何と地道な草の根活動の結果、ついにスライム年が追加されることが決定した!

「ということでご褒美って」

 はぐりんたちがぺたぺた寄っていき、ちょっと戸惑いがちなオリーシュだった。

「いや、その、さすがにフェイト一年分とかは用意できんけど」

 とりあえず手元にあるのはおやつの板チョコだけなので、どうにもならない。どうしよう。

「ご褒美なぁ。何が……なに? これでいい?」

 こくこくとうなずくはぐりんたちだった。

「ならいいけど……じゃあそれで。食べる?」

 ぱきぱきとチョコを割ってあげました。





「そして24時間ずっとおやつタイム、という夢をみたそうです」

 お昼寝中のはぐりんたちに美味しいジュースを飲ませようとしたところ、眠そうな感じでスタス
タがそんなことを言ったのである。

「言った?」

 多少語弊があった。実際は勝手に聞き取っただけ。

「あったらよかったのにな。スライム記念日とか」
「あ。そういえばこの子たち、誕生日はいつなん? わかる?」
「ん? んー……覚えてないらしい。じゃあ俺と一緒で良くね」

 はぐりんたちは うれしそうだ!

「人外にはとことん強いよなお前」
「今なら白い悪魔がああなった理由、わかる気がする」
「あれは補完計画が成功したからだと思うんですが」
「……ちょっと思ったけど、お前なら補完計画どころか、使徒と友達になるんじゃね」

 正八面体のあいつ、かっこいいから連れてこいよ。と無茶を言われて困惑する。

「そういや、あれどうしてる? 経験値たまってくすごい靴」

 はっと気付いたようにヴィータが言った。今まで存在を忘れていたらしく、他の騎士たちも、は
やてまでもがこっち見んな。

「しまってあるよ」
「使わないのか」
「たぶんMP増えないし。あと、ぶかぶかなので皮膚が擦れて痛くなる」
「あ。確かに、勇者たちのサイズに合っとるくらいやしなぁ」

 若くても14や15とかの男がはく靴なので、さすがにオリーシュの足だとサイズが合わなさす
ぎるのである。

「……モンスターが勝手に落とした装備で、よくサイズが合うものだ」
「禁句! それ禁句!」

 はやてに咎められたので自重する。

「ん? ……おお、よし。微妙に俺の勝ち」
「へ? あ……ふっふー、残念でしたー。ギブス装備で私の勝ち」
「それ無し。卑怯。ほら俺のがでかいし。足広いし」
「わたしの方がひーろーいー!」

 サイズの話題からどういうわけか、はやてと足の大きさを比べあう流れになっていた。

「あ、爪伸びてる。切ろうか」
「ん? あ、せやなぁ。じゃあお願い!」
「……アクロバティックな切り方を考えてたけど思い付かん。どうしよう」
「普通にお願いします」
「御意」

 ぱっちんぱっちんしてました。





 別に切った爪を集めて長さを記録したり殺人の日取りを占う趣味はないので、そのままゴミ箱へ
捨てに行く。爪切りを戻して元の席へ。

「勝手に回転したりせーへんかった?」

 本体の境遇的な意味では、そのスタンドははやてにぴったりな気がしなくもない。

「ジョニィ・ジョースター……足が動くのか……」
「実際今ならちょっと動くしなー。徐々に良くなって来とるんよ」
「っていうかあのスタンド、足の爪は回転しないんじゃ。どうだったっけ」

 とかいう話になり、そのまま漫画を読みなおす流れになる。それで一通り確認が済むと、今度は
別の本を読むことになった。はやても俺も小説とかは結構読む人なので、図書館で借りてきたもの
を回して読んだりするのである。

「回してみた」
「そういう意味ではない」

 はやてがやってきて、読んでいた本を上下逆さまにしやがった。「8」とか「ー」とかの例外を
のぞき、逆転してすっごい読みにくい感じ。

「回してみた」
「そういう意味とちゃう」

 こたつに足を突っ込んでいたはやてを前後ろ逆さまにしてやった。頭をこたつの中に突っ込んで、
膝から先がでている感じ。

「引っ張った」
「引っ張られた」

 こたつの中ではやてが声を上げ、手で床を叩いたので、反対側から出してやった。むくりと起き
上がる。

「ったくぅ……あ。本取って。さっきまで読んでたの」
「おきのどくですが ぼうけんの書は 消えてしまいました。」
「消えとらんし。そこに落ちとるし」
「『それだけは承服できない。ミシアの目にもう迷いはなかった。しかし次の瞬間、顔を上げた彼
 女の、その目に飛びこんできたものは――』」
「あー、あーっ! こ、こらぁ! 先読むなぁ!」

 夕飯時までずっと本読んでました。



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