ユーノがクリスマスを前に、長期の休暇を取ることに成功したらしい。もう地球に来ているらし
いので、さっそく到着したというハラオウン家に直行する。上がると、いた。ソファーでクロノと
何やら話してた。

「久し振りだな! 故郷の用事は片付いたのか。えっと、スクラ……スクライド一族だっけ。やたら強そうだ」
「……?」

 せっかくクロスネタを思いついたというのに、クロノにもユーノにも全然通じなくて悲しい。

「お前たちはもっとジャパニーズアニメを観るべきである」
「ははは。久し振りだね、元気そうでなによりだよ」
「長期の休みと聞いたけど、具体的には?」
「二か月くらい。こっちで言う、夏休みみたいなものかな。季節はちがうけどね」

 などと、お互いの近況を報告する。図鑑収集の関係上クロノとはしょっちゅう顔を合わせている
ものの、ユーノと会うのはしばらくぶりだ。そりゃあ話に花も咲く。

「ダンジョンっぽい遺跡で見つけた魔導書……だと……?」
「心当たりあるかなと思って。中身がまったくの白紙で、ちょっと使い道が不明というか……」

 などと、見つけてきた用途不明のアイテムを披露してくれて感動した。
 ユーノはユーノで楽しい冒険をしていたようだ。
 その遺跡を制覇してから魔導書に「せいいき」と書いてみるようアドバイスしてから、今度連れ
ていってもらう約束を取りつける。ダンジョンとか心踊りまくりなんですけど。

「……天職かもしれないね、これ」

 図鑑の中身をみたユーノの、第一声はそれだった。

「お互い様だと思いますが」

 俺のこれも率直な感想だ。そうかなぁ、とのんきに返される。

「…… 言っておくが、君たちは既にこれだけで食っていけるレベルだぞ」
「俺は遊び半分なんだがねぇ。機会があれば、今度は鳥系統で縛りプレイとかやってみたいわ」
「マゾだな」
「違います」
「マゾだよ」
「違います」

 そんな感じに図鑑をめくりアイテムを眺め、しばしだらだらと時を過ごす。到着したばかりのユ
ーノもややお疲れのようだった。なのはには明日会いに行くことにして、今日はこのままハラオウ
ン家にご厄介になるのだとか。

「フェイトにも、積もる話があるしね。今度の任務についても言っておかないと」
「あ。そういやフェイトは。ひとりツイスター中?」
「人の妹にまた変な趣味を……高町家だ。遊びに行っている」

 そうだったのか。
 と思ったが、なに? 任務?

「得体の知れない機械が、遺跡付近で哨戒を行っていると報告があったんだ」
「で、撃退と確保か。まあすぐ終わるんじゃね?」
「それが……ちょっと、厄介な性能があるらしくて……」
「どんな性能?」
「魔法が効かない」

 危うくむせそうになった。
 あれ……これもしかしてスカさんの仕業じゃね……?

「こちらとしても対策を練らないと。襲撃がいつ起きるかわからないから」
「大丈夫だと思うけど、僕も心配で心配で」

 こんなイベントもあったかなぁ、と思う俺。なにやらStSの足音が、ようやく聞こえてきたよ
うな気がした。





 翌日になると、八神ファミリーにも正式に依頼が舞い込み。
 三日後には、例の機械も再度出現。出撃して撃退にあたることになり、なのはもフェイトも交え
ての合同任務ということに相成った。
 魔法が効かんということで、さしもの魔法使いたちもやや手を焼いたようだ。だがしばらくする
と対処にも慣れてきたらしく、物を飛ばしたり地形を変えたりで追い込み、殲滅していく。
 卓越した技能と戦術で、たとえ不利な相手であっても互角以上に戦う。魔法使いの底力を実感さ
せる、高度かつ見事な魔法戦であった――。





「メタル化ナックル強すぎだろ」
「誉めて」

 一方リインは素手で殴った。



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