「おっしゃああ! はぐれメタル狩りで経験値ゲット&魔法習得キタあああああああああ――」
「蒐集!」
「ああああ……経験値が……メラ習得が……」

 はぐれメタルたちを やっつけた!
 とはいっても実際倒したわけではなく、抵抗するのをかいくぐって蒐集で魔力貰ってるだけ。
 なので、やっつけたといっても倒してない。経験値もらってるのは闇の書(蒐集的な意味で)で
あって、俺にまで入ったりはしてねーです。
 よって、はぐれメタル狩りしてるのに俺まだきっと多分レベル1。
 ステータスとか弱っちいんだろうなぁ。逃げ足は速くなった気がするんだけど。

「はぐメタ狩りでオリーシュ覚醒……そう思っていた時期もありました……」
「でも、すごい! すごいですよ! 1匹あたり18ページも埋まってます!」
「冗談ではない効率だな……ところで、その妙な仮面は何だ。テレビで見た気がするが」
「ゼロの黒仮面。ようやくバトルにデビューできたので、戦いに参加する時は付けることにする」
「後方指揮だけで参加してねーじゃんか」

 という感じにだらだら喋ってる辺りから、皆に余裕が出てきたのはわかっていただけると思う。
ちなみに今日はザッフィーがお休みなので、狩りのメンバーはヴィータ・シグナム・シャマル先生。
それぞれFW、MF、DFって感じで結構バランスが良かったり。俺は死んだら終わりのGK。
 もうこれで3匹狩り終わったから、元々蒐集してた分と合わせて100ページを超えた。これは
予想以上に早く完成するかもわからんね。

「その分俺の頭の上がどんどん重くなってるんですが」

 仮面つけた俺の頭の上には、蒐集させていただいたはぐれメタルが座布団みたく重なって乗っか
ってたりする。非常に重たい。

「蒐集で弱ったところを、他の魔物に襲われたら後味が悪いからな。頼んだぞ」
「魔力回復したらあっと言う間に俺が焼き殺される気がする」
「逃げようとしないし、大丈夫だろ。案外懐かれてるんじゃねーか?」
「蒐集のお礼にお弁当分けてやってるのが効いたかも。てか、そろそろお昼食べよう」

 かれこれ1時間くらいは歩き回り探し回っているので、ここらでそろそろお昼のご飯タイム。
 本日の昼食は、料理スキル向上後のシャマル先生による手作り弁当。妙なことしないか後ろから
見てたので、味はしっかり保証つきです。実際、唐揚げとか玉子焼きとかがかなりうめぇ。
 頭の上からはぐりんたちが顔を出すので、玉子焼きとか放ってやると美味しそうに食べはじめた。
本当によかったね。昔のシャマル先生製じゃなくて。

「ピクニックにでも来ている気分だね……」
「爆弾スタンド使い乙。ってか、こいつら結構愛嬌あるな。あたしも唐揚げあげよっと」
「あ、ヴィータちゃん、余分にありますから。こっちをあげてください」
「金属食ってるイメージあるけど。案外こういうのも食べるんだね」
「……不思議だ。この身体でどうやって消化しているのか」

 細胞っぽく、体内に膜でも作って包み込んでたりするのだろうか。ファンタジー面白いなぁ。

「ほら、あーんしろ。あーん」
「むぁー」
「お前じゃないっての」
「のどかだな……蒐集中とは思えん」
「そうですねぇ」

 それはいいんだけど、頭の上からはそろそろどいて欲しい。重たい。







 結局この日は数多くのはぐメタたちのおかげで、夜までに一挙300ページほどの蒐集に成功。
 それに比例して俺の頭の上もどんどん重くなったのだが、さすがに拙いと思ったのだろう。シグ
ナムたちが蒐集のペースを落としてくれた。正直な話とても助かった。
 で。

「懐かれたんですが」

 お約束というか何というか、最初の3匹が一向に離れようとしないので困る。
 そろそろ首とか結構やばいかも。2匹両肩に移動したんだけど、そっちもかなり凝ってきた。

「連れて帰りたいなあ。でも、蒐集してるってはやてにバレるかもしれないし」
「その割には、さっき名前をつけてなかったか」
「上からはぐりん、スタスタ、ゆうぼう。原作でつけたのと同じにした」
「あのゲームで3匹も仲間にするとか……ああ、ひとしこのみか」
「ん。2匹くらいなら根性でいけるんだけどね」

 裏技おいしいです。最近は新しいゲーム機に移植されたらしいし、また遊びたいなーと思ったり。

「オリーシュ、メタルモンスターに粘着されるの巻。このままだと触手凌辱とかされる、やも」
「……想像したら吐きそうになった。こっち来んな」
「でも、本当にどうしましょう。離れる様子もありませんし……」
「このまま身体にくっつけて隠して、はぐれメタルの鎧と兜と盾になってもらうとか」
「それDQ4だろ。ってか、防御力がすごいことになる件」

 3匹だったら何とか……なる、か?
 とか思っていたら頭から肩から、するりするりとはぐりんたちが降りてきた。
 賢い子だなあ、どうやら空気読んでくれたみたい。名残惜しそうにこっち見てるけど。

「……明日もここで蒐集の手伝いしちゃ、ダメかな」
「ああ、構わん。また弁当でも持ってきてやろうか」
「マジで! やった!」
「蒐集終わったら、はやて連れてこようぜ。ピエール好きだったから喜ぶと思う」
「はぐりんたち用に余分のおにぎり作って、豚肉と鮭も焼こう! 3匹分!」
「……聞いてねーし。ま、いっか」

 何かやったら微笑ましい目で見られた気がするけど、嬉しくて特に気になりませんでした。







「あ、艦長。管理外世界で休暇中の友人から、気になる情報が上がってるんですけど……」
「あら? えっと……特定の魔法生物の……リンカーコアに異変? んー」
「どうしましょっか? 調査してみます?」
「そうね……裁判も終わったし、あの子たちに行ってもらいましょうか。親睦会も兼ねて!」



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