サマーシーズン到来!
 ついに訪れた夏休み!!

「どうして私にも宿題があるんよ……」

 しかしはやては鉛筆を動かしながら、鬱屈とした声で訴えてくる。

「ほら。先生がプリント持ってってって言ってて」
「なら問題や! 今『て』を何回言ったか!」
「五」
「よっしゃ、5やな! ならとりあえずドリル5ページ任せた!」
「待て」

 などとなすりつけこすりつけしながら、粛々と問題を解いていく。
 今日の分を終わらせなければ遊べないというのが家長はやての決定だから仕方がない。決めなけ
りゃいいのに。

「このスターどうやって取んだろ」
「あ、それは確か、ステージに入るときの時計の針で……だったような」
「針が12の時に入るとステージの仕掛けが全部止まるから、それでオッケーや!」
「作業が全然ちっとも進みやしないのは、画面を見ながらだからだと思う」

 暇なヴィータが直近でゲームなんぞはじめやがるものだから、集中が途切れて効率が低下するこ
とこの上なし。

「やっぱ面倒くせーな。後ろ幅跳びでラス面行ってみる」
「そんなことしたらヨッシーに会えんやろ。ちゃんとスター探し」
「宿題に集中しないと、はやてのいちご味かき氷だけ練乳禁止令の発動を予告」
「シグナム! 私のぶん搾り出して!」
「無理です」

 ここぞとばかりに振ってみるも冷静に返されたので、仕方なく宿題に勤しむはやてだった。





 で、お昼を済ませて午後3時くらい。
 もう今日の夏休みの宿題が片付いたため、とっくのとうに遊びモードに突入していたがそれはと
もかく。

「かき氷の機械なんて、出すのが何年ぶりになるかもわからんなぁ」

 暑くなってきたので、早速おやつのかき氷。夏のお馴染みである。

「シロップよく残ってたね」
「ん。子供ひとりで使いきれる量とちゃうからなー」
「ところで閃いたんだが、メロンとブルーハワイ使ってポーション作れんじゃね?」
「味が濃すぎて劇薬になりそうやな」

 とか話しながら、台所の棚から機械とシロップ類を引っ張り出して運ぶ。

「はやてちゃん、氷ってこのくらいかな?」
「うん! お皿は6枚で……何や楽しいな! 道具一式、取っといてよかった!」

 楽しんでくれて何よりです。

「はやて、削るのやる! あたしがやる!」
「ヴィータのきあいため! ヴィータははりきっている!」
「あれってどーいう意味があるんやろな。そんなことする暇あったら攻撃すればええのに」
「実はシバがドSだった説が浮上……あ。ヴィータ、どこまで行った?」
「ん? 真っ暗なトンネルのとこ。明かり捜してんだけど、見つからなくて困ってんだ」

 フラッシュのことか。

「残念なお知らせだが、実はその時点では手に入らないんだ。ひでんマシン」
「うぇ! そうなのか!?」

 針にかかった。このまま騙そう。

「いいきずくすり大量に持って、手探りで階段探すのが吉」
「めんどくせー……夕飯食べてからにするか」
「かく言う俺も苦労したものだ。頑張って」

 ヴィータの背後ではやてが必死に笑いをこらえていて、気付かれるからやめて欲しい。
 で、そのヴィータがゴリゴリ削ったかき氷を食す。

「冷たいけど美味いな」
「あ。ザッフィー、ブルーハワイかける?」
「いや、結構だが……何故だ?」
「毛の色的に」
「そうだと思った」

 苦笑いしながらしゃくしゃくとスプーンを口に運ぶザッフィー人型形態。美味しそうだ。

「はやてはイチゴ?」
「ん! たっぷりかけて! こっちはメロンかけとくよー」
「食べた後の舌を楽しみにしておくがいい」
「あ。色、つくんですか?」
「ん? うん。それはそれはカラフルに」

 緑一色の舌を想像したらしく、シャマル先生が複雑そうな顔をした。

「待てよ。全身に浴びたら緑色の肌になって、いつかナメックっぽくなるんじゃね?」
「一体何リットル使うか分からんぞ」
「なら青のブルーハワイを浴びれば、今をときめくブルーマンの仲間入り!」
「それ、やってることの根本は変わらんなー」
「ですよね」

 雑談しながら、いただきます。

「はやて。そこの練乳取って」
「残念、練乳はすべてイチゴ味に嫁ぎましたー」
「メロンに練乳もいいと思わないか」
「それはちょっと。でも興味あるので、少しもらってええ?」
「そっちのイチゴミルクもくれるなら」
「はやてちゃん、こっちのレモンも食べる? 美味しいよ」
「うめー! 冷たいけどうめー!」

 大好評でした。





「食べ過ぎたわぁ……」
「……腹いてー……」
「俺も」

 八神家の小さいの3人がダウンしたので、夕飯は雑炊になりました。



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