「シグナムやシャマル先生なら、髪の長さ的に昇天ペガサスMIX盛りができそうだ」

 こたつでまったりしていたところ、ふと思ったので言ってみた。二人とも怪訝そうな顔をする。

「できそうというか、してみたい! どうだろう、していい?」
「髪型か? どんな形になるんだ?」
「出来てからのお楽しみで。やっていいなら即試してみたいのですが」
「ちょうどパソコン点いてますから、画像検索してみますねっ」

 押しきれるかと思ったのだけれども、シャマル先生が気付いてパソコンの方に向かった。失敗。

「な、何ですかこれ……なんですかこれっ!」
「マリーアントワネットでも模したんじゃね。俺に聞かないで」
「この髪型にセットできるなら逆にすごいが……なんだこれは。鳥かごか?」
「頭の中に花でも咲いてそうな髪型だよね」
「外側には咲いてますよ?」

 確かに。

「こんな姿にしようとしたのは兎に角……たしかに、髪型を変えてみるのはいいかもしれないな」
「シグナムはお団子作ってみても似合うんじゃね?」
「髪型ですか……わたしはどうでしょう。似合いそうな髪型ってありますか?」
「……丸刈りとか」
「ちゃんと答えてくれるんじゃないんですかっ!?」

 そんなこと言ってないです。

「も、もっとこう、真面目な感じの……」
「マルガリータ」
「単語だけ真面目っぽくしてもダメです!」
「ゴブガリータ」
「変わってませんよう!?」

 面白くなってきたので、このままシャマル先生でひとしきり遊ぶ。

「う、ううぅ……どうあっても真面目に答えてくれない……」
「不真面目と遊ぶことにかけては、お前は天才的かもしれんな」
「そんなバカな。真面目とかすごい得意なのに」
「言いながらこたつに潜ってるじゃないですかぁ……」

 とか言ってから、シャマル先生はしょげた感じでどこかに行ってしまった。いつものことだけど
さんざっぱら遊んでしまったので、後でお詫びにお菓子でも作っておこう。ゼリーとか。

「シグナムはコーヒーゼリー大丈夫?」

 コーヒーが飲める以上は大丈夫だと思うが、食べられない人もたまにいるので聞いておく。

「ああ、平気だが……作るのか?」
「そのつもり。アイスのせたりする」
「む……そ、そうだな。手が必要なら、いつでも言うといい。力になろう」

 と、シグナムは珍しいことを言った。
 実は何を隠そうこのお方、こっそりお菓子作りの練習をしていたらしいのだ。
 シャマル先生が桃子さんに教わっていると聞いて、何やら刺激されたようだった。以前から家事
やら料理やらの腕を上げたがっていたから、その延長にあるみたいだ。腕試しがしたいのだろう。

「まぁもう少ししてからなので。喋りすぎて疲れた」
「遊びすぎだ。少し休んだらどうだ?」
「そうしよう。寝る」
「……どのくらいだ?」
「1時間以内」

 微妙にそわそわしているシグナムだった。よほど腕試しがしたかったのか、1時間きっかりで起
こされて、ゆっくりゼリー作りしてました。





「シャマル先生、お詫びにアイスとコーヒーゼリーを……あっ」
「きゃっ……!」

 仕上がりに満足した感じのシグナムの横で、シャマル先生の分を渡そうとしたら、普通に転んだ。
ゼリーとアイスがぶっかかった。

「……」
「……」
「……お団子が似合うと思います」
「ゼリーとアイスが乗っかっただけだと思いますっ!」

 怒られまくった。平謝りした。



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