昨夜は結局夜中までリインと遊び呆けてしまい、二人そろって朝の10時くらいまで寝てしまっ
た。起こしてもらったのだが起きることができず、おかげで朝食を食いっぱぐれる。

「三回は起こしたぞ」
「面目ない。面目ないが、俺が起きれなかったのはリインが貧乏神をなすりつけてきたせいで」
「夜中に99年設定で桃鉄やりはじめるのが間違いやろ」

 全く返す言葉もないので、黙って平伏する。

「CPUやリインにはミニボンビーなのに俺の時だけ頻繁にキングが来る件」
「ちょうどいいハンデだと思いますけど……」
「つーか、聞いてたらやりたくなってきたんだけど」
「真ん中のデータは途中だから消さないで。とりあえず、遅めの朝ごはんにしますか」

 リインがこくりとうなずくのを確認して、キッチンへ。トーストかホットケーキのどちらが言い
かと聞くと後者がいいらしい。一応チャーハンも聞いてみたけど、それはちょっととのこと。

「朝はしっかり食べた方がですね」
「寝起きで、それは……」

 仕方がないので、とりあえずフライパンを取り出すことにする。

「昔の漫画でそんなのがあったよーな」

 着替えた服の背中からするりするりとフライパンを取り出すと、はやてが口走った。思い出すよ
うにあれでもないこれでもないと考えはじめる。

「主人公の夢は世界制服」
「それや」
「それはそうと、バタ子さんが不足する気が。買っといたっけ」
「バタ子さんなら冷蔵庫の上の奥で寝とるよ」
「それ凍死やがな」

 あの強肩とコントロールの秘密をはやてと議論しつつ、「イチローVSジャムバター」の夢の対
決についてぐだぐだと話しながらホットケーキを焼く。エプロンつけたリインが引っくり返したい
と言うので、それを監督して出来上がり。食す。

「うめぇ」

 ひっくり返しただけなのだが、リインの口元が微妙に笑顔になった。

「ところでリインはいつまでエプロンを着けているのか」

 自分の格好を見てから立ち、少し慌てた表情になってからそそくさとエプロンを脱ぎに行った。

「しかし物足りないので、ホットケーキの素使ってアメリカンドッグ作ろうと思うのですが」
「あー! あたしも食べる!」
「そうか。ということでリイン、まだエプロン脱がなくて良かったわ」

 視線で責められた。





 昼過ぎになると、なのはが遊びに来た。みんなそろってギニュー特戦隊、ではなくみんなそろっ
て出迎える。

「二週間くらいしか経ってへんのに、ずいぶん久しぶりな気がするなぁ」
「そうだね。クリスマスのときに会ってるのに」
「冬休みの宿題が手付かずなのに無茶しやがって……」
「もうぜんぶ終わったもん」

 玄関口で軽口を交わすのはよくあることだが、聞き捨てならない言葉を聞いてしまい驚く。

「なのはちゃんが偽者に……」
「その可能性は大いにありそうですなぁ」
「ま、またそういうこと言う! はやてちゃんまで!」

 本物だよ本物だよと主張するも、とりあえずスルーしてさっそく遊ぶ。なのは的な意味で。

「よし。魔王の証明に、『一秒間に十回レイハ発言』をやってもらうことにしようか」
「それできる人ぜったい舌おかしいよ……」
「おのれクラウザーさんを馬鹿にする気か小娘!」
「……っていうかお前、それ出来てなかったか?」

 しかしヴィータの発言によって、なのはにドン引きされた。不覚。

「とっ、とにかくよく来たな! 上がっていくがよろしいであります!」
「あ、その前に……はい、はやてちゃん。昨日お願いした、例のお手紙」

 なんとかうやむやにして家の中に上がってもらうことにしたのだが、靴を脱いだなのははそう言
って、はやてに大きめの封筒を渡してきた。何だろう。

「お手紙とは何ぞ」
「アリサちゃんとすずかちゃんと、あと私のも! 今回は一緒にクロノくんたちのお手伝いには行けないから、フェイトちゃんに渡してほしくって」
「昨日二人でメールしたん。フェイトちゃんも携帯は普通のやから、地球におらんと繋がらんし」

 なるほど。と納得しつつ、封筒を受けとる。

「お手数ですが切手を貼ってください」
「けーとくんががめつい」
「お手数すぎますよ……」

 お手数というか手数料だろそれ、というヴィータの指摘はもっともだと思った。

「ほな、渡しとくな!」
「うん、ありがとう!」
「さて用事は終了。遊んでくでござるか」
「うんっ! 今日はね、オセロ持ってきたの。けーとくん、教えてくれるんだよね?」

 とか嬉しそうに言いながら、なのはが玄関から上がってきた。

「じゃあ私、コーヒー淹れてきま……」
「ならお菓子出して……あれシャマル、どーしたんだ? そんな所で固まって」
「せ、洗濯もの、干してる途中でしたっ……!」
「私がやっておこう」
「……シグナム。お手伝い、必要なら」

 慌ただしくなるヴォルケンズ+リインだった。

「あ……気遣わせちゃって、あの、すみませんっ」
「気にするな。私たちも楽しんでいるんだ」
「なのは、そこの段ボールからみかん取って」
「け、けーとくんは気にしなさすぎだよっ!」

 部屋にもどる俺たちだった。



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