「はやてがプリンをうまうま言いながら食べてたそうで」

 帰宅してからヴォルケンに問うてみるが、ザフィーラ以外はなんか恨めしそうな表情。プリンの
恨みこえー。

「……食いたかったのに」
「まあまあ。また作るから。生クリームのせた美味いやつ」

 特に拗ねまくりなヴィータをなんとか諌めて、話を続ける。
 どうやら昼、はやてがぱくぱくプリン食べてたらしい。舌がおかしいのに何でかね。

「甘いものは別……とかでしょうか」
「蒐集の効果かもしれんな。微妙な気分だが、お前の言った通りになったか」
「そういやプリンのお礼にはやて製のチョコもらったけど、普通に結構うまかった」
「昨日今日で、蒐集の残りは200ページを切ったしな。とりあえず、明日は休みか」

 なので一仕事した達成感とともに、皆でこたつでぐてーっとする。
 何だかんだで昨日は走り回ったし、今日は今日でどたばたしてたし非常に疲れました。

「ほら、ほら。みかんあるよー。あーん、あーん」

 でもって何だかんだではぐりんたちは着いてきてて、今ちょうどはやてがみかんあげてます。

「で。飼っていいの? 散歩とか俺がするし。勝手に着いてくるだけだけど」
「こんな可愛いペットなら大歓迎! ドラクエ世界ってあるんやなー。私も行ってみたい!」
「何か足の具合良さそうだし。もうそろそろ行けるんじゃね?」
「カジノのポーカーとか、すごろくとかやりたいなー……あ、ヴィータ。これ、ありがとな!」

 はやての手の中には銀のロザリオが。何かヴィータがすごろくで取ってきたらしい。待ち合わせ
場所に戻ってこなかったのはそのせいだとかなんだとか。

「さっきはごめんなー。でも、私も皆と外に行きたかったんよ」
「あ、うん。その……ごめん、はやて……」
「正直すまんかった。闇の書の異常も調べてたので、秘密にしときたかったのです」
「その割にはすごろくやらはぐれメタルやらでお遊び要素満載な件」

 頭の上ではぐりんを遊ばせたはやてが全てを見透かす目でこちらを見る。こわい。

「じゃあ日曜、も一回すごろく行こう。管理局のマークあるけど、そのくらい後なら大丈夫でしょ」
「いや……大丈夫か? 三日後だが」
「収穫無かったから他の世界を調べる的な会話を、調査に協力したはぐりんが聞いてたみたい」
「ホンマ!? なら、またお弁当作って! 私も食べてみたい!」

 そんな感じ。まあ、一応穏便に済んだみたいで。良かった良かった。





「フェイトが脱がなかった?」

 で、今日の親睦会の報告へとうつる。具体的には原作キャラの動向とそれを元にした推察を。
 主な議題は、

・割と大人しい魔王様
・前にクロノと会った気がする
・脱がない脱ぎ魔

の三本立て。
 クロノ関連は気のせいじゃね? ということに落ち着いて、魔王様は補完計画が上手く行ったん
じゃないかって感じでこれまた決着したのだが。最後の一個だけはどうにもわからん。

「脱衣脱衣詐欺……だと……?」
「そんなはずない。だって脱げば脱ぐほど速くなった! ホントに!」
「……本当なのか? その情報」
「うん。シリーズ放映の度にぽんぽん脱いで……た? ……はず。うん。そう。うん」

 最終形態は何だったっけ。露出癖持ちならそりゃーお前全裸だろ。いやいやさすがに全裸は放送
できない。胸と股間に絆創膏が限度やな。という意見交換。

「……19歳の女の子が脱ぐとか。あまり世間様に放送できんような気がするんやけど」
「でも確かにそんな感じだった。2期で脱いでたのは覚えてるので、とりあえず脱衣癖は確実」
「にしても、脱がなかったのかー……戦わないと脱がないのか?」
「かも知れない。模擬戦とかあればよかったんだけど」

 さすがに「模擬戦やってみて」=「フリでいいからケンカしてよ」とは言い出せませんでした。
ゲームしてる間ずっとまったりな雰囲気だったし。さすがに、ね。

「あとはもう、ヴォルケンが一戦交える覚悟でカメラ持って突貫するしか」
「却下。魔王までオプションでついてくるだろ」
「補完されてるよ? 天地魔闘とかきっと使わないよ?」
「かめはめ波は?」
「撃つ」

 じゃーやだ。ですよね。という結論。
 ならしょうがない、またの機会にカメラ持って行ってみる。ということになり、もう八神家会議
はおしまい。夕飯までゆっくりした時間になりました。
 はぐりんたちは今度は、料理当番でないシャマル先生に遊んでもらってます。ねこじゃらしとか
振ると神速で追いかけたり。小魚を上に持って行くとうにーって背伸びしたり。

「でもやっぱ、お前に一番なついてるな」
「後のモンスターマスター・テリーの誕生であった」
「となるとミレーユって……私かも! マルタに行く準備せな!」

 ほしふりの夜の大会が来たら、ダークドレアム3体にこっちがけちょんけちょんにされる予感。

「今日の夕飯は久々のはやて製ですな」
「ドリアにしてみたんやけど……ど、どうしたん、皆。急に真剣な顔して」
「い、いえ、主。楽しみです」
「う、うん。その、久しぶりだから、びっくりした」

 動揺を見せる守護騎士たちだったけど、今日の夕飯は普通に食べられました。やっぱ味覚ちょっ
と直ってたのか。

「でもなんか、ちょっと味違う気がしたな」
「だが問題は解消した。書の文字が虫食いなのは気になるが……いずれにせよ、ゆっくり完成させればいいだろう」
「ゆっくり蒐集していってね!」
「ゆっくりしたいんです!」
「ゆっくりデザートつくってみました!」

 はやてがシグナムと風呂に行っている間に、そんな感じに会議してました。ということで蒐集は
ちょっとお休み。

「ん? 今なんか、猫の首輪の音がしなかったか?」
「あ。そういえば最近、いつもの猫にエサやってない」

 思い出したけど、あいつら餓死してないだろうか。そろそろエサあげに行ってやろうかな。



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