学校が始まってもあんまし気候に変わりはなく、要するにまだまだ暑い。

「でも相変わらず長ズボンなんだな。お前、全然変えてなくねーか?」
「短パンとか精神的に無理。学校の体育着で仕方なく、とかなら我慢するけど」
「私も、たまには長ズボンはこっかなぁ。車イスやけど」
「はやてが俺にパンツ一丁で学校に行けという! さすがはやて、変態のレベルがちげー」
「誰が変態や誰が」

 とか言いながら、今日も元気にいってきます。

「……で、どうして汗だくなんだよ」
「帰り道、例の原作キャラ三人娘に遭遇して」
「して?」
「アリサの背中に『この子の半分はツン、半分はデレでできています』って紙貼ったけどバレた」
「それは怒るやろ……」

 そんな感じに、今日も疲れてただいま。

「今日は何があったん?」
「お腹を空かせたネコさんたちがいたので、給食のパンをあげてきた」
「誉めてつかわす」
「恭悦至極」
「宿題とか出とる?」
「新しいドリルもらった。一学期使ってゆっくりやれって」

 でもって家に入る。夕方からは暇だ。暇で暇で仕方がない。
 なので今日ははやてと一緒に、チャーハン以外の料理を振る舞おうと思う。

「助手はシャマルな! ほな、お手伝いお願いなー」
「助手というかなんというか。邪魔ぷよ的なイメージ?」
「……うぅ」

 シャマル先生がしょげた。

「あまり落ち込ませても仕方がないので、作ろう。こっちでスープ作るけど、メイン何にする?」
「スパゲッティかなー……ヴィータは何がええ?」
「ん? えっと、み、ミートソース……とか」
「味覚が子供だ」
「うっ、うるせぇ! いいだろ、たまには!」

 今日も夕食は美味しゅうございました。





「今日もお料理お疲れ様でした」
「たくさんスープ作ったから、また明日も食べれるな!」
「何食くらいあるかね。明日の朝で終わりとみたけど」
「どうかなー。ちょっと減らせば、昼も飲めるんとちゃう? 8杯くらいありそうやし」

 夕飯を終えて後始末が完了してからは、八神家は大抵まったりタイム。皆でゲームしたりテレビ
を見たり、つらつらと雑談したり。

「シャマル先生が案外使えた」
「確かに。今日は上手やったよ?」
「よかったぁ……最近お二人の料理を見て思うんですけど、レシピってそんなに手を加えないんですね」
「ねるねるねるねは効果があったか」
「書かれた通りに作るものやからな。わかってもらえてホントによかったわぁ」

 ここにきて、他の騎士たちが反応した。

「あのスープ、シャマルとお前の合作だっけ。確かに、結構美味かったな」
「なかなか料理をする姿も様になっていたしな。あとは独自の味付けの問題だけか」
「からしは取り敢えず禁止だ。またソースと一緒に入れられては困る」

 ザフィーラが言うと、皆うんうんとうなずいた。シャマル先生だけがしょんぼりな感じ。
 でしばらくすると、シャマル先生が唸りだした。

「る……る……?」
「る? 何?」
「る、る……ルパン三世って、テレビでやりますよねっ」
「昨日終わりました。判定は?」
「アウト」

 残念。

「じゃあシャマル先生、アイス選択権最後ね」
「ず、ずるいです……る、とか無理ですよっ!」
「じゃ、私バニラで」
「あたしもバニラ」
「おっと残念。これでバニラは売り切れ」
「うっ、ううぅ……」

 怨めしそうなシャマル先生だった。



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