ、食べられないよ! 食べられないよ!?」
「でも、100本取ったら1UPしそう。残基が足りないので、ここは確保しておくことにしよう」

 千切っては取り千切っては取りしよう。と口走ってみたところ、走って逃げだした。追いかける。

「はぁ、はぁ、はぁっ、はっ」

 しかしすぐに追いついて、顔をみてみるとすっごい疲れて息も切れてら。この子は体力がダメな子
みたい。

「バナナ食べるとたぶん回復するよ」

 かろうじて首を横に振る娘さんだった。呼吸が整い終わるのを待つ。

「うぅぅ……どうしてこの子に声かけちゃったんだろう……」
「ミミックの可能性があるのに宝箱に手を突っ込むからだ」
「宝箱には見えないよ……」

 むしろ不審者か、変な遊びをしているただの子供がせいぜいであろう。 

「ザラキザラキザラキザラキ」
「……タ」
「聞こえんなぁ。ザラキ!」
「マホカンタぁ!」

 半ばやけになって返してくる娘っ子であった。

「……なのは、どうしたの? そんなに大声出して……」
「あ……お母さんっ!? な、なんでもないよっ。うん!」

 いつの間にか喫茶店らしきお店に到着してしていて、表にいた若い女の人が話しかけてきた。

「なのは……? なのはって確か。確か、えっと……誰だっけ。まぁいいや」
「なのは、どうしたの? この子はお友達?」
「ちっ、ちがうよ、わたし、食べられちゃいそうだったんだよう……!」

 どうやらお母さんらしく、なのはという名の娘さんが助けを求めて飛びついた。

「ということなので、この子テイクアウトでお願いできますか」
「すみません、お持ち帰りはできないの。店内でお願いしますね?」
「よっしゃ。じゃあ今からハイパー無限UPタイム……あれ、こら。どこへ行く」

 お父さんお兄ちゃんお姉ちゃん、と助けを求めながら、バナナの塊が店内に逃げた。あわてて追い
かける俺だった。




「歴史にIFが許されるなら、こんな感じだったに違いない」
「ありありと想像できるわぁ。これはこれで面白いかも」
「そんなに今と変わってないよ……」

 こたつに足を突っ込みながらさりさりさりとリンゴをむく俺と、同じく暖をとりつつしゃくしゃく
と食べる中学生が約2名。

「いい匂いがするー。なのはちゃん、これ何? いちご?」
「あ、うん。お母さんが、ジャム作るって言ってたから」
「じゃあ今日泊まってっていい? 明日の朝、トーストに乗っけて食ってみたい」
「一昨日もそう言って……ここ一応、女の子の家なんだけど……」

 私も私もと言うはやての隙をつき、残り2個のリンゴを奪取する俺となのはだった。
 文句言われる前に飲み込んだが、こたつの中で二人まとめてがしがし蹴られた。結構痛かった。



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