もうちょいで夏休みだぜ!
 学校での記述が殆んど無いのは気のせいだぜ!

「の割にクラスメートの洗脳が進んでるのはどうしてだぜ?」
「洗脳ちゃう。芸仕込んどるだけやろ」
「ノー。最近ですが見事『オリーシュ』のあだ名を頂戴し、合衆国ネタをも浸透させた次第」
「その心は?」
「『オール・ハイル・オリーシュ』をも浸透させればいずれは皇帝か、オリ主初の総理大臣に!」
「こいつが総理大臣……日本終わったな」
「国会が面白くなりそうだな」

 ヴィータにはストレートに貶された。シグナムも笑ってはいるものの、どうも小馬鹿にされてい
る感が否めない。

「総理大臣になったら何したい?」
「ん? 前も言ったけど、とりあえず医療費何とかしたいなぁ。あと食材に消費税を何とか」
「魔法社会との交流って出来るもんだろうか。シグナム、そこんとこどう?」
「質量兵器満載のこの世界では、少し厳しいかも知れん。魔法はクリーンで売っているしな」
「悪魔の破壊光線の何処がクリーンなのやら」
「あれや。射線上が完璧クリーンになるからとちゃう?」

 苦笑する守護騎士たちだった。

「……そんなにひでーのか? その、白い悪魔って」
「機械人間に化け物呼ばわりされるくらいには。あと、身動き出来ないとこにかめはめ波撃つし」
「そ、それは……酷いかもしれんな」

 シグナムが引くあたり、相当ひどかったりすると思う。

「それで、矯正は上手く行きそうですか?」
「少しずつなー。具体的に言うとこっちが魔法関係者ってバレるから、だんだん刷り込んでく」
「こないだキューブのスマブラでドンキー使って、地面に刺さったとこに攻撃するの繰り返した」
「あれはへこんどったなぁ……暫くドンキー禁止令出たし」

 思った以上にこの主とオリ主、外道なのかも知れないと思う守護騎士だった。





 で、暫くまったりと。
 もう少しで夕飯の準備があるはやても、まだゆっくりしてたいのかテーブルから立たないままだ。

「夕飯何?」
「んー、一通りできるだけの材料はあるからなぁ。迷うんよ」
「手伝い要る?」
「あ。あたしもやる」
「ありがとなー。でもまだ決まらんのよ。希望とかある?」
「ねるねるねるね」
「うまい!」

 テーレッテレー!

「話は変わるけど、孔明って可哀想だよね」
「え? どうしてですか?」
「だって彼過去の人なのに。やることなすこと全部自分のせいじゃん」
「確かになー……今頃、草葉の陰でさめざめと泣いとるかも」
「故にこれからは『孔明の罠』ではなく、『馬謖の罠』で行こうと思う」
「味方引っかけてどーすんの」

 駄目だったか。
 とか雑談しながら、お茶をズルズルと。

「馬謖?」
「師の言に反し、禁じられた布陣を敷いた過去の文人だ。師により涙ながらに斬られたらしい」
「詳しいね」
「主はやてから幾つかお借りしてな。読み進めていた」
「泣いて馬謖を斬る、だったっけ?」
「泣いて玉葱を切る」
「ありすぎて困る件」

 いつもお料理お疲れさまです。

「玉葱ってあの、先の尖ってるっぽい野菜だろ? どうして泣くんだ?」
「ヴィータが玉葱をみじん切りたいそうです」
「よっしゃ。シャマル、冷蔵庫まで連れてって! シグナムはヴィータ連れてキッチン!」
「挽き肉あるしどうせだから、今日はハンバーグにしようぜ!」
「え? え?」





 十分後、そこには目を泣き腫らしたヴィータの姿が!

「う……うぅぅっ」
「孔明の罠やな」
「巧妙な罠です」
「いやこれは馬謖の罠」
「むしろ玉葱の罠だろう」

 ザッフィーの尤もな言葉を聞きつつ、ハンバーグのもとを皆でこねくり回すのだった。



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