身体検査身体検査身体検査身体検査身体検査身体検査身体検査身体検査身体検査。
 事情聴取事情聴取事情聴取事情聴取事情聴取事情聴取事情聴取事情聴取事情聴取。

「……もう寝たい……」
「血も抜かれとったしなー。夕飯食べる?」
「疲れすぎて食ったら死ぬ。明日に……明日にしたいです」

 時刻はまだ夕方だけど、泥のように疲れて眠い。明日は明日でまだ聴取あるし軽く死ねる。

「とりあえずリイン寝かせるのが先なー」

 と思っていたのだが、はやてからおあずけが下った。めっちゃ強い魔導師たちを相手によっぽど
魔力を使ったらしく、しかも体の一部分を抜かれたに等しいため、リインはまだ目を覚まさない。
なので、シグナムが背負って運んでいた。アースラの人の見立てだと、もうちょいで起きるらしい
んだけど。
 ちなみにはやて、ちゃんと名前をつけてあげました。リインフォースというらしい。確か原作で
も同じだったような気がする。第3期だとちっこい妖精みたいなのが、リイン2を名乗ってたし。

「俺はミュウがいいと言ったのに」
「そのちっちゃい妖精さんがミュウツーになるやろ。却下」
「ミュウツーがいやならミュウミュウにすればいいじゃない」
「ぬー♪」

 とか言ってる間に皆で玄関を通りすぎ、やっと帰宅いたしました。リインをソファーに横たえて
こたつへ直行。
 かなり疲れていたみたいで、はぐメタたちもぺたーっとなっていた。はやての護衛お疲れ様。

「……おー。足の感覚が鮮明に。あったかいって分かる!」

 書の悪い部分が片付いたので、はやては徐々に良くなっていくそうだ。さっきまで分からなかっ
た温度の違い、今は感じるみたい。歩行訓練とか必要かもしれないけど、この調子だと回復は早い
かも。

「男の子に電気あんまをする夢がついに……!」

 はやてが俺を見てすごいことを言う。ひどいことをされる気がして、嬉しいのに嬉しくない。

「はやてちゃん、お疲れさまでした」
「お前も、今日はよく動いてたよな」

 二人してうつ伏せになってぐでーっとしていると、シャマル先生がはやてに、ヴィータが俺にマ
ッサージしてくれた。はやてはともかく、俺にまでとは珍しい。

「ひゃぁぁ……」

 はやての口から変な声が出て吹き出した。

「な、な、なんやー! き、気持ちよかったんやから、しかたないやろあほー!」
「気持ち良かったとな。なら『らめぇ』と叫んで海老反りになれ」

 はやてに首を、ヴィータに足を、シグナムに腕を極められた。ザフィーラがはぐりん三体を乗せ
たみたいで、重くて死にそう。

「らめぇぇぇえぇぇ! 意識とんじゃううぅぅぅ!!」

 はやてに落とされて気絶する。





 ぱかっと目が覚めた。
 もうさすがにみんな疲れたみたいなので、布団も敷かずに雑魚寝状態だ。俺以外の全員が寝てい
る。全員何だか幸せそうで、これを見ただけであと十年は戦える気がする。

「……やぁ。起きたの」

 きょろきょろと周囲を見回すと、正座しているリインが目に入った。いつの間にか起き出してい
たみたい。俺たちの目覚めを待っていたのか。

「……すまない……お前のコアは、やはり再生は……」
「細けぇこたぁ気にすんな!」

 謝ろうとしているのを制して、とりあえず冷たいお茶を入れてくる。少し寝たからか、目が冴え
ていた。時刻は六時過ぎだから、二時間くらい寝ていたのか。

「あ。はやてが名前考えてくれたよ。本人から後で聞くといいでござる」
「………………」
「しょこたんではないからご安心を」

 リインはほっと安堵の表情になった。

「どう? 調子は」
「…………良い。今までより、身体が軽くなった」
「そいつはよかった」

 具合はいいようで安心した。これで不調とかが残っていたら俺が報われない。

「……お前のコア、ここに破片が残っている。……機能は皆無だが、どうする?」
「キラキラしてる。記念品にするかね」

 小さな瓶を持ってきて、光る欠片を入れてみた。
 長い旅行を終えて、いいお土産ができた。そんな感じでちょっと嬉しい。

「……ありがとう」

 頭を下げるリインに、ひらひらと手を振ってやった

「さて。じゃあ皆起こすか」
「……ね、寝ているのに、それは……」
「せっかく家族が増えたのに、寝ているなどとは言語道断。俺もだけど」

 立ち上がる少年を、リインは追いかけることが出来なかった。少年の言葉が胸を打っていた。ま
るで縫い止められたように、ソファーに座った身体が動かなかった。

「…………」

 一人の少年と、眠りこける家族の顔を見て、リインの唇が弓を引く。
 生まれてきてよかった。
 一瞬ではあったものの、その口元は、わずかに微笑みをかたどっていた。

「目覚ましにはこいつが特効薬」

 あと、八神家の新メンバーに洗礼をしなくては。
 キッチンに向かった俺はコンロにフライパンをのせ、冷蔵庫から残りのご飯を取り出した――。



前へ 目次へ つづく。